少しずつ気温が上昇し、春を感じられるようになってきましたね。
寒い冬が終わり暖かくなって嬉しい反面、イライラしやすい、寝つきが悪いといった不快感を感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

今回は春の不調と「肝」の関係について、なるべく分かりやすい表現で書きたいと思います。
中医学では、「春は肝の季節」と呼ばれているように、自然界での春と五臓の中での「肝」は密接に関与しているとされています。
中医学での「肝」には「疏泄(そせつ)」という作用があります。疏泄とは臓腑組織や精神活動をのびのびとスムーズにする、促進するという働きのことです。疏泄が正常であると、内蔵や皮膚表面の毛細血管の隅々にまで「気(身体を温めるエネルギー)」や「血(血液中を流れる酸素や栄養)」が行き届き、体調も良く晴れやかな気持ちで過ごすことができます。
疏泄を主る「肝」は伸び伸びとした状態を好み、ストレスが大の苦手。ストレスがかかると疏泄作用が低下した「肝気鬱結(かんきうっけつ)」という状態になり、体の中の気・血の流れが滞るので、むくみや肩こりなどの身体症状のほか、なんとなくやる気が出ない・気分が落ち込む・不安・何かが詰まったような不快感などの精神症状が出たりします。この肝気鬱結の状態が続くと、怒りっぽくなる・頭痛・のぼせ・イライラして眠れないといった中医学的には「熱」に属する症状も出始めます。(この状態を「肝鬱化火(かんうつかか)といいます)。前回のブログで花粉症の発症や、症状の悪化は衛気の不足だと書きましたが、このような「熱」が影響することもあります。
春は入学、入社、人事異動など生活環境が変化することが多いために、ストレスを感じて心身の調子が悪くなりやすくなります。
好きな音楽を聞く、散歩をする等、自分がリラックスできる何かを取り入れてみましょう。ストレスが溜まっていると感じたら深呼吸するのも良いですよ。季節の変化による影響を受けることなく穏やかに過ごしたいですね。
「肝」の疏泄作用を正常にするためにおすすめの漢方薬もありますのでお気軽にご相談ください。