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薬膳について

“大寒”を乗り切るアイリッシュ・シチュー

冬の自然現象とは


中医学では、気候の変化や生活環境が、身体に与える影響を重要視しています。


大自然と人間とは一体であるという“整体観念”という思想が背景にあるからです。冬の自然現象の特徴は「寒」です。この「寒」は、
通常の気候変化であり、人体の適応範囲を超えなければ害を及ぼすものではないのですが、適応していける限界を超えた寒さであったり、また、
通常の気候変化であったとしても身体の抵抗力が落ちているとき、「寒」は「寒邪」となり、身体に悪影響を及ぼします。「寒邪」
は人体の陽気を奪い、悪寒、腹痛、下痢、手足や腰の冷えなどの症状が出てくることになります。


また、体内を巡って生命活動を維持する「気」や「血」は、陽気の動力によって循環するので、寒邪によって陽気が奪われると、
その巡りが滞ってしまいます。身体が冷えると腰痛、下腹部痛、生理痛、関節痛などが出てくるのは、
気血の巡りが滞るために痛みが生じるからです。


冬の食養生


冬は寒邪から身をまもるために、身体を温める食材を積極的に摂りたいものです。


この季節に旬を迎える、海老、ナマコ、マグロ、蕪、金柑、小松菜、人参、葱などは身体を温める作用があります。その他にももち米、
山芋、南瓜、鶏肉、黒砂糖、そして今回ご紹介するアイリッシュシチューの食材でもある羊肉にも同様の作用があります。


寒邪に打ち勝つアイリッシュ・シチュー

薬膳HP写真0901


①アイリッシュ・シチューとは

アイリッシュ・シチューとは、羊肉を使ったアイルランドの素朴な家庭料理です。


羊肉は気や血を補って、胃腸を暖める作用があります。日本では未だあまり一般的ではありませんが、ヨーロッパや中近東、インドや中国、
モンゴルでは古くから家畜とし、親しまれてきました。中国では、昔から羊肉をよく食べ、肉類の中で一番身体を温めるとされてきました。
冷え性の方、冷えからくる腹痛や下痢、産後で身体が弱っているときなどには特にお勧めです。


しかし温める作用が強いので、日頃から暑がりやの方や、湿疹や口内炎のある方は控えましょう。アイリッシュ・
シチューは家庭料理なので、様々なレシピがありますが、今回はタイムを羊肉の臭み消しに使いました。料理用ハーブの代表選手のタイムには、
ティモールという防腐や殺菌効果のある精油が含まれており、欧米では昔から消化器系、気管支系の薬草としても有名です。では、
作り方をご紹介します。


②アイリッシュ・シチューの作り方

材料(二人分): 

骨付ラム肉  2~4本

ジャガイモ  2個

人参     1本

玉ねぎ    1個

ニンニク   1片

塩コショウ  適量

タイム    適量

ローリエ   1枚 


作り方:

1. ラム肉に塩コショウ、タイム、ニンニクをすり卸したもので濃い目に下味をつけ、
できれば味がしみ込むまでしばらく置いておく。

2. ラム肉を圧力鍋で弱火で脂身から焼き、シチュー用に切った野菜類も入れて炒め合わせる。

3. ローリエと熱湯をコップ一杯ほど注ぎ、ふたをして、普通のシチューを作るくらいの時間の圧力をかけ、火を止める。


4. 温めた皿に盛り付ける。(羊肉の脂肪は融点が高く、冷めるとすぐに固まって口当たりが悪いので、熱いうちに召し上がれ!)


* ここでは簡単に圧力鍋を使いましたが、普通の鍋を使うときは、水加減はもう少し多目の方が良いと思います。

* 今回タイムはフレッシュなものを使いましたが、乾燥タイムの場合、少量でも香りが強いので入れすぎに注意してください。


主な食材の効能

羊肉:甘、温/腗、腎/益気補虚、温中暖下

ジャガイモ:甘、平/胃、大腸/益気健腗、調中和胃

人参:甘、平/肺、腗/健腗化滞、潤燥明目

玉ねぎ:辛、温/肺/清熱化痰


以上、とても簡単で身体が温まるアイリッシュ・シチュー、是非お試し下さい。


 


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