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鄒 大同(すう だいどう)先生にインタビューしました

ベテラン中医師の鄒先生。日本での漢方相談は、今年で18年になるそうです。



今回は、慢性炎症と老化の関係について伺ってみました。

 

Q:今年の春に発売された【星火散積宝】は、先生が開発されたお薬と聞いております。

腫瘍をご専門にされている先生が、“慢性炎症に対応できる漢方薬”を開発された経緯について、少しお話いただけますか?

A:今までの基礎と臨床研究により、慢性炎症はがんの発生、増殖、転移に関係していることがわかりました。炎症は様々ですが、清熱解毒の生薬は薬理実験で抗炎症作用があり、それを主にして“慢性炎症に対応できる漢方薬”を開発しました。

これは清熱解毒+補気の薬です。日本での清熱解毒薬はほぼ単味のものです。複数の生薬を組み合わせた薬はなく、これでは不十分だと感じていました。



 

Q:慢性炎症は老化とも関わりがあると伺いました。こちらについても、教えてください。

A:人体の組織の寿命によって、人は自然に衰弱していきますが、組織が老化すると慢性炎症が起きやすくなります。例えば、慢性萎縮性胃炎や変形性関節炎、これらは慢性炎症の1つですが、若い人にはあまりみられませんね。また慢性炎症が発生すると、老化も進行しやすくなります。つまり慢性炎症を抑制することで、老化を遅らせる可能性があると考えられています。



Q:慢性炎症には、どのような場合になりやすいのでしょうか?

A: 炎症因子には感染性と非感染性がありますが、例えば感染した病原体がなかなか除去できなかったり、自己免疫反応などが持続状態にあると、炎症は慢性経過となりやすいです。中医学では、炎症を引き起こす「邪気(じゃき)」が長期的に存在することで、「正気(せいき)」を消耗してしまい、正気不足と邪気残留が同時にあると慢性炎症になりやすいです。

 

Q:これまでの漢方相談を通して、日本人の体質をどう診ていますか?

A:日本人はまず第一に脾胃(消化吸収)が弱いです。湿度が高いなどの環境も問題ですが、ふだんから冷たいものを摂るなど飲食の問題もあります。

第二に陰虚(身体に必要な潤い成分の不足)が考えられます。これは生活習慣に問題があります。

 

寝不足や、夜遅い時間帯に起きていることにより、朝は無理やり起きることになる。これが原因となり、内熱(体内の熱で潤い成分が不足した状態)を発生させることになります。



 

中国では『唐の時代』、生活は豊かでした。

人々は運動不足や夜更かしをしたり、またお酒を飲みすぎていたので、この時には陰虚の人が多くいました。このような生活習慣は、高血圧や糖尿病を引き起こしやすくなります。



 

Q:それは興味深いお話です。やはり生活習慣は大事ですね。

先生からの養生のアドバイスをお聞かせください。

 

A:『睡眠を守る』

自然界の陰陽の転化に合わせて寝ることと起きることが大切です。

例えば、夜勤の人は翌日は頭がぼんやりして、口の乾燥、怒りっぽい、時間が長くなると陰虚、肝鬱、肝陽上坑の症状(身体に必要な潤い不足により熱が上に昇ってしまう状態)が発生しやすくなります。正常なリズムに合わせれば副交感神経は活発となり、人はリラックスしやすくなり、身体は自然な状態へ戻っていきます。

 

『食事の養生』

特に陰を補う食材がお勧めです。

例えば、すっぽん、れんこん、梨、琵琶などを食べると良いでしょう。

 

『運動』

筋トレだけでなく、骨粗鬆症の防止、心肺機能の改善、自律神経の調整が必要です。

運動の後は全身がリラックスし、気血の巡りが順調に改善され、気分も良くなります。

 

 

Q:では最後に、現代社会を生きる私達に対して、先生からひと言いただけますでしょうか?

 

A:『ストレスを解消する』

現代人はどうしてもストレスは避けられないですね。ストレスが溜まると気血陰陽の乱れが現れます。ストレスは必ず早く解消して身体に対する悪い影響を最小限にしておかなければなりません。

 

ストレス解消法としては、やはり睡眠の確保、運動、リラックスすることです。

リラックスの方法としては、趣味など自分の好きなことを行うと良いでしょう。

あと1つ、ストレス解消で有名な漢方薬としては『逍遥散』です。

『逍遥』とは、リラックスさせるという意味です。ストレスが溜まっている状態を肝気鬱滞(かんきうったい)と言いますが、逍遥散は肝気の巡りを改善し、ストレスによる消化吸収の不調を改善します。疏肝健脾(そかんけんぴ)ですね。現代人の常備薬として、ストレスが溜まった時は他のストレス解消法と一緒に逍遥散を飲むことをお勧めします。

 

現代人の常備薬は、ストレス対策の『逍遥散』。ぜひ多くの方に知っていただきたいと思います。ありがとうございました。

2022/08/19

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