暑いのが苦手な【トマト】
さてさて、今日はトマトのお話をしたいと思います。「なんでこの寒くなった時に身体を冷やすトマトの話?」と思われた方、日ごろ私のツィッターなり、ブログを読んでくださっていらっしゃる方だとお見受けします。ありがとうございます。そうです、トマトは身体を冷やす「寒性」の野菜。そして夏の季語でもあります。しかしトマトは実は、強い日差しを好みますが、涼しい環境が好きで、高温多湿は苦手なんだだそうです。なので、トマトがほんとにおいしいのは春から初夏にかけてと、秋だそうです。なんとも不思議ですね。
毒があると思われていた【トマト】
今を去る事193年前、日本ではシーボルトが来日する少し前の今日、1820年9月28日は、アメリカ・マサチューセッツ州セイラムでロバート・ジョンソンが「トマトを食べて、トマトが安全である事を証明した日」らしいです。トマトは昔、まだヨーロッパに南米からもたらされたばかりのころには、毒のある植物だと思われていたそうで、主にお金持ちの庭園で鑑賞用として育てられていたそうです。当時は今では考え付かないような階級社会。庭の手入れをしていたのはもちろん貧困層の人たち。そんな人たちは食べるものにも事欠いていたので、毒だろうとなんだろうとこの真っ赤な実を食べてしまえ!ということでガブっといってしまったそうです。しかし、待てど暮らせど死にそうもありません。そこでやっとこの植物には毒がないと言うことに気付いたそうです。そこで貧困層の人々はこの毒だと思われていた食物を食用に改良としようとしましたが、なかなか広がらなかったそうです。その理由として、トマトの実は当時毒があり、呪術的な儀式でも用いられていた「ベラドンナ」という植物の実に良く似ていたからだそうです。
一方、アメリカでもそんなトマトは不人気で、やっぱり毒があるとおもわれていました。そこで、ロバート・ギボン・ジョンソンは、自分の庭で育てていたトマトに毒が無いことを証明しようとして、裁判所の前に多くの人々を集め、その前で食べて見せました。もちろんロバートが死んでしまうようなことはなく、おいしく食べてしまったそうです。
中医学で見る【トマト】
そんなトマト、中医学的に見てると、性質は寒性で、やはり体の熱をとる働きがあり、この時期、おいしいからと生でたくさん食べるのはお勧めできません。喉の乾きを止める力があるとされるので、スープに入れたり、火を通したりして、寒性を和らげたうえで食べることをお勧めします。その他、解毒作用があり、肝の働きを助けるとされているので、老化防止や美肌にもおすすめです。ドイツでは「トマトは医者を青くする」といわれるぐらいの健康食品。あの赤い色はたくさん含まれるカロチンの色。カロチンに含まれるリコピンには、体内の活性酸素を除去する働きがあるとされ、老化防止やガンや動脈硬化の予防にも効果があるとされています。リコピンは熱で損なわれることはなく、オリーブオイルを使うと増強されるので、パスタのソースには最適ですね。もちろん湯剥きしても、加熱処理された缶詰でもリコピンは無くならないので、安心して火を通して食べてください。
トマト
【性味/帰経】 微寒・甘酸/肝脾胃
【効能】 生津・止渇・涼血・平肝・健胃・消食・解暑
【禁忌】胃腸が弱っている、下痢をしている、高齢者、妊婦、小児は、生で沢山食べるのは控えましょう。
そら豆のスープ / saksan
レンズ豆のトマトスープと、秋鮭と野菜のワイン蒸しで晩御飯。 / klipsch_soundman
旬のものには、その季節に合った特性がありますが、トマトはもともと南米が原産なので、日本の季節や気候とは本来は合致していません。しかし、乾燥の秋には嬉しい潤い補給をしてくれるので、温めて食べるようにしてくださいね。