琥珀とは?
琥珀は松や楓などの樹脂が長期間に地層に埋没し、高圧、高温の特殊条件下で化石となったものです。内部に植物や昆虫の化石が入っていることもあり、美しいものは宝飾に用いられます。
琥珀を使う用になったのは、今から約1500年前も昔のことです。ヨーロッパの遊牧民が、琥珀をお守りや装飾品として使用しだしたのが始まりと言われています。古代より琥珀にまつわる洋々な伝説や神話が残っています。ヨーロッパでは琥珀をプレゼントすることが「幸福を贈る」という意味を持ち、積年の愛が花咲くとされました。イギリスでは、結婚10年目に琥珀を贈る「琥珀婚」とう習慣があります。北欧では、母となった女性が我が子を病気や悪霊から護るため、子供の幸福を願って琥珀を身につける習慣が今も続いています。母のぬくもりと優しさが琥珀に乗り移り、琥珀の持つ力が子供を包み込むと言われております。リトアニアでの琥珀の呼び名はギンタラスと呼び、「病気から身を守る」という意味が込められています。昔から魔除けや病気予防のお守りとして、身につけられています。ヨーロッパで昔から使われていた琥珀ですが、18世紀後半になると「北方の金」と呼ばれ、金と同じぐらいの価値があるものだとみなされていました。このため、同じ重さの金と琥珀を交換していました。
日本での琥珀の呼び名は、「くんのこ」と呼んでいました。今でも琥珀の産地として知られている岩手県の久慈地方では「くんのこ」という名で親しまれています。
琥珀は漢方薬にも
古代ローマの人々は、琥珀のことを「オオヤマネコの尿」と呼んでいました。一風変わった呼び名ですが、オオヤマネコの尿が黄金色の化石になるという伝説に由来しています。ローマ時代において、琥珀は宝石としてだけではなく、厄よけの道具として使用され、またその粉薬が飲み薬や塗り薬としても使用されていました。頭痛やのどの痛みの治療薬として使われ、冷えや胃の痛みを取り除き、肝臓や腎臓を活発にする効果があるとも言われています。ちなみに味は、無臭で淡く、噛むと堅くてわずかに砂の感じがし、意外と癖は無かったです。
漢方の本場中国では
千金翼方によると琥珀は、五臓を穏やかに落ち着かせ、魂魄を鎮めて落ち着かせ(精神を落ち着かせ)、物の怪や悪神を殺し(魔除け)、瘀血を消し(滞る血液を流す)、五淋を通じる(利尿作用)といわれています。また、本草綱目では、琥珀の別名を江珠といい、虎が死んだ後に土に埋もれ石となったものであるといわれています。それ故に虎魄というのだそうです。これが琥珀の文字に虎が使われている由来です。そして、南北朝時代の陶弘景によると琥珀は、松ヤニが土に埋もれて千年経って変化した物だと考えられていました。
現在日本では、琥珀の入った健康食品でミンハオ(珉好)という製品が流通しています。
琥珀
分類:重鎮安神薬
性味:甘・平
帰経:心・肝・肺・膀胱
効能:鎮驚安神・行血散お・利水通淋
応用:動悸・不眠・不安感・驚き・恐れ・排尿痛・排尿困難など
(重心安神薬は、精神安定・鎮静の効能をもつものです。主に鉱石類、貝類などとなり、琥珀も含まれます。種類が豊富にあり、使用方法が難しいため、使用をお考えの際には漢方専門薬局・薬店でご確認されてからのほうがよろしいかもしれません。)
琥珀を服用していた有名人
琥珀を漢方薬として用いた有名人は、清の西太后です。
彼女は、抑鬱状態で気分が滅入っているときに、琥珀を主体とした交泰丸を服用していたとのことです。(清朝宮廷カルテに記載あり)
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