中医学では、妊娠しやすい身体づくりのために用いるのが補腎薬。

補腎薬には多くの種類がありますが、その中でも杞菊地黄丸(コギクジオウガン)は繁用されています。この薬の組成は六味地黄丸に枸杞子と菊花が加わったものですが、この杞菊地黄丸とはいったいどのような薬なのでしょうか?

まずはベースとなっている六味地黄丸からひも解いてみましょう。

 

六味地黄丸は小児の薬だった


六味地黄丸は補腎薬として古代から現代に至るまでずっと用いられています。今から約1200年前、中国宋代の小児科の開祖である銭乙(せんいつ)が子供の病気の治療に関して記した『小児薬証直訣』に六味地黄丸は『地黄圓(圓は丸と同義)』という名前で載せられていました。つまりこれは小児の薬として生まれたのです。

しかし『地黄圓』は、さらに遡ること800年。今から2000年ほど前の医学古典『金匱要略』に記載のある『腎気丸(今の八味地黄丸)』という方剤から桂枝・附子を除いたものだったのです。このように銭乙は古い方剤をもとに子供が服用しやすいよう改良しさらに丸薬や散剤を多用しました。

地黄圓は『腎虚(じんきょ)』といって、先天的な虚弱体質による小児の発育不良に用いられました。例えば大泉門が閉じるのが遅い、歯がなかなか生えない、骨格の発育が遅いなどです。

明代(今から約600年前)に組成はそのままで名称を地黄圓から『六味地黄丸』と改め補腎陰の代表方剤としてその地位を固めたのです。

 

六味地黄丸の組成と効能


六味地黄丸は6つの生薬:地黄(ジオウ)、山茱萸(サンシュユ)、山薬(サンヤク)、牡丹皮(ボタンピ)、沢瀉(タクシャ)、茯苓(ブクリョウ)で構成されており、前の3つが補う作用を後ろの3つが不要なものを取り除く作用をもつ「三補三瀉」の方剤と言われています。

六味地黄丸挿入図

 

「三補」は肝、脾を併補することで腎を滋養することを強めており、「三瀉」は陰が不足することで発生する内熱を制し滋養しすぎることの滞りを防ぐようになっています。

 

腎陰不足と内熱から生じる腰膝のだるさ、ふらつき、めまい感、健忘、耳鳴、歯のぐらつき、手足のほてり、口の渇き、寝汗、小児の発育不良に対して効果があります。

 

杞菊地黄丸の組成と効能


「杞菊地黄丸」は前述した六味地黄丸に

枸杞子(クコシ): 補肝腎、強精、明目

菊花(キクカ): 清熱、平肝、明目

が加わったことで補肝腎がより強化され、さらに気の昂ぶりを下げる効果をもった「四補四瀉」の方剤と言えます。

 

杞菊地黄丸を活用しよう


杞菊地黄丸の効能は「体力中等度以下で、疲れやすく胃腸障害がなく、尿量減少または多尿で、ときに手足のほてりや口渇があるものの次の諸症:かすみ目、つかれ目、のぼせ、頭重、めまい、排尿困難、頻尿、むくみ、視力低下」とあります。ここには妊娠するために・・という内容の文言は出てきません。しかしこの薬が生殖を司る「腎」の力を補う効果を持っているからこそ男性女性共に妊娠しやすい身体づくりに用いることができるのです。

女性では例えば以下のような時にオススメいたします。

◎排卵するまでに時間がかかるあるいは生理後すぐに排卵するように排卵するまでの期間が不安定なとき

◎排卵前に分泌するおりものが少ない

◎不妊治療で排卵誘発剤を使っても卵子が成長しない

◎採卵後空胞だった

◎採卵できたが卵子のグレードが低かった

◎身体は冷えを感じるが基礎体温が高め、イライラして気が昂ぶりやすい

◎アトピー性皮膚炎のように慢性的な炎症があり温補薬で症状が悪化する

男性にはよく八味地黄丸が処方されますが、暑がり、血圧が高い、精液の濃度が高いなど熱がこもりやすい体質には温補薬の八味丸ではなく涼性の杞菊地黄丸が相応しいでしょう。

 

杞菊地黄丸ラインナップ


 

剤形は3種類ございます。

お好みに応じて使い分けできるので便利です。

①杞菊地黄丸蝋皮丸:構成生薬の粉末をなつめの花の蜜で固めた丸剤

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②杞菊顆粒:構成生薬のエキスにトウモロコシデンプンを添加した顆粒剤

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③中薬杞菊地黄丸:構成生薬の粉末の丸剤

添加物として安息香酸ナトリウム、ハチミツ、タルク、トウモロコシデンプンを含有

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※漢方薬を服用するときはまず薬局・薬店にてご相談されることをお勧めいたします。