不妊症

気になる病気

薬膳

番外編

漢方百科

生理のお話

月経から判断できる体質チェック(1)

夏苅 竜子

「月経」は女性特有のもので、通常月に一回あるので「月経」と呼ばれています。この月経の状態を細かく分析することで、そこから子宮内膜や卵子の状態、ひいては体質までが分かります。
この月経の性質を中医学的には、

  1. 「期」(月経周期と出血期間)
  2. 「量」(出血量)
  3. 「色」(月経血の色)
  4. 「質」(血塊がある、サラサラorネバネバ)

の4つのポイントから診断していきます。
今回は、1.「期」について詳しくご説明します。

「期」=月経周期・出血期間

正常な月経周期は個人差がありますが、一般的には28日±7日(21~35日)、出血期間は3~7日です。 周期の失調には「月経先期」「月経後期」「前後不定期」の3つがあります。

月経先期

「月経先期」とは周期が短いことをいい、ひと月に2回来潮する事もあります。目安としては

  ①通常の月経予定日より1週間早く来る
  ②月経周期が24日以下

①や②の状態が3周期以上続くと「月経先期」といわれます。 月経周期が早まる場合、卵胞が育つ「低温期(卵胞期)」が短いということで、卵子がしっかりと成熟する前に排卵されたり、無排卵の場合もあります。卵子の質が悪いと受精しにくく、また排卵しても黄体機能が弱いため着床しづらくなります。無排卵の場合は妊娠できません

月経先期には3つの原因があります。

 

  原因 その他の症状
血熱
血熱(熱こもりタイプ)
体内にこもった熱が血液を無秩序に動かして出血してしまう。熱がこもる原因としては、陰虚(体水分不足)、実熱(体質的に熱が旺盛、辛い物のとりすぎなど)、肝鬱(ストレス過剰)などがある。 基礎体温が全体的に高い
月経量が多い、経血の色が鮮やか、不正出血しやすい
暑がり、のぼせる、ほてる、顔や唇が赤い、口が渇く、イライラ落ち着かない、不眠、便が固い(便秘傾向)、尿が黄色、舌が赤い、舌苔が黄色く厚い
虚弱
気虚(虚弱タイプ)
の不足により漏れ出る。 月経血がサラサラ、色が淡い、基礎体温表の高温期の途中がガクッと凹む
疲れやすい、めまい、息切れ
風邪ひきやすい、胃腸が弱い、下痢しやすい
舌が淡紅色、歯痕(舌の周囲に歯型がつく)、舌苔が白く厚い
血お
血お(血行不良タイプ)
お血(血の塊)が子宮を占領し血管が損傷され血液があふれ出す。 月経血が黒っぽい、塊がある
月経が始まっても基礎体温が下がらない
子宮筋腫・子宮内膜症・チョコレート嚢腫などがある
生理痛、月経前後の頭痛、肩こり、下腹部が痛い、舌が紫色、舌下静脈怒張、舌の上に斑点

月経後期

「月経後期」とは周期が長いことをいい、2~3ヶ月に1度しか来ないこともあります。目安としては

  ①通常の月経予定日より1週間遅く来る
  ②月経周期が35日以上

① や②の状態が3周期以上続くと「月経後期」といわれます。 月経後期が更に悪化し、3ヶ月以上月経がない場合は「月経停止」といいます。
月経周期が遅れがちということは、性腺軸(脳からの指令)が弱いため、低温期(卵胞期)が長く卵子の育ちが悪いということになります。場合によっては無排卵の時もあります。卵子の状態が悪いとエストロゲンが低くなり、子宮内膜が薄くなるため着床しにくくなります。性腺軸が弱いと排卵障害をおこし、その後の高温期(黄体期)にも影響を与えるため(黄体機能不全)、妊娠しづらくなります。

月経後期には3つの原因があります。

 

  原因 その他の症状
血寒
血寒(冷えタイプ)
冷え症やクーラー・冷たい飲食物の取りすぎなどによる身体の冷え、血行不良。 月経量が少ない、色は紫or黒っぽい、経血が粘っこい
基礎体温が全体的に低い
冷え症、下腹部・手足の冷え、 生理痛、舌の色が暗い
血虚
血虚(貧血タイプ)
月経の元となる血液や肝・腎の機能が失調して「女性ホルモンの分泌」が不足することにより、子宮内膜が厚くなるのに時間がかかる。 月経量が少ない、月経血がサラサラ・水っぽい
基礎体温表の高温期の途中がガクッと凹む
貧血、立ちくらみ、めまい、動悸、不眠、落ち込みやすい、不安感、乾燥肌、 のぼせやすい、
舌淡色、裂紋(舌の表面がひび割れ状態)
お滞
お滞(ストレス血行不良タイプ)
ストレスなどにより血行が悪くなり月経が遅れる。
また、脂っこい物・甘い物の摂りすぎや肥満による「痰」(血中のドロドロした物)が原因となることもある。
月経量が少ない、経血が紫色、塊がある、粘っこい
イライラしやすい、胸や脇腹が脹る、生理痛、頭痛、肩こり、下腹が痛い、 舌が紫暗色、舌下静脈怒張、お点(舌に点々がある)
 

前後不定期

「前後不定期」とは、通常の月経予定日より早まったり遅くなったり周期が安定しないことをいい、こういった状態が数周期続くと「前後不定期」といわれます。初潮から数年間と更年期にはよく見られる状態なので、これらの時期に当たる場合には問題視しないこともあります。
月経周期が不安定だと、排卵期が分かりにくいためタイミングが取りづらくなります。特に、生理前に胸が脹る人(「肝鬱」タイプ)は、卵胞の発育が抑制されたり(高プロラクチン血症)、排卵障害を伴うこともあります。排卵がスムーズに行かないと黄体期にも影響が及び、着床しづらくなります。

前後不定期には3つの原因があります。

  ①肝鬱(かんうつ)…ストレスなどから「肝」の気の巡りが悪くなっている状態。
  ②腎虚(じんきょ)…成長や発育、老化、生殖関係を司る「腎」が弱いことをいい、「腎陰虚」と「腎陽虚」に分けられる。
  ③脾虚(ひきょ)…消化・吸収や気血に関係する胃腸機能が虚弱であること。

下記のタイプそれぞれに周期を前後させる原因があるため、“時に早く、時に遅れ”というように、月経周期が不安定になります。

 

タイプ 原因 その他の症状
肝鬱
肝鬱(ストレスタイプ)
遅れる場合 気が滞る事で血行不良がおき、月経が始まらない。 基礎体温の変動が激しい
月経血が紫色、小さな塊がある、粘っこい
怒りっぽい、落ち込みやすい、イライラしやすい、生理前に胸が脹る・ニキビが酷くなる、
ため息が多い、舌の先が赤い
早まる場合 ストレスが熱化し、 体内に熱がこもるため血熱傾向に。
腎陰虚
腎陰虚(ほてりタイプ)
遅れる場合 血液や女性ホルモンなどの材料が不足。 基礎体温が全体的に高い
月経量が少ない、月経血が鮮やかでやや粘っこい、足腰がだるい、暑がり、手足がほてる、のどが渇く、午後になると微熱が出る、痩せ型、舌が赤い、苔が少ない、裂紋(舌の表面がひび割れ状態)
早まる場合 体水分が少ないため 身体に熱がこもり、その熱が血液を無秩序に動かして出血してしまう。
腎陽
腎陽虚(冷え症タイプ)
遅れる場合 冷えを伴う。エネルギー不足で代謝機能の低下をおこす。 基礎体温が全体的に低い
高温期の前後の体温が低い
月経量が少ない、月経血が淡いor黒っぽい
早まる場合 陽気(体を温める力)が足りないため血液をとどめておくことが出来ず出血してしまう。 足腰が冷えてだるい、寒がり、むくみやすい、下痢・軟便しやすい、ポッチャリ型 舌が淡色・大きい、歯痕 苔が白く水分が多い
脾虚
脾虚(胃腸虚弱タイプ)
遅れる場合 胃腸虚弱が原因。血液や女性ホルモンなどが不足。 月経量が少ない、月経血がサラサラ、色が淡い
月経がだらだら続く、不正出血しやすい(茶褐色)、胃腸が弱い、食欲不振、もたれやすい、疲れやすい、無気力、軟便気味、あざが出来やすい 舌淡色・大きい、歯痕
早まる場合  

 

 

月経周期に不調のある方は、パンダマークの薬局でご相談下さい。

<<前の記事

次の記事>>

ikanopはイスクラ漢方薬局(東京都)がご提供する漢方知識・健康相談の漢方情報サイト。

中医学の専門家による正しい漢方知識が身に付く漢方百科で不妊症・冷え性・にきび・便秘など女性の体の悩みと漢方の対処法をご説明しています。漢方に詳しい薬剤師に相談できる「2分で健康相談」をご提供しています。イスクラ漢方薬局の店舗(日本橋・六本木・中野・新宿)をご案内します。漢方に詳しい薬剤師が相談の上で体質や症状に最適の漢方薬をお勧めいたします。