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お正月明けの「脾」を健やかに!鶏手羽肉と大根の黒酢煮・黒米の栗ご飯(2022年最新版)

新年が明け、心新たに仕事や勉強に励んでいらっしゃる方も多いでしょう。半面、3年ぶりのクリスマスパーティー、忘年会、新年会で胃腸が疲れ、新年早々体調を崩してしまった方もいらっしゃるのではないでしょうか?体の中心に位置する胃腸は皆さんが考える以上に大切な臓腑、胃腸の不調が体全体の不調へと発展してしまいます。そして、タイトルに書きました「脾」とは、一体何のことでしょう?これより中医学ミニ講座を開催(笑)、「脾」の解説、脾を健やかに保つ薬膳メニューをご紹介します。



1.「脾」とは?


「脾」とは消化器系統の働き全般を指しており、飲食物を胃や小腸を通して消化、吸収させ、その後にできる栄養物質を全身に運んでいます。また、気血を作ったり、血を血管内に正しく巡らせたり、内蔵が下垂しないようにするのも脾の役割です。



2.「脾」のおもな働き


(1)消化、吸収、運搬の管理(運化作用)


脾の最も重要な働きは、この運化作用となります。胃や小腸、胆などに指令を出して、消化、吸収させた後にできる栄養物質を全身に運びます。
脾の運化作用が低下すると、食欲不振、胃のもたれ、食後の眠気やだるさ、軟便、下痢、むくみなどの症状が現れます。

(2)気血を作る


脾は飲食物から作られた栄養物質をもとに、気や血を作ります。この働きが低下すると、気血が不足して栄養が不足し、徐々に痩せてきたり、顔色が血の気がない黄色になります。

(3)血の巡りの管理(統血作用)


血が血管の外に漏れないように、血の巡りを管理します。この統血作用が低下すると、鼻血、不正出血、月経がだらだら続く、
皮下出血などの症状が現れます。

(4)内臓、組織の位置の維持(昇提作用)


内臓や組織器官の、体内における本来の位置から下へ下がらないよう維持します。この昇提作用が低下すると、腹部の下垂感、脱肛、めまい、ふらつきなどの症状が現れます。



3.「脾」を養う薬膳メニュー


次に、「脾」を養う鶏肉、黒米、うるち米、栗、消化を助ける大根、黒酢を使った薬膳メニューをご紹介します。冬に補うべき「補腎」の黒い食材も採り入れています♡では「補腎」とは?またの機会にご紹介しますね。

鶏手羽肉と大根の黒酢煮・黒米の栗ご飯


写真(1月薬膳)








<材料(2、3人分)>

(1)鶏手羽肉と大根の黒酢煮
鶏手羽肉  400g
大根    400g
黒木耳   適宜
生姜    一片
黒酢    50cc
酒     30cc
醤油    30cc
黒砂糖   大匙1
松の実   適宜
枸杞子   適宜

(2)黒米の栗ご飯
無洗米、黒米その他雑穀合わせて 1カップ
むき甘栗 70g
煎り黒豆 20g
水 240cc
塩 ひとつまみ

<作り方>

(1)鶏手羽肉と大根の黒酢煮
1.鍋に調味料全部を合わせ、鶏手羽肉を加え一時間ぐらい漬け込む。
2.鍋に乱切りにした大根、木耳を加え、ひたひたになるまで水を注ぎ、点火して鍋に蓋をして大根が柔らかくなるまで煮込む。
3.煮あがったら器に盛り、松の実、枸杞子を散らす。
(2)黒米の栗ご飯
1.米類をさっと洗い、その他の材料と合わせて普通に炊く。
2.俵形に握り、黒ゴマ塩をかける。

*煎り黒豆とは、黒豆を煎ってそのまま食べられるようにしたもので、自然食品売り場や、地方の物産館などで見かけます。
生の黒豆と違い、そのままお米と一緒に炊き込むことができます。

<主な食材とその功能>

(1)鶏手羽肉と大根の黒酢煮
鶏肉:甘温/脾胃/温中・益気・補精・添髄・降逆
大根:辛甘・涼/肺胃/消食化痰・下気寛中
木耳:甘平/胃大腸/養陰潤燥・利腸涼血、止血・益精善血
生姜:辛温/肺脾胃/散寒・解表・降逆・止嘔・化痰・解毒
酢:酸苦・温/肝胃/散瘀・止血・解毒・殺虫・消食化積
黒砂糖:甘温/脾胃肝/補中暖肝・和血化瘀・調経・和胃降逆
醤油:鹹寒/腎胃/健脾開胃・清熱解毒・宣鬱
酒:甘辛苦温/心肝肺胃/温経・通絡・理気・活血・散寒・止痛・沢膚・燥湿
松の実:甘温/肝肺大腸/潤肺・滑腸
枸杞子:甘平/肝腎肺/滋補肝腎・明目・潤肺

(2)黒米の栗ご飯
黒米:甘平/脾胃腎/健脾・補腎・活血・明目・滋腎
粳米:甘平/脾胃/補中益気・健脾和胃・除煩渇
栗:甘温/脾胃腎/養胃健脾・補腎強筋・活血止血・止咳化痰
黒豆:甘平/脾胃/活血利水・解毒
黒胡麻:甘平/肝腎/滋養肝腎・潤燥滑腸
塩:鹹・寒/胃腎大小腸/清火・涼血・解毒・涌吐

以上簡単に「脾」のご説明をしてきましたが、年末の大掃除などでの疲労で気を消耗し、更にクリスマスやお正月の暴飲暴食が重なり、脾を傷つけられて、上記のような症状になられている方もいらっしゃるのでは?一年が始まる大事なスタートラインの今、気を補い、脾を健やかにする薬膳メニュー、是非一度お試しくださいね♡

食養生でも中々治らない胃腸の不調はどうぞイスクラ薬局にもお気軽にご相談くださいませ♡まずはメール相談をご希望でしたらお試しプレ相談、ご予約でしたらお電話もしくはご予約フォームから承ります♡

監修
佐藤薫
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上海外国語大学留学中に中医薬膳に出会い、帰国後北京中医薬大学日本校に入学。中医薬膳専科で中医薬膳学、中医中薬専攻科で中医学を学ぶ。現在、イスクラ薬局日本橋店での漢方相談のみならず、日本中医食養学会講師、北京中医薬大学日本校で中医中薬専攻科での通訳を務める。体の基礎を作る食事からしっかり指導できる学会認定不妊カウンセラー。

「食養生は、中医養生法の礎となるものです。漢方同様、お一人お一人の体質体調に合った食養生法をご提案します。」

*不妊、二人目不妊、子宮筋腫、卵巣嚢腫、月経痛、更年期

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