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つわり(悪阻)と漢方

日本橋店 荒 純子

Q:なぜ“つわり”が起きるのですか?

A:西洋医学的には、妊娠性のホルモンによる影響、ホルモンバランスの変化などといわれていますが、 はっきりとした原因はわかっていません。
中医学では、“つわり”と関係するキーワードが3つあります。
 【脾虚・痰湿・ストレス】です。

【脾虚】
五臓六腑の「脾」がもともと弱い人(脾虚)は、妊娠中、胎児を育てるための「気」が体中に充満しすぎてしまい、行き場を失った「気」 が上にあがっていきます(気逆)。これが吐き気として表れます。

【痰湿】
日頃から、胃がもたれやすい、下痢しやすい、むかむかすることがある、昼間でも眠く感じる、雨の日は調子が悪いというかたは「痰湿」 の可能性が高いです。その他にも舌に苔がたくさんついているというのもこの類です。
「気」が上にあがるときに、「痰湿」もいっしょにあがり嘔吐を起こします。特に湿気の多い梅雨時には症状がひどくなりがちで、 湯気や湿った臭いで吐き気を催すこともあるでしょう。実際、雨がよく降った年は“つわり”で薬局を訪ねる方が多いです。

【ストレス】
ストレスと関係の深いのが「肝」。妊娠中、ストレスにより怒りっぽくなると、「肝」 に熱がたまりそれが気といっしょにあがり同様に嘔吐を起こします。ストレス社会の今の世の中、なかなか難しいかもしれませんが、 できるだけ穏やかにストレスをためないようにしましょう。

また、妊娠初期はおなかも目立たないため今までと同じように仕事や家事をバリバリやってしまいがちです。 しかし妊娠初期は赤ちゃんにとっても大事な時期なので、“つわり”という形で「ママ、無理しないでね」というサインを送っています。

Q:“つわり”はいつまで続きますか?

A:ほとんどの場合は胎盤が完成する20週目ごろまでといわれています。
しかし中には全周期に渡って吐き気が止まらない方もいらっしゃいます。

Q:“つわり”によい食材はありますか?

A:中医学的に妊婦さんの食生活を考えると、『脾』と『腎』を補うことが大事になります。『腎』を補うことで胎児が安定し、『脾』 を補うことで不足しがちな気血を作り出すことができ、その結果、『腎精(生殖や生長に必要なエッセンスのようなもの)』 を補充することができます。
理想としては、消化の良いもので五味(すっぱい・苦い・甘い・辛い・塩辛い)、五色(赤・青・黄・白・黒) のものをバランスよく食べてあげることですが、“つわり”のひどいときは特定のものしか食べられない場合があります。
レモン、シソ、ブドウなどは“つわり”の時でも食べやすく、昔から胎児を安定させるといわれている食べ物です。また、ショウガや梅干し、 大根などは吐き気を抑える働きがあります。
ちょっとお腹がすいたときにこうしたものを取り入れて、食べられるものを食べられるときに少しでも食べてくださいね。
空腹時のほうが吐き気を催す人が多いので、小さくにぎったおにぎり等を持ち歩くと安心です。

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Q:“つわり”によい漢方薬はありますか?

A:症状がひどく日常生活もままならないというような場合、漢方薬で対処する場合もあります。
「万氏婦人科」という書物には“つわり”について
『軽者不服薬無紡、乃常病也。重者須薬調乏、恐傷胎気』とあります。
つまり、症状が軽い人は薬を飲まなくてもかまわない。これは常病である。症状が重い人は薬を服用する必要がある。胎気(胎児の気) を傷つけるかもしれないからだ、ということです。
胃腸が弱い場合は星火健胃錠や六君子湯など、痰湿がみられる場合は小半夏加茯苓湯や半夏厚朴湯などをもちいることもあります。
ただし“つわり”に用いられる漢方薬の中には比較的作用が強いものもあります。誤用すると症状が悪化する可能性もありますので、 服用する前に必ず専門家に相談してください。

“つわり”があるということは赤ちゃんが元気でいるということでもあります。これを乗り切れば、 胎動など楽しいこともたくさん増えてきますので、つらいつらいと思いこまないで、気楽に構えてみてはいかがでしょう。

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