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不妊と漢方(2) 子宮内膜症

夏苅 竜子

子宮内膜症とは?

 子宮内膜は、子宮の内側にあり妊娠時には受精卵のベットになる役割を果たしています。女性ホルモンの影響で子宮内膜は厚くなり、妊娠しなければ「いらないもの」として周期的に脱落し、月経血となって体外に排泄されます。
 「子宮内膜症」は子宮内膜とよく似た組織が子宮以外の場所(卵巣・腹膜・直腸・まれに肺や肝臓など)に発生し、その場所で出血を繰り返す病気です。子宮以外で増殖・脱落した内膜や血液は出口が無いため、排出されずにその組織に溜まって増殖・脱落を繰り返し、炎症・癒着を引き起こしていきます。
最近、20~40代の女性を中心に急激に増えている婦人科疾患です。

原因は?

 今のところはっきりとした原因は不明ですが、月経時に経血が卵管を逆流し、子宮内膜が卵巣や腹膜に運ばれてその場所で内膜症を起こす「移植説」や、子宮や卵巣の上皮が子宮内膜に変化する「化生説」が有名です。
 また、ホルモンバランスや免疫系の異常、ストレス、喫煙・飲酒・晩婚化・少子化などライフスタイルの変化、初経年齢の若年化などにより一人の女性の経験する月経回数が増加していることも一因になっていると考えられています。

よく見られる症状は…

  • 月経痛が酷い
  • 月経期以外の下腹部痛・腰痛(骨盤痛)
  • 月経の量が多い、レバー状の塊が出る
  • 月経中の頭痛・下痢・吐き気・嘔吐・発熱
  • 性交痛
  • 排便痛・肛門の奥が痛い
  • 不妊
  • 普段より頭痛・肩こりしやすい

などです。
 特に、年々月経痛や月経血の量が酷くなっていたり、性交痛・排便痛がある場合は要注意です。

不妊症との関係性

 「子宮内膜症の人の半数に不妊状態」が見られ、「不妊を訴える方の半数近くに子宮内膜症が認められている」ともいわれていますが、その因果関係はよく分かっていません。
不妊症の方によく見られる疾患の一つではありますが、妊娠・出産されている方もたくさんいますので、子宮内膜症=不妊という訳ではではありません。卵巣の中に古い血液が溜まる「チョコレートのう腫」の場合、卵巣が腫れて大きくなるため卵胞の発育や排卵に影響が出ます。 排卵されても卵管采(卵管の先にあるラッパ状の組織)が周りの組織と癒着していれば、卵子を上手くキャッチすることが出来ません。また、卵管が癒着して狭窄・閉塞状態にあれば卵子と精子が出会うことができず、受精できません。これらの原因で「妊娠しづらい状態」にあるといえます。
 さらに癒着が進むと、子宮や卵巣など骨盤内の組織が一塊(凍結骨盤)になり、妊娠が難しくなります。

西洋医学の治療法

子宮内膜症の治療法は大きく分けて2つに分けられます。

①ホルモン療法 
子宮内膜症はエストロゲンという女性ホルモンによって病状が進行します。そのためホルモン剤を使って偽妊娠・偽閉経状態にし、内膜症の悪化を防ぎます。 スプレキュアなど点鼻薬を使って閉経状態にし、エストロゲンを出なくする治療法が一般的です。
ただ、一時的に閉経と同じ状態になるのでのぼせやほてり、発汗、イライラ、うつなど「更年期障害」のような副作用がよく見られます。

②手術療法
内膜症が進行し、ホルモン療法では難しい場合は開腹手術や腹腔鏡手術になります。
現在は腹腔鏡を使った検査や手術法が発達しており病変をレーザーで焼いたり、癒着した臓器を剥がす、卵巣内の、のう腫を取り除くなどの処置をします。

ホルモン療法や手術で病巣を小さくしたり、取り除くと一時的に病状はとてもよくなります。症状が軽くない場合は先に内膜症の治療をし、そのチャンスを見計らって妊娠をめざします。

中医学の考え方・お薬は…

 子宮内膜症は、子宮筋腫や月経痛などと同じ、「ちょうか」=しこりの一種と考えられています。中医学的な原因としては、お血(血行不良)、陽虚(冷え症)、肝鬱(ストレス)などです。
「お血」が酷いと月経痛やレバー状の塊、下腹部痛などをおこします。月経期は血行をよくし、余分な血液がしっかりと排泄されるように「活血剤」と呼ばれるお薬を服用します。代表的なものは冠元顆粒・血府逐お丸・きゅう帰調血飲第一加減などです。冷え症やストレスなどが強いとそれが更に「お血」の原因となり内膜症の症状を悪化させるので、体質改善も重要です。それぞれの体質にあったお薬を周期的にのみ分けることをおすすめします。
 また、内膜症治療のため「ホルモン療法」をし、一時的に更年期症状が出た時も漢方薬が有効です。のぼせやほてりを防ぐために瀉火補腎丸や加味逍遙散を用います。 月経が止まると子宮内の血行も悪くなりますので、血府逐お丸などを併用すると良いでしょう。

西洋医学の子宮内膜症と不妊症の治療はいわば真逆の治療ですから、内膜症の状態を見ながら不妊治療をすることになります。漢方薬で副作用が少しでも抑えられるように併用されることをおすすめします。

詳しくはパンダマークの薬局にてご相談下さい。

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