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中医学を学ぼう!

「脾」の病理

脾胃のトラブル


「脾の生理」でご説明しましたように、脾には

・  運化機能

・  統血作用

・  昇清機能

といった生理機能があります。脾に何らかのトラブルが起こると、これらの作用に影響し、

・  消化機能低下

・  不正出血

・  内臓下垂

などの症状がみられるようになります。

脾は「土」の行に属し、体の資本となる栄養分や水分(中医学では「精微物質」といいます)をつくりだす重要な役割を担っています。土が冷えて凍ったり、水分が過剰になったり、逆に乾燥したりすると、よい作物が育たずに弱ってしまうことになります。


脾の病証


機能が異常に亢進して起こる実証と、機能低下や慢性病によって引き起こされる虚証に分けてみていきましょう。

 

*実証*


 1) 寒湿困脾(かんしつこんぴ)

生ものや冷たいものを摂りすぎて、胃を寒湿邪に侵された状態です。食欲不振、 吐き気、体が重いなどのほか、 みぞおちの辺りが冷えて痛み、温めると痛みが軽くなる、泥状便、唾液が多い などの症状があらわれます。

 2)脾胃湿熱(ひいしつねつ)

お酒や甘いものの摂りすぎなどで湿熱邪に侵された状態です。寒湿困脾と同様に食欲不振、体が重いなど湿邪による症状のほか、口が苦い、排泄物が臭ったり色が濃くなる、黄疸など熱の症状がみられます。

 3)胃熱(いねつ)

ストレスや香辛料のとりすぎが原因で、胃に熱が生じた状態です。胃の機能が異常に亢進しており、炎症などもみられます。食欲の異常亢進、食べてもすぐにお腹が空く、歯茎の腫れや出血、口臭、胸やけなどの症状があります。

 

*虚証*


 4)脾気虚(ひききょ)

脾気虚は「脾気」が損なわれた状態ですが、さらに以下の4つに分けられます。
 ⅰ)脾気虚弱(ひききょじゃく)
心身の疲労、飲食の不摂生、生まれつきの虚弱体質などが原因で、脾の運化機能が低下した状態です。食欲不振、食後のお腹の張りや眠気、全身の倦怠感などがみられます。

 ⅱ)中気下陥(ちゅうきかかん)
脾の昇清機能が低下した状態で、ⅰ)の症状に加えてめまいや胃下垂、脱肛など内臓下垂がみられます。

 ⅲ)脾不統血(ひふとうけつ)
脾の統血作用が低下した状態で、ⅰ)の症状の上にあざや鼻血が出やすい、不正出血、血尿、血便などがあらわれます。

 ⅳ)脾陽虚(ひようきょ)
冷えの症状があらわれてきた状態です。ⅰ)の症状に加えて手足の冷え、水様性の下利、むくみ、みぞおちがしくしく痛むなどがみられます。

 5)胃陰虚(いいんきょ)


飲食の不摂生や熱病の後、老化などで胃の陰液が消耗されてしまった状態で、虚熱による症状です。空腹感はあるが飲食物が入らない、口が渇く、便秘がち、みぞおちのつかえなどがみられます。

 




脾は「気血生化の源」であり、障害を受けることが生命活動に大きく影響を与える部分です。季節に合ったお食事で、普段より脾をいたわる習慣をつけましょう。

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