栄養不良状態

肥満度を知る指数にBMIという体重を身長の二乗で割った数値(165cm、59kgなら59÷(1.65×1.65)=BMI21.67)があるのですが、この指標では、22なら標準、25以上から肥満、18.5未満は低体重・痩せ型と決められています。この数値において、日本の20代の女性は栄養不足状態にあると言われているそうです。なんと日本の20代女性の平均値は標準体重を大きく下回る「18.7」だそうです。これは先進30か国の平均をも大きく下回り、なんと、食糧事情があまり良くないアフリカのザンビアなどの途上国の平均値と同じだそうです。日本の20代の女性は、世界的にもまれな「先進国における栄養不足状態」なんだそうです。毎日1800万トンもの食量が捨てられているここ日本において、栄養不足状態なんてあり得るのかと考えてしまいますが、日本の町中を眺めているだけでも、それは十分にあり得ることであるのが実感できます。


Informe para ciegos II
Informe para ciegos II / ·teleoalreves·



間違ったメッセージが生む 太る事への恐怖


日本人の痩せ型至上主義への大きな影響の一つに、「美=痩せ形」というメディアからの影響が考えられます。医学博士でもある料理評論家の服部幸應は、ミスユニバース日本代表の選考委員だったこともあるそうで、当時、氏が代表を選んだ時の基準の一つにBMI22以上(23だったかも?)という基準を入れていたそうです。「女性の美しさというのは、ある程度肉付きが良いことがその条件に含まれる」という事を啓蒙したかったそうですが、これが10年ほど前から大きく変わってしまい、もはやBMI22のというのは「肥満」とすらみなされるようになり、なんと、「BMI18.5以下」でないと優勝できないようになってしまったとのこと。これは、私たち大人が、〝美しいとは痩せていることだ″という間違ったメッセージを世間に送り続けている事象の一つと言えるでしょう。

University Festival 2011
University Festival 2011 / Hiroshima University Campus Scape



過度のダイエット:拒食症の恐ろしさ


過度のダイエットが招く、悲惨な結果に拒食症があります。拒食症とは、「痩せていてもそれを認められない病気」です。拒食症になってしまった人は極端に食事量が減少してしまい、とくに主食が少なくなり、副食も肉類や油ものは避け、限られた低カロリーの食品しかとらないようになってしまいます。それでも食べ過ぎと感じてしまい、食後に自ら嘔吐したり、下剤を乱用したりする人もいます。

拒食症の怖いところは、初期の頃は小食からの体力の低下がみられず、逆に活動的になってしまうところです。その後、体力は徐々に落ちて行きますが、そのころには一般的な食事は受け入れられなくなっていることが多く、入院が必要な状態となってしまっています。しかし、本人はその状態を認めたがらず、まだ太っていると考えてしまいます。もちろん危機感も乏しく、病院にかかることも稀です。

 

心理学では拒食症に陥る大きな原因の一つとして、社会が発信している「間違ったボディーイメージ」を挙げています。メディア、コミュニティー、近親者、友人、学校、会社、様々な社会的影響下において、痩せ型=美しい、ひどい場合は肥満は悪というメッセージを受け続けた結果、痩せることへの執着、もしくは、太る事への恐怖が作り出され、それが過度のダイエットへと導いてしまうというものです。

過度なダイエットを続けると、脳は栄養失調となり、鏡に映った自分を正確に判断できず、もう脂肪なんてどこにもついていないのにもかかわらず、「まだ太っている」と思い続けてしまい、更なるダイエットを続けてしまうという悪循環に陥ってしまいます。そんな状態にまでなると、自分の腕や、お腹、太ももが本来の何倍にも見えてしまう〝幻覚″すら見えてくるようになります。脳はもはや正常な判断を下すことはできず、食べ物のを拒み続けることとなり、体はどんどん衰弱し、やがて死に至ります。

かの有名なポップスデュオ、カーペンターズの「カレン・カーペンター」がまさにこの状態となり、亡くなってしまった事をご存知の方も多いのではないでしょうか。彼女が拒食症に陥った原因として考えられているのは、兄に「少し太っている」と言われた事、常に人に見られる「芸能人」という職業であった事、ファッションやモデル業界の人々と頻繁に交流があった事、音楽雑誌に「太っちょ」と書かれた事、などがあげられています。彼女は、太っていることに罪悪感を感じ、ダイエットに励み、そして、帰らぬ人となったのです。

 


晩年、いたたまれない姿のカレンカーペンター



http://mind-seek.up.n.seesaa.net/mind-seek/image/karen_carpenter.jpg?d=a1

 

他人事じゃない


インターネットが現代のように普及する前は、写真など、自らの姿を公開することは、芸能人やモデルなど一部の人々に限られていたと思います。しかし、ソーシャルメディアが発達し、だれもが世界に向けて自分の姿をさらし、そしてその容姿に対して批評を受けかねないこの時代において、私たちの誰もが”カレン”のようになりうる可能性を秘めているといえます。ましてや、若い世代というのは、そういった″批評″の対象になりやすく、大人よりも世間の目が気になってしまう心理状態にあり(" imaginary audience"を参照)、受けてしまった心の傷はその後の人生に大きな影を落とすことになりかねません。

tabu on models?
tabu on models? / ºNit Soto


 

 

 

すこし太り気味の方が健康??


アメリカ疾病対策センターの研究によると、BMIで「過体重」に分類される人々のほうが、標準体型の人より死亡リスクが6%低かったという結果が出ています。これは、世界的に考えられている標準値よりも少しだけぽっちゃりしている人の方が健康である、細いことは不健康なのだという一つの証明です。しかし、過度の肥満も健康リスクを上げてしまうことも、また事実です。同じくアメリカ疾病対策センターの報告によれば、BMI35以上(肥満度3、4)の本格的な肥満体型の人の死亡率は、普通体重に比べて29%も上昇したそうです。



/ healthiermi



摂食障害の根底に


上記の拒食症や、食べた後に吐いたり下剤でだしてしまう「過食症」などの摂食障害に陥る人は、完璧主義で、細かなことに良く気が付く反面、自らも傷つきやすいという傾向がみられます。決して過度なダイエットだけがこの病気を生み出すのではありません。心の優しい人、真面目な人、ちょっとしたことが気になる人、細かな気配りができる人、そして、思春期の葛藤や挫折など様々な心理的葛藤が、体型への葛藤へと置き換えられてしまうのです。痩せることへの願望や、社会的プレッシャー、そして自らが抱える葛藤。これらが複雑に絡み合った結果、摂食障害という病気は体を蝕んでいくのです。

摂食障害をただの「ダイエット病」という風に考えないでください。実際に拒食症では、栄養失調や低血糖、嘔吐や下剤の乱用などによる低カリウム血症などで、この病気を患った数パーセントの人が死亡しています。決して軽く考えないでください。




Anorexia
Anorexia / schnappischnap



摂食障害の危険とどう付き合うか


摂食障害に対する簡単な治療法はありません。本人の治療に対する抵抗が強いことも、回復を妨げている原因です。強制的に治療を受けさせることも難しいので、根気よく付き合っていく必要があります。据食も過食も、本人が一番そのことに罪悪感と、一生続くのではないかという恐怖感を抱えています。拒食症の方はときとしてとても頑固ですが、その頑固さの裏には、むなしさや挫折が潜んでいます。このような気持ちに理解を示しつつ、根気強く、自律を助けるようにしていきます。過食の場合も、過食が一生続く人はいません。必ず治ると伝え、安心させてあげてください。

Sunrise on the Floodplains, Wimborne, Dorset
Sunrise on the Floodplains, Wimborne, Dorset / JackPeasePhotography


 

摂食障害にならないために


予防が一番重要です。まずは、一人で食べるのをやめましょう、やめさせましょう。できるだけ誰かと一緒に、みんなで、そして楽しく食べるようにしましょう。できるだけ三食きちんと、リズムを持って食べるようにしましょう。ファストフードや加工食品などは、栄養バランスを崩し、過度な食欲を引き起こすもとなので、とにかく今日から、和食を食べるように心がけましょう。お肉も十分に食べるようにしてください。前途の服部氏のお話では、タンパク質の一日推奨摂取量76gをとるには、お肉だと300gほど食べないとダメなそうです。脂身の少ない、牛肉、豚肉、鶏肉をちゃんと食べるようにしてください。炭水化物を極端に抜くのも良くありません。砂糖や甘いジュースなどは避けるべきですが、多糖類と言われる、芋や豆、米などは食物繊維も豊富に含まれ用意に太りません。いろんな食材をまんべんなく食べましょう。

 

そして何よりも大事なことは、悩みを打ち明ける環境にあること。そして悩んでる人がいたら、聴いてあげる心を持つこと。その時は、「聴く」ことに徹しましょう。けっして批判や指摘は加えないように。そうかそうかと受け入れてあげましょう。思春期はとかく悩みが多い年頃です。そして誰に話していいか、そもそも何に悩んでいるのか、何がつらいのか、どうしたらいいのか、わからないことだらけです。普段の微妙な変化に気付いてあげられるように、目を配り、心を開く訓練を常にお互いでするようにしましょう。

211/365 The Artist
211/365 The Artist / martinak15


私たちが目にするテレビや雑誌の中の「美しい」と言われるモデルさんのような体型の人は、人口のおよそ2%程度だそうです。その他の98%の人は、もともとそういった体型で生まれてきていません。メディアやファッション業界が掲げる「美しい」体型になれるのは、その2%だけなんです。しかし、本当にそれが美しいのでしょうか?美しいとは本当にモデル体型のことをいうのでしょうか。**2015年4月にフランスで痩せすぎのモデルを禁止する法案が可決しました。世界は少しずつ変わっていっています。

 

本来の美しさというのは、【健康であること】だと私は考えます。WHO世界保健機構が制定している健康の定義では、

Health is a dynamic state of complete physical, mental, spiritual and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity.

~健康とは身体的・精神的・霊的・社会的に完全に良好な動的状態であり、たんに病気あるいは虚弱でないことではない~

とあります。健康は単に病気だとか、虚弱であるとかではなく、心地よく暮らしていることが大切なんです。私たちも、容姿ばかりを気にせず、今ここにある事に満足し、そして感謝し、食事を楽しく、美味しく食べる生活に目を向けた人生を送っていきたいですね。

 

 

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