スーッ、ハー
いま、深呼吸した時に肩が上がりませんでしたか?肩が上がってしまう深呼吸は、リラックスするための呼吸法ではないってこと、ご存知でしたか?身体の中までしっかり空気を取り込み、全身をリラックスさせるためは、腹式呼吸が大切です。
自律神経と呼吸
私達の身体は、自分の意志と関わり無く、自律神経の調整によって健康な状態に保たれています。自律神経には、交換神経と副交感神経があり、活動的な状態や緊張、そしてストレス時には交感神経が優位となり、夜間や睡眠時など、リラックスしているときには副交感神経が優位となります。 ところが忙しい毎日を送り、ストレスを長く抱えてしまうと、交感神経優位の時間が長くなり、副交感神経によって身体を回復させる時間が足りなくなるため、バランスが乱れてしまいます。自律神経が乱れると、身体の様々な不調を感じるようになり、いわゆる自律神経失調の状態に向かっていきます。
自律神経は私達の意志とは関わりなく働いているわけですが、「呼吸法」は、意識的にそれを行うことで自律神経を調整することができると言われています。
腹式呼吸はリラックス
呼吸法には大きく分けると胸式呼吸法と腹式呼吸法があります。 胸式呼吸法は胸郭を開いて肺に空気を取り込みます。胸郭を開いて一度にたくさんの空気を取り込むことができるので身体や頭をスッキリさせ、朝の目覚めや仕事を始める前、また瞬発力が必要な運動などにはおススメです。胸式呼吸は主に吸うことを意識するので交感神経が活性化されるとも言われています。ただ、胸郭を開くと肩や首の筋肉も同時に動くため、その辺りの筋肉はやや緊張気味になりますので緊張やストレスを受け、肩や首に力が入った状態には逆効果です。
それに対して腹式呼吸法はお腹を膨らますことで横隔膜を下げ肺に空気を取り込むといった方法です。腹式呼吸では、特に吐くことに意識を集中(この時お腹をへこまる)させるので、横隔膜が上下することによって内臓の動きも良くなり内臓のマッサージにも繋がります。それにより、筋肉もほぐれ、身体中の血流やリンパの流れもよくなり結果として副交感神経が優位な状態にもっていくことができるというわけです。
忙しい現代人はとかく交感神経が優位になっていることが多いとされています。そんな時は腹式呼吸をして、体調を整えてみてはいかがでしょうか?
胸式呼吸法⇒交感神経を活性:目覚め時や活動前に
腹式呼吸法⇒副交感神経優位に:寝る前やリラックスしたいときに
Grand Velas - Yoga and Pilates / Grand Velas Riviera Nayarit
~腹式呼吸法~
1.ゆったりした姿勢で、まず身体中の空気を吐き切ります。お腹をへこませながら、やや前にかがむと吐き出しやすいです。
2.次にお腹を膨らませることに意識をおきながら、ゆっくりと7秒間かけて息を吸います。
3.吸いきったら、7秒間息を止めます。(最初は短くても大丈夫です)
4.少しずつ、ゆっくり長く、下腹部に意識をおいてへこませながら7秒間で吐いていきます。
これを10~30セット繰り返していきます。
※呼吸は吐く時は鼻から、吸うときは鼻でも口でも構いません。
※吸う→止める→吐くは、最初は短くても構いません。慣れてきましたら、少しずつ無理のない程度に長くしてみてください。
※だんだん身体が温かくなってくる感覚が出てくると更に効果が期待出来ます。
Pink rose, a peace offering to the world / photogirl7.1
中医学から見る腹式呼吸
下腹部には丹田というツボ(臍下3寸)があり、丹田を意識した丹田呼吸法というものもあります。これは丹田に気を貯めることで根本の力を強くするといった考えからなるものです。中医学ではこの「根本の力を蓄えるところ」は五臓の『腎』の支配下にあると考えられおり、腎の働きの『納気』と深く関係しています。納気とは肺が取り込んだ綺麗な空気を、体の深いところにある腎までしっかり納入れる、いわゆる正しいガス交換が出来ると言った考えです。もし納入れる力が弱ければ、呼吸が浅くなったり、すぐ息切れしたりするなどの症状が起こると考えられています。
タイトルなし / Not all potatoes can swim...
ふだん、無意識にしている当たり前の「呼吸」ですが、意識的に上手く使い分けることで、より過ごしやすい毎日が送れるようになります。健康な体づくりのために、是非、皆さんも呼吸法を取り入れてみませんか?