
「脾(ひ)」とは?
「脾」とは消化器系統の働き全般を指しており、飲食物を胃や小腸を通して消化、吸収させ、その後にできる栄養物質を全身に運んでいます。また、気血を作ったり、血を血管内に正しく巡らせたり、内蔵が下垂しないようにするのも脾の役割です。

「脾(ひ)」のおもな働き
(1)消化、吸収、運搬の管理(運化作用)
脾の最も重要な働きは、この運化作用となります。胃や小腸、胆などに指令を出して、消化、吸収させた後にできる栄養物質を全身に運びます。
脾の運化作用が低下すると、食欲不振、胃のもたれ、食後の眠気やだるさ、軟便、下痢、むくみなどの症状が現れます。
(2)気血を作る
脾は飲食物から作られた栄養物質をもとに、気や血を作ります。この働きが低下すると、気血が不足して栄養が不足し、徐々に痩せてきたり、顔色が血の気がない黄色になります。
(3)血の巡りの管理(統血作用)
血が血管の外に漏れないように、血の巡りを管理します。この統血作用が低下すると、鼻血、不正出血、月経がだらだら続く、
皮下出血などの症状が現れます。
(4)内臓、組織の位置の維持(昇提作用)
内臓や組織器官の、体内における本来の位置から下へ下がらないよう維持します。この昇提作用が低下すると、腹部の下垂感、脱肛、めまい、ふらつきなどの症状が現れます。

「脾(ひ)」を養う薬膳メニュー
次に、「脾」を養う鶏肉、黒米、うるち米、栗、消化を助ける大根、黒酢を使った薬膳メニューをご紹介します。冬に補うべき「補腎」の黒い食材も採り入れています♡では「補腎」とは?またの機会にご紹介しますね。
鶏手羽肉と大根の黒酢煮・黒米の栗ご飯

<材料(2、3人分)>
(1)鶏手羽肉と大根の黒酢煮
鶏手羽肉 400g
大根 400g
黒木耳 適宜
生姜 一片
黒酢 50cc
酒 30cc
醤油 30cc
黒砂糖 大匙1
松の実 適宜
枸杞子 適宜
(2)黒米の栗ご飯
無洗米、黒米その他雑穀合わせて 1カップ
むき甘栗 70g
煎り黒豆 20g
水 240cc
塩 ひとつまみ
<作り方>
(1)鶏手羽肉と大根の黒酢煮
1.鍋に調味料全部を合わせ、鶏手羽肉を加え一時間ぐらい漬け込む。
2.鍋に乱切りにした大根、木耳を加え、ひたひたになるまで水を注ぎ、点火して鍋に蓋をして大根が柔らかくなるまで煮込む。
3.煮あがったら器に盛り、松の実、枸杞子を散らす。
(2)黒米の栗ご飯
1.米類をさっと洗い、その他の材料と合わせて普通に炊く。
2.俵形に握り、黒ゴマ塩をかける。
*煎り黒豆とは、黒豆を煎ってそのまま食べられるようにしたもので、自然食品売り場や、地方の物産館などで見かけます。
生の黒豆と違い、そのままお米と一緒に炊き込むことができます。
<主な食材とその功能>
(1)鶏手羽肉と大根の黒酢煮
鶏肉:甘温/脾胃/温中・益気・補精・添髄・降逆
大根:辛甘・涼/肺胃/消食化痰・下気寛中
木耳:甘平/胃大腸/養陰潤燥・利腸涼血、止血・益精善血
生姜:辛温/肺脾胃/散寒・解表・降逆・止嘔・化痰・解毒
酢:酸苦・温/肝胃/散瘀・止血・解毒・殺虫・消食化積
黒砂糖:甘温/脾胃肝/補中暖肝・和血化瘀・調経・和胃降逆
醤油:鹹寒/腎胃/健脾開胃・清熱解毒・宣鬱
酒:甘辛苦温/心肝肺胃/温経・通絡・理気・活血・散寒・止痛・沢膚・燥湿
松の実:甘温/肝肺大腸/潤肺・滑腸
枸杞子:甘平/肝腎肺/滋補肝腎・明目・潤肺
(2)黒米の栗ご飯
黒米:甘平/脾胃腎/健脾・補腎・活血・明目・滋腎
粳米:甘平/脾胃/補中益気・健脾和胃・除煩渇
栗:甘温/脾胃腎/養胃健脾・補腎強筋・活血止血・止咳化痰
黒豆:甘平/脾胃/活血利水・解毒
黒胡麻:甘平/肝腎/滋養肝腎・潤燥滑腸
塩:鹹・寒/胃腎大小腸/清火・涼血・解毒・涌吐
以上簡単に「脾」のご説明をしてきましたが、年末の大掃除などでの疲労で気を消耗し、更にクリスマスやお正月の暴飲暴食が重なり、脾を傷つけられて、上記のような症状になられている方もいらっしゃるのでは?一年が始まる大事なスタートラインの今、気を補い、脾を健やかにする薬膳メニュー、是非一度お試しくださいね♡
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