まずははじめに便秘とは?

便秘とはどういう状態を言うのでしょうか?
毎日排便があれば便秘ではないのでしょうか?
いえいえ、実は便秘とは排便回数だけの問題ではありません。

便秘の定義は、


1.排便の間隔が長い(3日に1回など)
2.排便量が少ない
3.便が硬い
4.排便困難(力んで疲れてしまう、息切れがする、毎回とても時間がかかるなど)
5.残便感やお腹の脹りがある
などの状態であって、本人が調子が悪い不快だと感じていれば、たとえ毎日排便があったとしてもそれは「便秘」なのです。



 

西洋医学的には?


腸に大腸癌やポリープなどの異常がないにも関わらず、慢性的に便秘になっているものを機能性便秘と言います。

原因は大まかに3つに分類しています。
1.弛緩性便秘…大腸が緩んで腸の蠕動運動が低下している
2.痙攣性便秘…ストレスで腸が過敏になり痙攣して細くなった部分に便やガスがたまる
3.直腸性便秘…便意の我慢や下剤の乱用により、直腸が鈍感になって便がたまっても便意を感じない

便秘改善には十分な水分を摂ろう、食物繊維が豊富なものを食べようと言われます。食物繊維には水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の違いがあり、便秘のタイプによって向き不向きがあります。

<不溶性食物繊維>
水分を吸収し腸内で膨張して便の嵩を増やし、大腸壁を刺激して便通を促します。
大豆、ごぼう、穀類など。

<水様性食物繊維>
不溶性食物繊維よりも保水力が高いので便を柔らかい状態にします。
ぬるぬるネバネバした食品、蒟蒻など。

バナナなど繊維質が豊富そうなものを摂ってるのに出ない、ゴボウや豆を食べるとかえってお腹が張ってしまう、という人は自分の便秘のタイプと努力の方法が食い違っているのかもしれません。例えば、痙攣性タイプには腸を刺激する不溶性食物繊維は逆効果なので、消化の良い食べ物を選んでください。弛緩性タイプなら腸を刺激する不溶性食物繊維が有効です。

 



 

中医学的には?


中医学では便秘のタイプを便の特徴の他、全身症状を組み合わせて考えます。

1 熱結便秘(体に熱がこもって腸が乾燥している)
【便の特徴】  便は固く出にくい
【全身症状】  体に熱がこもりやすい、口臭や口渇があるなど

2 気滞便秘(気の流れが欝滞してスムーズに便を運べない)
【便の特徴】  便意はあるのに出ない、排便してもすっきり感がない
【全身症状】  お腹が張ってげっぷやガスが多いなど

3  気虚便秘(便を押し出す力が弱い)
【便の特徴】  便意はあるが力んでも出ない、排便で疲れる
【全身症状】  疲れやすい、風邪を引きやすい、疲れると動悸がするなど

4 血虚便秘(腸が乾燥して便が出にくい)
【便の特徴】  便が固くて出にくい、
【全身症状】  顔色が悪い、立ちくらみ、爪がもろい、目が乾く、皮膚乾燥、月経量減少、皮膚乾燥など

5 陽虚便秘(便を押し出す力が弱い)
【便の特徴】  排便困難
【全身症状】  手足が冷える、寒がり、お腹が冷える、夜間尿が多い、腰が冷えてだるい

6 陰虚便秘(腸が乾燥して便が出にくい)
【便の特徴】  便が非常に固く便器に当たって音がするほど
【全身症状】  口の乾燥、皮膚乾燥、痩せ形、寝汗、耳鳴り、足腰がだるいなど

 

弛緩性・痙攣性・直腸性といった西洋医学的な便秘のタイプ分けに、中医学的な体質分析を組み合わせ、健やかなお通じを取り戻しましょう。毎日の食べ物は繊維質が豊富かどうかだけでなく、体を温める性質を持っているか、逆に体を冷やすのか、元気をつけるのか、潤いを補うのかという中医学的な観点から見直してみると、自分の食生活が案外偏っていることに気づきます。

朝起きてすぐ冷たい水を飲む、たくさん水分を摂る、ヨーグルトを食べるなどは便秘に良いと言われていますが、誰にでも良い訳ではありません。気虚体質や陽虚体質で胃もたれしやすくお腹が冷えやすい人は、便秘が治るどころか、ますますおなかが冷えて消化吸収力が低下したり浮腫みがちになったりしますので、胃腸を温め消化機能を改善し胃腸の蠕動に力を与える漢方薬や食べ物が有効です。血虚状態の人は血を補い体を温める漢方薬を飲むと、便秘も冷え性も同時に改善したりします。

 

 

便秘の薬膳


便秘解消には、漢方薬と食生活の改善を同時進行で行うのがお勧めです。胃腸に負担がかからず、繊維質も豊富で、比較的どの体質の人にも合う小鉢をご紹介します。




ネバネバおろし
【材料(1~2人分)】
大根 直径8cmの大根なら6cmほど
メカブ 1パック(50g入)
フルーツトマト 2個
オクラ、山芋、納豆、モロヘイヤから1種類 適量

【作り方】
1 大根は皮をむいて下ろす
2 トマトは4つにスライスする
3 その他は小さく刻む
4 全部混ぜて味を調える(メカブや納豆に添附のタレでもよい)

【食材の情報】
生の大根は消食下気といって、消化を助けて胃腸をすっきりさせ、お通じを促します。便秘には適度な油分と食物繊維が必要と言っても、胃腸が弱く何を食べても胃にたまってもたれてしまうようではいけません、大根下ろしをベースに使ってみてください。

☆脾気を補う山芋、オクラ、納豆のネバネバ成分のムチンは胃粘膜を保護し消化を促しますので便秘予防にもなります。

トマト余分な熱を冷まして口渇をしずめ水分を補う働きがあります。味のアクセントになるので甘いフルーツトマトを使うのがお勧めです。ただし、寒涼性のものが多いので陽虚の人はこの他に体を温める食材や薬を組み合わせます。

 

 

その他のポイント


☆夜型の生活は止めましょう。夜更かしによる睡眠不足は自律神経に負担を与え腸の働きを悪くしますし、遅くに食事することになりがちです。

☆モチリンという消化管ホルモンは、胃や腸の内容物を肛門の方へ送る蠕動を促進させる働きがありますが、6時間以上空腹にならないと十分に分泌されないため、寝る前3時間はものを食べないようにしましょう。

 

 

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