「胃」の西洋医学的な役割


中医学でいう六腑の一つである「胃」は、現在一般的に使われている「胃」の概念と大きく異なることはありません。まずは現代医学で言う「胃」を勉強してみましょう。

「胃」の機能は「食物を消化する」という点につきます。一時的に食物を留め、消化液と的確に混合させて細分化し、小腸での吸収を容易にさせます。消化液は強酸性であり、これは食物を酵素により分解する際の条件を整えるという意味合いの他に、口から侵入した雑菌を死滅させるためという理由があります。また「胃」では酵素によりタンパク質が主に分解されることも覚えておくと良いでしょう。ちなみに口から入った食物は早いもので5分ほど、遅くとも約6時間後には小腸(十二指腸)に送られるとされます。液体が一番早く、次に糖質、たんぱく質の順です。最後に脂質が送られるため、脂分の多い食事を摂った時には胃がもたれやすくなるのです。

 

「胃」の生理


では中医学では「胃」にはどのような役割があるとされているのでしょうか。

1、 胃は腐熟を主る
口から送られた飲食物を受け入れて(受納)、粥状にします。これを「腐熟」と呼びますが、言葉で説明するより漢字からイメージして頂いた方が早いかもしれません。

2、 胃は降を以って順となす
 食物を下部器官に送り届けることが役割である、という意味合いです。具体的には、小腸に食物をすべて送るという事を指し、逆にいえば食物が“降”りずに“昇”ってしまった時は“順”ではなく“逆”の状態であり、体に影響を与えるということを意味します。


胃の病理


「胃」に関係する病理は、「脾」の病理と大きく関わりがあります。「脾の病理」の回でご説明した「胃熱」「胃陰虚」も「胃」の病証とされることもあります。今回はその他の病証に少し触れてみましょう。

食滞胃かん(しょくたいいかん)
 胃腸の弱い日本人にこの病証は多いようです。食べ過ぎ、飲み過ぎにより胃かん部(みぞおちの辺り)に食物が停滞し、
みぞおちが張って痛んだりする状態です。消化を促進するお薬を使うことにより症状は緩和されます。

肝気犯胃(かんきはんい)
 ストレスにより「肝」がダメージを受け、その影響が「胃」に及んだ状態です。簡単に言えばストレスで胃が痛んだ状況を指します。
脇や腹部が張り、しくしくと痛み、胸やけなども引き起こします。この場合は「胃」ではなく基本的に「肝」を治療します。