最近、私の周りでこむら返りや寝ているときに足がつって、痛くてたまらないと訴える人が多くなりました。年齢によるものなのでしょうが、筋肉のつりは、ふくらはぎだけでなく、足の指・足の裏・太ももでもおこり、非常に痛くて辛いものです。

 

こむら返りは、ふくらはぎ腓腹(ひふく)筋の痙攣で、腓腹筋や周囲の神経が異常な緊張を起こし、筋肉が収縮したまま弛緩しない状態になり、激しい痛みを伴います。普段使っていない筋肉に急な負荷をかけたり、長時間の運動で疲れていたり、体力の低下や運動不足の時などにも起こりやすくなります。高齢者では慢性の運動不足のために常に腓腹筋が緊張した状態にあり、少し足を伸ばしたり、ふくらはぎを打っただけでもこむら返りを起こすことがあります。中高年以上の半数近くが経験しており、繰り返す人も多いようです。

Leg warmer
Leg warmer / quinn.anya



こむら返りの起こる原因


ヒトのカラダは神経を介し、筋肉の収縮と弛緩を調節することによって、バランスのとれた動きをします。このバランスが崩れ、筋肉の異常収縮が起こる理由は2つ考えられます。

① 神経や筋肉が刺激を受けやすい状態になっていることです。スポーツなどで多量の汗をかいたときは血液中の電解質(ナトリウムやカリウムなど)のバランスが崩れ、神経や筋肉が興奮しやすくなります。

② 筋肉や腱のセンサーがうまく作動しない場合で、立ち仕事の後や久しぶりに運動をして疲労した場合などです。また、寝ている時は足の温度が低下し、センサーの感度が鈍くなることも理由として挙げられます。布団の重みや重力のため足先がのびた状態になっているのもこむら返りを起こしやすくします。

 

ほとんどのこむら返りは病気とは無関係に起こるものです。また、中枢神経とは関係なく末梢神経が引き起こしています。妊娠中のカルシウム不足、下痢によるカリウム不足などでも起こりやすくなります。ある種の薬剤も電解質バランスを崩すことがあります。最近ではビタミンB1不足(食生活の偏り)によって起こる場合が増加しているようです。

 

こむら返りの治療


こむら返りがひどい時には、筋弛緩薬、抗不安薬、漢方薬などが用いられます。一般的にはビタミンEを摂取すると効果的といわれています。また、スポーツや立ち仕事の後では、筋肉の疲労を取ることが予防に繋がります。冷え対策や血行を良くする意味から、ゆったりと時間をかけた半身浴やマッサージ・指圧などをサポート的に取り入れて、適量のスポーツドリンクなどで水分と電解質の補給を心がけましょう。また、慢性的にこむら返りの起こる人は運動不足を解消して、ふだんから運動やストレッチを行うようにしましょう。



Stretched
Stretched / Nicholas_T


 

 

こむら返りに用いる漢方薬


漢方薬の芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)はこむら返りに良く効くと言われています。すでに起こってしまった症状に頓服で用います。他にも急激に起こる、筋肉の痙攣を伴う疼痛・筋痛・関節痛・胃痛・腹痛・しゃっくりに効果があるとされています。この漢方薬は芍薬と甘草の2つの生薬からなり、芍薬は肝陰を補い、甘草は脾陰を補います。また、それぞれ生薬そのものにも鎮痙作用があると言われています。

 

こむら返りの中医学的な分析


筋肉や腱は肝に属しているので、ストレスや疲労などで肝の血(陰)が消耗し、不足すると筋肉を滋養できなくなり、筋肉は痙攣をおこし痛みが生じます。また、肝の血(陰)が不足すると相対的に陽(肝気)が強くなり、それが脾の気の流れに影響を及ぼし脾の働きが悪くなり胃痛や腹痛を起こします。また、脾の機能が低下すると食物からの作る気血津液の産生が低下し、肝血の不足をさらに悪化させるという悪循環になります。芍薬甘草湯に効果があるのも頷けます。ただし、甘草を多く使っているので、長期連用や他の甘草を含む漢方薬と併用するときには注意が必要です。

 

こむら返りの痛みは辛いものです。日ごろから早め早めの予防に心がけ、起きてしまったら芍薬甘草湯の助けを借りましょう。