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生理のお話

生理(月経)と発熱|体質別に原因を解説

女性は月経周期(生理周期)によって体調が変化します。月経(生理)は主に2つの女性ホルモン(エストロゲン、プロゲステロン)によりコントロールされています。生理終了後から排卵まではエストロゲンが少しずつ増えますが、排卵前後、一旦減ります。その代わりのように、排卵後からはプロゲステロンが増えます。月経中は、どちらのホルモンも減ります。

この女性ホルモンのバランスの変化が原因となって、月経(生理)前後に、生理痛・PMS(月経前症候群)・発熱・頭痛・下痢・鼻血・浮腫(むくみ)・胸が張るなどの症状が出ることがあります。また、子宮内膜症を持つ約20%の方が、生理時の発熱を経験しているとの報告もあります。

ベッドで体温を計る女性

月経中の発熱はなぜ起こる?


月経中の発熱は、感染症などによる発熱とは原因が異なります。月経で調子を崩す人は、もともとの体質が大きく関係してきます。月経で調子を崩しやすいタイプの体質は、主に4つに分かれます。女性ホルモンの変化と生理のメカニズムについて説明した後、生理で調子を崩しやすいタイプの体質4つについて説明します。

中医学的に考えると…


中医学的な見方では、月経中の発熱は、体内の『気』『血』のバランス・機能が調子を崩すために起こると考えます。『気』とは、中医学独特の概念で、主に体を動かしたり温めたりするエネルギーを指します。『血』は、血液と血液の機能を含む概念で、血液の総量、血液の質、血液が含む栄養分やホルモンの作用なども指します。

女性ホルモンの特徴と月経周期


月経周期は、エストロゲンとプロゲステロンという2つの女性ホルモンによってコントロールされています。主にこの2つのホルモンにより、女性の体のリズムは動きます。

エストロゲンの特徴


エストロゲンは、第二次性徴とともに増える女性ホルモンです。
・女性らしい身体をつくるホルモン
・自律神経、感情、骨、皮膚、内臓などと大きく関わっている
・妊娠準備のため内膜を厚くする
・分泌の多い時期は心身安定し体調が良くなる
などの特徴があります。

プロゲステロンの特徴


プロゲステロンは、体に妊娠の準備をさせるホルモンです。
・受精卵が着床しやすい環境をつくり、妊娠が成立したときは維持させる
・体内の水分保持や食欲を増進させる
・基礎体温を上昇させる
・分泌の多い黄体期には頭痛、イライラ、不安感、不眠、むくみ、乳房の張りなどの症状が出やすい
などの特徴があります。黄体期(生理前)に出る頭痛、イライラ、不安感、不眠、むくみ、乳房の張りなどの症状がひどくなり不調を感じると、月経前症候群(PMS、または生理前症候群)と呼ばれます。



月経周期


どのようなリズムで月経が起こるか、簡単に説明します。

・卵胞期
脳からの指令(FSH:卵胞刺激ホルモン)によって卵巣内の原始卵胞が成長し、その卵胞からエストロゲンが分泌され、それに伴って子宮内膜が増殖し厚くなっていく。

・排卵期
増加したエストロゲンを感知した脳からLH(黄体化ホルモン)が出て、それによって卵子が卵胞から排出される。

・黄体期
排卵後の卵胞の袋がLHによって萎縮し、黄体となる。この黄体からプロゲステロンが分泌され、子宮内膜はさらに厚くなり、栄養分を蓄え受精卵の着床、発育を促す。
プロゲステロンが脳の体温中枢に作用し、体温を0.3~0.5℃程度上昇させる。そのため、黄体期は高温期とも呼ばれる。妊娠が成立すれば、体温は高いまま維持される。

・月経期
妊娠が成立しなかった場合、黄体は萎縮して白体となり、エストロゲン・プロゲステロンの分泌が急速に低下し、子宮内膜が脱落して月経(生理)となる。



生理前後の発熱の原因を体質別に解説


月経(生理)で起こる発熱の原因となる体質を中医学的に紹介します。ここまでで説明した月経の周期的なリズムを踏まえてご覧ください。

肝鬱化火(かんうつかか)型


【症状】
・生理前あるいは生理時に微熱が生じ、生理が終わる頃には下がる
・生理周期が短くなる
・経血が濃く鮮紅色
・乳房が張る
・口が渇く
・便秘気味
・イライラ、怒りやすい
・舌色が赤色
・黄体期の基礎体温高め、月経前症候群(PMS)の症状が多い
・基礎体温は安定せず波状になる

【原因・特徴】
中医学では、ストレスは肝(五臓六腑のうち、血を蔵するとされるもの。肝臓そのものだけを指すのではない)の働きに大きく影響すると考えます。ストレスで肝のうっ滞が起きると、気滞と呼ばれる状態(気の巡りが悪く内臓や器官などの動きに支障が出る)になります。更にストレスが高じると、肝から熱が生じ、火と化すとも考えられます。
肝うつ化火型の生理前後の発熱は、
・ストレスが多く肝うつ気滞が続くと化火し、火熱が生じたために発熱する
ことが原因と考えます。また、特徴として、
・生理が終わる頃にはスッと楽になる
ことが挙げられます。

【よく使われる漢方薬】
逍遥顆粒(しょうようかりゅう)、加味逍遥散(かみしょうようさん)、頂調顆粒(ちょうちょうかりゅう)など


瘀血内阻(おけつないそ)型


【症状】
・生理前あるいは生理時に微熱が生じる
・ひどい腹痛
・経血の色は暗紅で塊が多い
・舌は紫色、斑点がある
・鎮痛剤を服用しないと我慢できない

【原因・特徴】
おけつ内阻型は、中医学の用語を使うと、血瘀(けつお、血の巡りが悪い状態)のために引き起こされる体質です。中医学では、血の巡りが悪いと、血に熱が溜まって発熱することがあると考えます。
おけつ内阻型の生理前後の発熱は、
・血流が滞り、血が子宮に停滞し次第に化熱し、生理時に「瘀熱(おねつ)」がピークになり発熱する
ことが原因と考えます。また、特徴として、
・生理終了後には熱も下がる
ことが挙げられます。

【よく使われる漢方薬】
血府逐瘀丸(けっぷちくおがん)、桃核承気湯(とうかくじょうきとう)、温清飲(うんせいいん)、芎帰調血飲第一加減(きゅうきちょうけついんだいいちかげん)など


気血両虚型


【症状】
・生理中あるいは生理後に微熱が生じる
・経血が淡色で量が多い
・冷え
・めまい
・気力がない、倦怠感

【原因】
気血両虚型とは、中医学用語で、体を動かしたり温めたりするエネルギー(気)も、体のすみずみまで栄養分やホルモンを運ぶ血も足りない状態のことを指します。気が足りないので体が冷えやすく、気力が出ず、だるくなりがちです。また、血が足りないので、経血の色が淡くなります。中医学では、気が充実していると出血しにくいと考えますが、この体質だと気が不足しているので出血しやすく、経血の量自体は多くなると考えます。
気血両虚型の生理前後の発熱は、
・気血の消耗や脾虚(消化器官の弱りによる消化吸収機能の不足)によって気血が作られにくい
・生理のときにさらに気血が不足するため体表の陽気(主に体を温めるエネルギー)が体に留まらず発熱する
ことが原因として考えられます。

【よく使われる漢方薬】
婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)、四物湯(しもつとう)など


陰虚火旺型


【症状】
・普段から微熱があり生理時に熱が高くなる
・特に午後になると発熱する
・経血が暗紅色で少量
・両頬がポッと赤い
・手のひら、足の裏のほてり
・口の渇き

【原因】
中医学では、体の熱を冷やしたり体を潤したりするものを、全体的に陰のものとして分類します。水分は陰に入りますし、血も十分な水分を含んでいれば陰として分類します。陰が不足(陰虚)すると、体の熱を冷ませず、熱が出ると考えます。
陰虚火旺型の生理前後の発熱は、
・生理で経血が排出されたことで陰血が消耗
・身体の陰不足により陽気を留めることができず、陽気が外に向かい発熱する
ことが原因として考えられます。

【よく使われる漢方薬】

瀉火補腎丸(しゃかほじんがん)、杞菊地黄丸(こぎくじおうがん)、二至丹(にしたん)など

瀉火補腎丸

以上、4つの型に分け1と2は実証、3と4は虚証に属しますが、実際は体質がピッタリと型に分かれずに虚実が混在していることが多くみられます。

また、子宮内膜症では約20%の方が生理時の発熱を経験しているとの報告があります。内膜症はひどい月経痛を伴い、上記の体質ではおけつ内阻型の傾向です。

病院での治療はホルモン剤など使用したり手術となりますが、体質改善のために漢方薬を服用することもひとつの方法でしょう。

実際に服用される場合は漢方薬局にてご相談下さい。

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生理,発熱,
監修
佐藤薫
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上海外国語大学留学中に中医薬膳に出会い、帰国後北京中医薬大学日本校に入学。中医薬膳専科で中医薬膳学、中医中薬専攻科で中医学を学ぶ。現在、イスクラ薬局日本橋店での漢方相談のみならず、日本中医食養学会講師、北京中医薬大学日本校で中医中薬専攻科での通訳を務める。体の基礎を作る食事からしっかり指導できる学会認定不妊カウンセラー。

「食養生は、中医養生法の礎となるものです。漢方同様、お一人お一人の体質体調に合った食養生法をご提案します。」

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