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血のお話。血虚と貧血は違うんです!

暑さは少し落ち着きましたが、むしむしと湿度の高い日が続いていますね。
ついつい冷たい麦茶やアイスコーヒーなどがほしくなりますが、胃腸を冷やすと夏バテの原因になるので、摂りすぎには気を付けてください。夏バテの予防には温かいものを摂り、汗をかいて湿気を体内にためないことです。漢方では除湿剤のような芳香加湿薬というタイプの漢方で、下痢や軟便、食欲不振、体や頭の重だるさ、雨や台風時の調子の悪さを改善します。
当店でご相談のお客様の中には、朝食はヨーグルトと果物、サラダという食事をされるというお話をよく伺います。一見とても健康そうな食事内容ですが、冷たいものは胃腸を冷やし機能を低下させるので、中医学的にみるとちょっと不安が残る朝食です。冷えてしまうと血の巡りも悪くなりますし、胃腸機能が低下すると、血も十分に作り出されません。血は身体の各部を巡り、栄養を供給しているので、血の不足は機能の低下につながります。
 
少し間が空いてしまいましたが、前回の「気」の話の続きで、今日はそんな「血」の話をしようと思います。ちなみに中医学では「血」とかいて「けつ」と読みます。
「血」は、血管内を流れる赤色の液体で、人体を構成し、生命活動を維持する基本物質と定義できます。主な生理機能は人体の臓腑・組織・器官に栄養を与え生命活動を維持することです。「血」は胃腸によって食べた物から作られれる「水穀の清微の気*」、そして営気*と津液が合わさり「血」になります。このほか、腎に蓄えられた「精気」も「血」に変化すると中医学では考えられています。
*水穀精微の気や営気のお話はこちらをクリック
 


 
「血」は全身を巡り、栄養しています。中医学では、臓腑・器官の“濡養”・“滋潤”しているという言い方をします。これは潤いと栄養を与えているという意味です。各臓腑・器官は血によって動かされ、その活動が維持されています。もし血が足りないと、手足は痺れ、筋肉がつったり、冷えたりし、足取りもおぼつかず、手はしっかりものを掴むことができず、目もちゃんと物を見ることが出来ません。また、爪は割れやすく、もろくなり、手足は乾燥してガサガサになるでしょう。これらの状態は中医学でいう「血虚(けっきょ)」という「血不足」の状態で、単なる貧血とは違います。
もう一点、「血」の大事な働きに、精神活動の基本物質であるというものがあります。「血」の不足は、精神の不安定を招き、不眠や眠れても夢が多い、不安感が強いなどの症状がみられます。
 
「血」の流れには多くの臓腑・器官・組織の連携が必要不可欠です。血はまず「脾胃(ひい・胃腸)」で食べたものから作られその後、「心(しん)」の推動作用(血液ポンプ)によって血管内を移動します。血が血管内から漏れださないのは脾の統血作用によるものです。血はただただ巡っていればよいのではなく、必要な場所に必要な量供給する必要があります。これは「肝」の仕事です。「肝は蔵血を主る」といって、血の貯蓄と、スムーズに巡らせる疏泄作用を担っています。
脾胃の調子が悪くなると、血の生成が低下し血虚と呼ばれる状態となり、上記の様々な症状が現れます。また、脾は統血作用も担っているので、あざができやすかったり、不正性器出血などもみられることもあります。心が弱ると、血が全身に廻らず組織や器官も栄養供給されないので、疲れやすくなったり、乾燥したりします。肝にトラブルをかかえると、疏泄がうまくいかず血が廻りません。そうなると肩こりや頭痛などがおきます。
 


 
 

貧血と血虚の違い


ご相談時に、「少し「血」がたりない「血虚」という状態ですね。」というお話をさせていただくと、「貧血ではないです。」とおっしゃられる方がいらっしゃいますが、貧血と血虚は違います貧血とは、一定の血液中のヘモグロビン濃度が一定の基準値を下回った状態を指していて、中医学でいうところの「血がたりない=血虚」という状態は、個々の体に対して血が十分にない状態を示しています。血虚は、血の滋養・滋潤作用が低下した状態を示しています。原因は①血の材料となる飲食物の摂取不足、②脾胃虚弱による吸収力の不足、③腎精不足による血液生成力の低下、④過度の思慮による消耗、⑤過労・慢性病による消耗、⑥出血による消耗があります。基本的には作りきれてないか(①~③)、使いすぎている(④~⑥)かということです。
血虚により引き起こされる症状は、めまい、視力減退、顔面蒼白、唇や舌の色が淡い、爪の色が淡い、爪がもろい・かけやすい、身体がかたい、筋肉がつる、脈がよわいなどがみられます。このほか精神活動を支えることも血の役割ですから、不足すると、健忘、不眠、不安、不規則な動悸、やる気の低下などがみられます。逆にいうとこれらの症状がみられる場合、血虚を疑います。
 
 
血は身体を潤し、栄養を与える物質です。女性の身体は月に一度血を失っているので、血の不足に陥りやすく注意が必要です。不足すると冷えたり、乾燥したり、心が落ち着かなかったりしますので、男性でもそれら症状でお悩みのかたは血を補う対策をお勧めします。血は胃腸で作られるので、冷たいものの摂りすぎや偏食は血の不足を招いてしまいます。血不足におすすめの食材は、豚肉、烏骨鶏(または地鶏)、うずら卵、黒米、黒豆などの黒色の食材。人参、トマト、なつめなどの赤色の食材、かき、ほうれん草などの補血食材。ほうじ茶、紅茶などです。中医学の知恵を普段の生活にとりいれて健康を自分で管理していきましょう!

2013/07/31

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