《今回のテーマは“PMS”》
今回、セミナーのテーマが“PMS”ということで、
その主な原因となる“気滞”と、
これからの梅雨の季節に、
その“気滞”の原因とも結果ともなることの多い“水湿停滞”
のために、主に行気薬と利水滲湿薬をメニューに使用しました。
1.前菜:紫菜蒸水蛋(青皮・枳穀の煎じ汁と生海苔の中華風茶碗蒸し)
青皮と枳穀の煎じ汁はとても苦い!ので、卵のまろやかさでその苦味をオブラートに包む作戦に出ました。
生海苔には利水滲湿作用があります。茶碗蒸しの上にはねぎ油ソース(醤油+ねぎ油)をかけています。
枳穀:苦、微寒/脾・胃・大腸/破気消積・化痰消痞・理気寛胸・消脹除痞
青皮:苦・辛、温/肝・胆・脾・胃/疏肝破気・消積化滞
2.スープ:冬瓜ヨク米湯(冬瓜・ヨク苡仁・木瓜・金銭草・鶏肉入りの蒸しスープ)
木瓜も金銭草もくせがない生薬なので、スープ仕立てにしました。
鳥の首肉、生姜スライスも入れて2時間蒸し上げたスープです。
木瓜:酸、温/肝・脾/平肝舒筋・和中去湿
ヨク苡仁:甘・淡、微寒/脾・胃・肺/清利湿熱・去湿除痺・排膿消腫・健脾止瀉
金銭草:甘・鹹・淡、微寒/肝・胆・腎・膀胱/利水通淋・排石止痛・清熱去湿・退黄・清熱消腫
3. 料理:時菜炒蛤仔(地膚子・アサリ・セロリ・トウモロコシ・クワイ・インゲンの炒め)
生の手剥きアサリと下ごしらえした他の材料をさっと炒め、スープ+ごま油+片栗粉の調味液を絡め、
仕上げにブラックペッパー(地膚子とそっくり!)をアクセントに加えました。
地膚子:辛・苦、寒/腎・膀胱/清湿熱・去風止痒
4.麺飯:天豆焼鴨保仔飯(ローストダックとそら豆、白豆?の土鍋炊き込みご飯)
白豆クは匂いにクセのある生薬なので、ローストダックやそら豆などといった
個性の強い食材と組み合わせてバランスをとりました。
そして土鍋で炊き上げた後に、独特の風味を持つ中国のたまり醤油を仕上げにかけています。
白豆ク:辛、温/肺・脾・胃/行気温中・化湿消痞・温胃止嘔・開胃消食・解酒毒
5.甜品:麼麼咋咋露(黒豆・小豆・緑豆・紫米・赤米・タロイモ・ココナツのお汁粉)
麼麼咋咋露(モモチャチャ)は東南アジアのデザートで、Essenceでも人気のデザートです。
タロイモ(なければえび芋、八つ頭などで)は蒸してミキサーでピューレ状にし、スープにとろみをつけています。
甘味はきび砂糖を使用しています。
緑豆:甘、寒/心・胃/消暑止瀉・清熱解毒
赤小豆:甘・酸、微寒/心・小腸/利水消腫・清熱利湿・退黄・解毒排膿
黒豆:甘、平/肝・腎/益陰補血・利水・去風止痙・解毒
6.お茶:?瑰花茶(バラ科マイカイ花のお茶)
香りも見た目も麗しいお茶です。
マイ瑰花:甘・微苦、温/肝・脾/行気活血・疏肝止痛
以上、どれをとってもプロならではの腕の冴えを感じさせる、素晴らしいお料理でした。
薮崎料理長、ありがとうございました!