(百菜元気新聞 2010年12月10日号より)
寒さが厳しくなる
一年で最も昼が短くなる冬至。このころから寒さがいっそう厳しくなります。街中がクリスマスのイルミネーションで華やかに装飾され、年末年始に向かい、時間があわただしく過ぎていきます。
身体を守る「気」の働き
中医学(中国の伝統医学)では、体内の「気」(エネルギー)は、ウィルスなどの外邪から身体を守る「抵抗力」や「免疫力」の役割を果たしていると考えます。「気」は粘液や皮膚をバリアの様に覆い、外部から身を守ってくれているのです。疲労やストレス、睡眠不足、冷えなどにより「気」が不足すると、抵抗力が低下し風邪やインフルエンザに罹り易くなります。まずは栄養と睡眠をしっかり取ることで、「気」を補充しておきたいところです。
予防は体力作りから
本格的な冬の到来を意味する冬至には、かぼちゃで栄養をつけ、香りのよいゆず湯に入って体を芯から温め、無病息災を祈るという風習があります。
かぼちゃは冬のイメージがありますが、収穫されるのは夏で、「気」を補う作用があり、消化も良く栄養面からも冬の体力作りにお勧めの食材です。煮物やポタージュ、グラタンやお菓子など、さまざまな料理に応用できます。乱切りしたカボチャに小豆を加えて煮た「いとこ煮」は、お子さんが喜ぶおやつになります。
このほか、白米、山芋、里芋、玉ねぎ、ねぎ、にんにく、きのこ、豆腐、ゆば、卵、鮭、太刀魚、鯛、牛肉、鶏肉、羊肉など、「気」を補い身体を温める食材を食事に取り入れましょう。
漢方では、黄耆(おうぎ)に白朮(びゃくじゅつ)、防風(ぼうふう)を加えた
『衛益顆粒(えいえきかりゅう)』や、
薬用人参、麦門冬(ばくもんどう)、五味子(ごみし)配合の
『麦味参顆粒(ばくみさんかりゅう)』などが
「気」を補う処方として良くつかわれています。
人ごみではマスクの着用、外出後にはうがい手洗いを忘れずに。
それでも風邪をひいてしまった時は、寒気がする、水っぽい鼻水が出るなどの症状には『葛根湯』を、のどの痛みや渇き、発熱などを伴う時には『天津感冒片(てんしんかんぼうへん)』で早めの対策をお薦めします。
>>>>>>>>お手軽薬膳レシピ<<<<<<<<
「気」を補う鮭と卵でぞうすいを。しょうがとネギで身体の内側からぽかぽかに
<材料・2人前>
塩鮭(甘口)――――――――――1切れ
ごはん――――――――――茶碗1.5杯
しょうが(せん切り)―――――1/2かけ
長ねぎ(せん切り)――――――10cm
だし―――――――――――――3カップ
酒――――――――――――――大さじ1
しょうゆ―――――――――――小さじ1
塩―――――――――――――ひとつまみ
卵――――――――――――――――1個
三つ葉(ざく切り)―――――――――適量
<作り方>
①塩鮭は焼いて、皮と骨を取り除いてほぐす。
②ご飯はサッと洗ってぬめりを取り、水けを切る。
③鍋にだし、酒、しょうゆ、塩を入れて煮立て、
②としょうが、長ネギを加える。ひと煮立ちし
たら弱火にして1~2分煮る。
④①を加えて沸騰させ、溶き卵をまわし入れる。
⑤器に盛り付け、三つ葉をのせる。
レシピ担当: 鈴木理恵(国際薬膳師・栄養士)