私たちが食べた食物は、胃や十二指腸など上部消化管で消化されたのち、小腸、大腸吸収され、その残渣は大腸内の細菌と共に一般的には24~72時間後に排泄されると言われています。

便秘とは、糞便が長い間腸管に留まり、水分が減少し硬くなり、排便に困難を伴うようになった状態のことで、便の回数の減少・便量の減少・硬い便・排便困難感・残便感などがあるときにいいます。

慢性便秘は、このような状態が習慣化したもので、日常生活でも不快であるばかりでなく、様々な病気の引き金となったり、悪性の病気をおこしたり、見落としたりすることにつながります。

Huge bathroom sign
Huge bathroom sign / Debs (ò‿ó)♪



◎西洋医学的【便秘】


西洋医学で便秘は、器質性便秘機能性便秘に分けられています。

 

器質性便秘


・腫瘍、炎症などによる狭窄があり、腸の通過障害が起こっているもの。
・腸以外の気質的疾患に伴う大腸の運動機能異常によるもの。

 

機能性便秘


・食事性便秘・・繊維の少ない偏った食事・小食による
・直腸性(習慣性)便秘・・便意の我慢・下剤、浣腸などの乱用や誤用による
・弛緩性便秘・・大腸の緊張低下、運動の鈍化・腹筋力の衰えによる
・痙攣性便秘・・副交感神経の過度の緊張などにより、腸管が過度に緊張し、便の輸送が妨げられることによる

その他に、薬剤性便秘代謝・内分泌性便秘神経筋原性の便秘もあります。


 PhoTones Works #384
PhoTones Works #384 / PhoTones_TAKUMA


 

◎西洋医学の便秘の治療法


・器質性便秘に関しては、詰まった場所の処置など、原疾患の治療が便秘の改善に繋がります。
・機能性便秘に関しては、繊維の多い野菜や果物の摂取・規則的な排便習慣・適度な運動・適切な薬剤の服用・腸内環境の改善(善玉菌を増やす)などを組み合わせて行います。

 

一般的に用いる下剤


・刺激性下剤・・小腸や大腸に刺激をあたえ蠕動運動を引き起こすことによって排泄を促すもの(アントラキノン系・センナ・大黄・アロエ・ピコスルファート・ビサコジル・ひまし油など)
・機械性下剤・・便に水分を加え軟らかくし、排泄しやすくするもの(膨張性下剤浸潤性下剤・塩類下剤また坐剤など)

これらの便秘薬は、あくまで対症療法で根本的解決にはならないことと、常用することで自力での排便がますます困難になり症状を悪化させたり、大腸粘膜を変性させてしまうこともあります

antacid2
antacid2 / Treasure Tia




 

 

◎中医学的【便秘】


一方、中医学では、慢性便秘は体質と関係の深い症状であると考え、先ず体質改善をし、合わせて生活習慣、食事の改善と共に根本からなおしていきます。中医学では便秘を、過剰状態の実証と足りない状態の虚証に分けて考えます。

実証の便秘は、緊張や体力が有り余るような、『過剰』状態におきます。腸管が緊張痙攣しておこる緊張性の便秘は、ストレスなどで気のめぐりが悪化した肝気鬱結や、体力が過剰で熱っぽくなることで起こる便秘を乾燥性便秘、又は熱秘といいます。弛緩性便秘は腸管や筋肉が弱く便を送り出すエネルギーが弱いことで起こる虚証の便秘です。乾燥性便秘も老化や衰弱により体の水分が少なくなって熱っぽくなった陰虚による虚証の便秘です。


●実証の便秘


1. 高ストレスな『肝気鬱結』タイプ


【症状】:胸が苦しくコロコロした便、腹部にガスが溜まる、情緒不安、残便感
【治療法則】:疏肝理気、通便
【方剤】:柴胡加竜骨牡蛎湯など

 

2. 体力過剰『熱秘』タイプ


【症状】:実熱で便が乾燥して硬い、顔面紅潮、口臭
【治療法則】:清熱潤腸、通便
【方剤】:三黄瀉心湯、桃核承気湯など

 

 P1070404
P1070404 / technicolours



●虚証の便秘


1. エネルギー不足の『気虚』タイプ


【症状】:疲れやすい・無気力、めまい、汗をかきやすい
【治療法則】:補益肺脾、潤腸通便
【方剤】健胃顆粒+麻子仁丸

 

2. 冷えが目立つ『陽虚(脾腎陽虚)』タイプ


【症状】:手足が冷たい・冷え、時に下痢をする
【治療法則】:温補脾腎、通便
【方剤】:金匱腎気丸、真武湯

 

3. 血が少ない『血虚』タイプ


【症状】:血色が悪い、めまい、動悸、不眠、月経の遅れ
【治療法則】:補血潤腸、通便
【方剤】:婦宝当帰膠、潤腸湯など

 

4. 体液不足の『陰虚』タイプ


【症状】:手足のほてりやのぼせ、口の渇き、不眠、寝汗
【治療法則】:滋陰潤腸、通便
【方剤】:杞菊地黄丸、八仙丸など

これらのタイプは単一ではなく、幾つかのタイプに重なっている場合もあります。その場合は漢方薬も重ねて用います。

Traditional and Modern Medicine
Traditional and Modern Medicine / spotreporting




◎生活習慣の改善


中医学においても、便秘を治療するには、その症状・原因(その人の体質)を把握し、適切な漢方薬を用いると同時に、食事、生活習慣を見直し、腸内環境を整えるという総合的な対策が必要とされています。特に不溶性と水溶性の食物繊維をバランスよくとることは、とても重要です。腸内環境の改善では、善玉菌であるビフィズス菌などを増やす食生活をしましょう。オリゴ糖を摂ることも善玉菌を元気づける為良い影響があります。適度な運動、散歩やストレッチで腹筋力をつけたり、お腹をマッサージしたり、ストレスを貯めずに、適度にを発散させることも大切です。

自力での排便は、精神的にも肉体的にもとても大事なことですね。