不妊治療の保険適用が始まり、漢方薬で妊娠のための身体作りをしたいと、薬局にご相談にいらっしゃる方が増えてきています。
今回は産婦人科医師である別府正志先生から、 妊活中のアドバイスをいただきました。

Q.仕事と不妊治療との両立が難しいなど、 様々なストレスを妊活中は感じることが多いと思います。
そのような中で、せめてこれだけは生活の中で取り入れた方が良いとい うことがあれば、教えてください。

A.西洋医学では、ストレスに対処することは大変難しいです。
東洋医学ではストレスがかかると、気の巡り(※) は悪くなると考えており、気の巡りをよくする薬は様々あります。
ただ、 普段から気の巡りをよくする生活習慣を心がけることにより、 気の巡りを整えることも可能です。
朝起きたら、部屋に風を通し、大きく深呼吸をする。
仕事中も1時間に1回ぐらい、意識して伸びや深呼吸をする。
しっかり入浴してゆっくり寛ぐなどです。

「気」の巡りを整えることが、ストレスから身体を守ることに、 ひいては妊娠に役立つのですね!
他にも笑ったり、おしゃべりをしたり、良い香り(柑橘系、 ミントなど)のアロマや食べ物を食すことで、気の巡りがよくなりますので、是非取り入れてみたいですね。
(※)「気」とは、漢方では、身体のエネルギーのことを指し、 心身の活動に影響するものです。
気は身体の隅々まで行き来し、生命活動を担っていますが、気の巡りが悪くなると、生命の活動がスムーズに行われず、 心身のバランスを崩しやすくなりますので、気の巡りがよくなるように日頃から養生することが大切です。
Q.排卵日とタイミングについて教えてください。
A.超音波検査や排卵検査薬などで、 排卵日がある程度予測できる場合があります。
排卵に合わせて、性交渉を行うと、妊娠率が上がります。
これを「タイミング法」と言います。

精子は射精後、約3日間受精することができます。
卵子は排卵後、約1日受精することができます。
禁欲期間が長すぎると、古い精子が出てきます。
逆に禁欲期間が短すぎると、精液中の精子濃度が低くなります。
したがって、排卵予測日の3日前と、排卵予測日と、その2日後に性交渉を行うのが理想的です。
ただし、あまりタイミングのことばかり考えていると、 行為が事務的になってしまいます。
性交渉自体が辛くならないよう、無理のない範囲で行うのが、 もっとも肝要です。
Q.妊活をしている男性に向けて、 メッセージがあればお願いします。
A.不妊症の原因は、報告にもよりますが、約40%が女性側、 約40%が男性側に原因があり、残り20%が不明です。
不妊治療は、夫婦揃って行うことが重要です。
女性には、心身ともに大きな負担がかかることをご理解いただき、 積極的に治療に参加されることをおすすめします。

~おまけ~
Q.妊活の話から離れますが、最後に先生のお気に入りの漢方薬があったら教えてください
A.「涼解楽(りょうかいらく)」です。
高校3年生の時、慢性扁桃炎で、1ヶ月半に1回40℃の熱が出ていました。
11月に手術したので、大学受験どころではなくなってしまった。
一時的に良くなったが、 その後も喉が痛くなって高熱が出て、というのを繰り返していました。
それが漢方を勉強して「涼解楽」を知り、普段から持ち歩いて、喉が怪しいと思った時にすぐに飲むようにしたら、高熱が出なくなった。2年ぐらいそれをしたら、喉が痛くなること自体がなくなりました!
今はすっかり治ってしまったので、持ち歩いていません。本当にすごいことです。

実は、涼解楽の飲み方にもコツがあって、
当時イスクラに在籍していた老中医の叢 法滋(そうほうじ)先生に飲み方 の秘技を習ったのですが、、、それは内緒です(笑)
内緒ですか(笑)それは残念です!
先生、本日はありがとうございました。