「薬膳を楽しむゆうべ」特別企画(美しくなる贅沢な薬膳フルコース)
がホテルオークラにて開催されました。
そのメニューの詳細を今回はご紹介します。
どのメニューをとっても手間のかかった素晴らしいものでした。
写真と文章で再現(?)しましたので、どうぞお楽しみ下さい♪
延年美容補湯 (人参・黄耆・麦門冬入り健康薬膳蒸しスープ)


まずは、アツアツのスープで「開胃」します。
21種類の食材や生薬
(牛すね肉、豚肉、鶏肉、スルメ、干しタコ、干し貝柱、キャベツ、
ネギ、玉葱、蓮根、花冬菇、百合根、生姜、腐竹(中国湯葉)、
黄耆、北杏、南杏、麦門冬、人参、枸杞子)を8時間蒸してつくられたスープです。
長時間蒸すことで、雑味なく素材のうまみだけがじっくりと抽出されます。
体にじんわりと浸透していく滋味豊かなお味で、まさに‘滋養’という言葉がぴったりのスープでした。
焼烤美味併盆 (広東焼き物入り前菜)


くらげと菊花の和え物、チャーシュー・烤鴨・レバー照り煮・皮付き焼き豚の盛り合わせ、
辛白菜の五味子酢和え、大根・キュウリ・人参の泡菜(中国の漬け物)と内容盛りだくさんの前菜でした。
個人的には、皮付き焼き豚の皮の部分の食感と、レバーの照り、辛白菜の千切りの細さが印象的でした。
くらげと菊花の和え物も、季節感があって素敵な一皿でした。
ちなみにくらげは化痰軟堅、平肝、止咳作用、菊花は平肝明目作用があります。
三宝子炒蝦仁(白果・蓮子・栗と蝦のミネラルいっぱい天然塩炒め)


白果は銀杏のことで、肺腎に帰経し潤肺、補気作用があります。
その他の食材も、栗は益胃健脾、蓮子は健脾止瀉、養心安神、
蝦は補腎補陽と、それぞれの効能や味、色、食感の取り合わせが楽しい一皿でした。
銀耳?煎鮮魚 (ヒメ鯛のソテー白木耳入りホワイトソースで)

銀耳は白きくらげのこと。
肺胃腎に帰経し、滋陰潤肺、益胃生津作用があります。
ソースに使われているエバミルクは牛乳を煮詰めたものですが、
牛乳もまた体を潤わせる作用があり、
作用も見た目もまさに‘白秋’といった趣きの美しい一皿でした。
ホワイトソースの上にパプリカのソースが一さじ添えられているのですが、
この一さじが味、色の両面でお料理全体を引き締めていました。
さすがプロの仕事ですね。
桜蝦貝炒青菜 (桜エビと干し貝柱の青菜炒め)

桜エビと干し貝柱とニンニクの風味がなんとも香ばしい青菜炒めでした。
貝柱は肝腎脾胃に帰経、滋陰補腎作用があります。
これだけは家庭でなんとか真似できそうです(笑)
山楂陳牛頬肉 (山楂子と陳皮入り牛頬肉の柔らか煮百合根添え)

牛頬肉を山楂子と陳皮入りソースで柔らかく煮込み、
百合根とともにパラフィン紙に包み、
蒸籠で熱々に蒸し上げた状態でテーブルに運ばれました。
パラフィン紙を破ると湯気とともに陳皮の食欲をそそる香り、
前半の品々で胃袋は限界に近かったのですが、
気がつくとすんなりと収まっていました。
山楂子は脾胃肝に帰経し肉の消化を助け、
陳皮も理気調中、
燥湿化痰で消化を促進します。
頂湯沙河粉 (コラーゲンたっぷりの極上スープ米麺)

頂湯とは最上級のスープという意味で、
豚や鶏、金華ハム等でとった澄み切ったスープです。
このスープに河粉(米粉で作った幅広麺)、フカヒレ、
もやし、黄ニラを入れてスープ麺に仕上げてありました。
あくまでもあっさりとしていながら奥深い味で、
毎日飲みたい!との声しきりでした。
晩秋保身彩彩 (赤米の甘酒仕立てスープに小豆あん入り白玉を浮かべて)

代米の赤米と中国の甘酒風調味料である
酒醸(ちゅーにゃん)などで作った温かく甘いスープに、
大きな白玉が入っていたのですが、
中身はあずき、胡桃、ココナツ、松の実、カボチャの種、
それらをまとめ上げるラードと盛りだくさんで、
甘さと暖かさと香ばしさが口の中で豊かに融合しつつも、
何故か懐かしくほっとするお味でした。
横に添えられていたのはモラードバナナ(皮の赤いバナナ)とイチジクにザラメ、
杏酒を加えたものをオーブンで2時間焼いたものです。
水分が抜けてねっとりカラメル状になって秋冬のデザートにぴったり!
アイスクリームを添えても美味しそうですね、
薬膳の主旨からは外れてしまいそうですが(笑)。
以上、
この冬を美しく健康に過ごすことができそうな滋養と美味しさに満ちた幸せな薬膳でした。
この素晴らしい企画を実現してくださった中村きよみ先生、
見事なプロの技で完璧な料理に仕立ててくださったホテルオークラの前川料理長と
堤シェフ、ありがとうございました。

40名を越える人数での楽しい時間でした。美味しい食事とお酒で話も弾みます。
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