秋の養生
残暑厳しい毎日が続いていたと思えば、もう秋分。これからは爽やかな晴天が続き、何をするにもいい季節になります。
しかし、古くの訓えによると、秋は「収」=収めていく季節。この時期は陽気も体内深くに収納されるので、この時期に活動しすぎて、
陽気を発散しすぎないようにと昔の人は言っています。
秋は肺の活動が活発になる時期です。からだを動かす原動力となる気を取り込み、元気を益し、冬に備えようとしています。
運動などして肺を活動的にするのは良いことですが、肺に負担がかかりすぎないよう、来るべき冬に備えて養生しましょう。
肺を潤すために・・
これから気温が下がってくると、皮膚の汗腺が閉じ、汗をかきにくくなり、肌が乾燥しやすい状態になります。そのうえ空気も乾燥し、
外界とつながっている臓器である肺やのど、鼻、口なども乾燥しやすく、これらの機能を低下させます。
「肺」のダメージはからだを巡る気・血・水を滞らせ、結果として免疫力の低下から風邪をひきやすくなります。また「肺」
は皮膚や大腸との関連が深いため、肌荒れや便秘などの原因にもなります。「肺」に潤いを与えて、
機能を高めて代謝をよくすることを心がけましょう。
こんなとき、強い味方となってくれるのは、梨やぶどう、くるみ、ぎんなん、栗、落花生など秋に旬を迎える果実や木の実たち。
旬の味を楽しみながら「肺」の機能を高められるなんて嬉しい限り。自然のめぐみに感謝ですね。
秋を代表する果物・・・「梨」
長十郎や二十世紀など、スーパーなどでよく見かけます。
梨はバラ科に属し、古くから薬として珍重されてきた果実です。肺を潤し、身体の水分を補い、痰を出しやすくしてくれる作用があります。
中国では、「秋梨膏」という梨が入ったノドの薬も売られています。
ここで、梨を使った簡単なレシピをいくつかご紹介します。
【梨ときくらげのスウィーツ】
材料(二人分)
白きくらげ 20g
梨 1個
氷砂糖 30g(お好みで調整してください)
水 400cc
クコの実 適量
つくり方
1. 梨は一口大に切る。
2. 白きくらげはたっぷりの水で一晩かけて戻す。
3. 白きくらげの黄色い石づきの部分をとり、一口大にちぎる。
4. 鍋に白きくらげを入れ、水を加えて強火にかける。
5. 煮立ったら弱火にし、白きくらげがトロッとするまで煮る。
6. 梨を入れてさらに煮込み、柔らかくなれば氷砂糖を入れ2.3分煮る。
7. クコの実を散らしてできあがり。
【梨酒】
材料
梨 1個
ホワイトリカー 750g
氷砂糖30から50g(なくても可)
つくり方
1. 梨は皮をむき、ミキサーでよく混ぜる。
2. 瓶などの保存容器に酒と氷砂糖をいれ、梨を加える。
3. 最低2週間、冷暗所に置いてできあがり。
薬効と衛生の面から考えて、お酒はアルコール度数が35度以上のものにしましょう。毎日30から50mlくらい飲むのが適量です。
【梨査粥】(消化不良によるお子様の発熱に・・・)
材料
梨 1個
生山査子 3から5個
米 30g
つくり方
1. 梨は洗って小さく切り、水に入れて30分ほど煮る。
2. 1を濾(こ)し、煮汁を取り置く。
3. 山査子と米をよく煮込んでお粥にする。
4. 3に梨の煮汁を入れ、数分煮てできあがり。
梨
<性味> 甘・微酸/涼 <帰経> 肺・胃
<効能> 身体に潤いを与え、熱をおさえ、痰を取り咳を止める。