桜が満開の春の夜。9時を回るとさすがに冷え込んできて、まだ寒さが身に応える。私は目的の店に向けて足を急いだ。「いらっしゃいませ!」威勢のいいお姉さんの声と共に店に迎えられた。店に客は一人もいない。50席ほどの用意があるお座敷は閑散としていた。しかし、
壁には有名人の色紙やテレビでの紹介を伝えるポスターが所狭しと掲げられてあった。「お相撲さんとか有名人がよく見えるんですよ」とお姉さんは言う。今の店の状態を見ると、にわかには信じがたい。初めてのスッポン料理屋のメニュー。いろいろ種類はあるがピンとこない。手っ取り早い"スッポンコース"で注文を出した。
最初はスッポンの秘伝スープ。次に生血のワイン割り。スッポン鍋に、網焼き、唐揚げと続く。まさにスッポン尽くし。お姉さん曰わく「食べたらすぐに疲れが取れて、肌がつるつるしてくるんですよ。アトピーの方や血圧、血圧の方も良くなるようです血液の巡りを良くしますから冷え症の方なんか最高ですね。」 とまさに万能薬とも言わんばかり。ちょっと不信感を持ちながらもその効果を期待していた。
なんだか痒いぞ?!
ちょうどこのころから私の体に異変が起こってきた。体が熱い。アルコールによるものではない。 手足が特に赤くなってきて、以前に出来た傷跡がかゆくなってきた。ポカポカするぐらいなら良いのだけれど、 かゆいのはちょっとつらい。コースの締めでアイスクリームを食べたが、体は冷えてこない。店を出て寒風に当たってちょっとだけ状態が良くなった。ただ時々かゆさが襲ってきてつらい。家に帰り、お風呂に入ろうとしてびっくり。体が赤い。よく見るとぼつぼつふくれている。紛れもないじんましん。手もむくんで一回り大きくなっている。お風呂は中止してすぐに寝ようとしたが、寝付けない。やっと寝付いても眠りが浅く、しかも胸のあたりがつかえて苦しい。結局ほとんど眠れず、次の日の早朝、薬局に行って「黄連解毒湯(おうれんげどくとう)」と「勝湿顆粒(しょうしつかりゅう)」を服用した。 2時間後にはすっかり赤みが取れ、 お小水が大量に出るとともにむくみも解消。念のためお昼にも同じ薬を飲んでおいたら夜には普段と全く変わらない状態に戻っていた。
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今回の私の症状をまとめました。
● 湿疹---赤みを帯びて、ひどいところはぼつぼつとふくらみ
● 胸のつかえ---息が飲み込めない感じ。
● むくみ---特に手がぱんぱん。
● 痔の悪化---持病である私のかわいいイボ痔がうずきました。
● 妙に目がさえる---ほとんど寝ていないのに全く眠くない。
● 鼻づまり---もとから鼻はあまり良くないのですが、悪化しました。
今回の私の体に起こった出来事を西洋医学的に解釈すると、「スッポンによるアレルギー」で、 病院では抗アレルギー剤が処方されると思います。さて、中医学的にはどうでしょうか。
スッポンは元来、体を冷ましつつ滋養する食材として知られていますが、生血など本来食べることのない部位まで食したためか、体に湿熱(水分と熱)が生じ様々な症状を引き起こしたと考えられます。上記の症状は中医学的に全て湿熱によるものと分類されるのです。よって、熱を冷ます「黄連解毒湯」と、湿を取り除く「勝湿顆粒」が合っていたということになるのでしょう。私の体質がもともと熱をためやすく、どちらかというと"温"であったという点も重要です。おそらく、"冷"の体質を持つ方であれば、こういった症状を起こさなかったのではと考えられます。
上記の私が起こした症状を持っている方はスッポンを食べるときは注意した方がいいかと思います。悪化する可能性があります。
もちろん私がちょっと食べ過ぎたということもあるのでしょうけどね。