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薬膳について

薬膳食材としての文旦(ブンタン)とは?

ブンタンは晩秋から初春にかけて見かける大きめの皮が黄色い柑橘類です。名前の由来には諸説ありますが、漢字で文旦と表記するのはブンタンを日本に持ち込んだ中国商人「謝文旦」から来ているとか。ブンタンはまた「ザボン」とも呼ばれています。

ブンタンは中国語では「柚、柚子」と書くので、日本のユズと混同しやすいのですが、ブンタンはミカン科ミカン族ザボン種、ユズは(中国語では橙子)はミカン科ミカン属ユズ種で別種になります。

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ブンタンは自然交配により多くの品種が生まれています。グレープフルーツやハッサクもその系統ですし、最も大きな品種の晩白柚は直径25cmほどにもなります。またブンタン自身も品種が多くあり、代表的な品種である水晶文旦はハウス栽培で9月頃収穫され、土佐文旦は露地栽培で12月~1月頃収穫されますが、どちらも収穫後は酸味が強いので、数ヶ月貯蔵して酸味が減ってから出荷されるので、冬から初春まで市場に出回っています。

ブンタンは果物としては果肉部分をいただきます。皮が厚くて手では剥きにくいので、専用の皮むきを使ってもいいですし、ナイフで上下を2cmほど切り落としても剥きやすくなります。次には分厚い白いワタを剥き、小袋の薄皮も厚くて苦味があるので剥いて果肉を取り出します。中医学的な働きは消食・化痰・醒酒。妊娠した女性のつわりや食欲不振、消化不良のお腹のハリ、酒の飲みすぎや飲酒後の口臭対策などに効果が期待できます。新鮮な果汁にはインシュリン様成分があり、血糖値を降下させるという働きがあるそうです。

Pomelos
Pomelos / didelco10


ブンタンは果肉以外の部位も薬用とされています。

花は「柚花」という名前で、気を順らせ痰を切り痛みを止めるので、胃や胸膈の痛みに使われます。種の「柚核」は疝気(下腹部の激痛)に、葉の「柚葉」は気を順らせて痛みを止め、解毒して腫れを退かせるので頭風痛や寒湿による腰関節の痛み、消化不良による腹痛、扁桃腺炎などに用いられます。未成熟な果実の果皮の外層は「化橘紅」、成熟果実の果皮の外層は「柚皮」とそれぞれ別の生薬名がついていますが、痰を消し気を整え胃腸の働きをよくして消化不良を改善してくれます。

 

注意することは?


ブンタンの果肉自体に特に禁忌はないようです。ただし、薬として使う場合、未成熟な果実の果皮の外層である「化橘紅」は良く痰を消しますが、薬効が非常に強いので軽々しく用いてはいけません。気虚・陰虚・燥痰(出しにくいねばつく痰)がある人には禁忌です。「柚皮」のほうも妊婦や気虚の人は服用してはならないとされています。

POMELO
POMELO / Maurizio Albissola.com


 

お勧めレシピ


ブンタンは皮が厚く日持ちの良い柑橘類です。部屋に置いておけば爽やかな香りも楽しめます。(ただあまりに長期間放置すると水分が抜けてしまい、パサパサとした食感になるので注意してください。)香りを楽しんだ後、黄色い皮の部分は何度も茹でこぼし苦味を除いてからピールやマーマレードにすると長く楽しめます。

果肉はしっかりしていて小袋から取り出しやすいので、サラダや和え物にしたり、そのままデザートにしたりするのが簡単です。ここでは簡単にできる爽やかなゼリーを紹介します。酸味が強かったり果肉がぱさついていたりしてそのままでは美味しくない場合、ゼリーにすると美味しく頂けます。

 

ブンタンのゼリー


BUNTAN ORANGE
BUNTAN ORANGE / strollers


【材料(4人分)】

ブンタン ・・・・・3個
水 ・・・・・・・・・・300cc
蜂蜜・・・・・・・・大さじ4
ゼラチン・・・・・4g

 

【作り方】

・ブンタンは包丁で厚い皮を剥き、小袋から果肉を取り出す。
・小鍋に水を入れ、粉ゼラチンを振り入れてふやかす。
・鍋を火にかけてゼラチンを溶かし、蜂蜜とブンタンを加えて混ぜたら火を止める。
・容器に移し、冷蔵庫で冷ます
・食べる分だけ器に盛り、ミントの葉を飾る

*火を止めてから香り付けに白ワインやオレンジのリキュールを垂らしでもよい
*蜂蜜(他の砂糖でも可)の量はブンタン自体の甘さと個人の好みで加減する

 

【食材の中医学的功能】

文旦(果肉)…甘味・酸味/寒性/消食・化痰・醒酒

蜂蜜…甘味/平性/脾・胃・肺・大腸経/補中・止咳・潤燥・解毒

薄荷…辛味/涼性/肺・肝経/宣散風熱・清頭目・利咽・透疹・疏肝解欝
監修
大森裕子
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中国各地での滞在中に、漢方治療を受けたことをきっかけに、帰国後北京中医薬大学日本校に入学し、中医薬膳専科で中医薬膳学、中医中薬専攻科で中医学を学ぶ。

2006年に国際中医薬膳師と国際中医専門員A級 を取得後、イスクラ薬局六本木店・新宿店・中野店などで漢方相談に携わる傍ら、北京中医薬大学日本校で中医中薬専攻科での通訳を務める。

 

家族の鼻炎が重症でいろいろ治療しても治らなかったため、食生活の見直しをして体質改善に取り組み、数年かかりましたがどうにか克服できました。

体は食べたもので作られる。漢方薬と食養生を併用し、皆様の健やかな生活のお手伝いができたらと願っています。

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