科学文明が進歩した現在、健康への関心は以前にも増して高まってきています。しかし、医療技術がこれほど進歩した昨今でも、増え続けているのが「悪性新生物」つまり「ガン」です。三大死因(悪性新生物・心疾患・肺炎)の一つであり、その数は年々増え続けています。厚生労働省が出している人口動態統計によると平成二十六年の死亡数は約36万5千人、(死因がガンの死亡者数は昨年と比較して4千人増、他の二疾患については昨年と比較して減少)、過去60年で約三倍に増えているとのことです。
どれほど生活環境がよくなっても、未だ無くなるどころか増え続けている【ガン】についてのお話を、二回シリーズでお届けします。
Union Hospital in New Ulm, Minnesota, Has Five Up-To-Date Intensive Care Units Such as the One Shown... / The U.S. National Archives
ガンの始まり
ガンは、細胞が分裂するときのコピーミスから始まると言われています。人間の体は約60兆個の細胞から成り立っており、それら60兆の細胞は絶えず分裂を繰り返し、新しく生まれ変わっていますが、発ガン性物質がなんらかの原因で細胞の遺伝子を傷つけ突然変異させてしまうと、それがきっかけでコピーミスが起こり、不完全な細胞が生まれます。これが「ガン」のはじまりです。
ただしこのコピーミスが起きても、すぐにガンになるわけではありません。健康な人でも一日に約五千個のコピーミスが起きていますが、それらは免疫細胞によって攻撃され、死滅していきます。しかし、免疫力の低下などで免疫細胞の攻撃が弱まると、生き残る不完全な細胞が出てきます。これが分裂・増殖を繰り返して大きくなったのが「ガン」に成ります。
Pancreas FNA; adenocarcinoma vs. normal ductal epithelium (200x) / euthman
ガンの原因は生活習慣病
ガンの危険因子の多くは生活習慣の中にあります。
喫煙:あらゆる危険因子の一つで最大といわれています。肺ガンだけでなく、食道ガン、胃ガン、大腸ガン、子宮ガン、など多くのがんのリスクを高めます。
塩分:塩分の取りすぎは胃ガンのリスクを高めます。
野菜:果物不足:消化器系のガン・肺ガンのリスクを高めます。
動物性食品の過剰摂取:大腸ガン・乳ガンのリスクを高めます。
多量の飲酒:食道ガン・肝臓ガン・大腸ガン・乳ガンのリスクを高めます。
これらの生活習慣を改善することがガンの予防に役立ちます。
中医学的ガンの治療法
「邪(例えばガン)の湊(あつま)るところ、その気必ず虚す」という言葉があります。「邪毒が集中しているところは必ず正気も虚弱になっている」という意味です。「気」は「正気」とも言い、体を正常に動かし邪気の侵入を防ぐエネルギーのこと、つまり「免疫」と言えます。対して「邪」とは毒であり、体に対して不要なものことを指し、この場合「ガン」であると言えます。つまり、ガンに対する中医学的なアプローチとは、「扶正袪邪(ふせいきょじゃ)」で、「邪気を払い、生気を補い整えること」です。
正気を補う扶正法には補気・養血・滋陰・温陽法があり、
邪気を払う袪邪法には清熱・解毒・活血・化痰・通便・利水法などがあります。
食事療法では
扶正(正気を補う)の食材:ゴマ・くるみ・クコの実・なつめ・きのこ類(しめじ・まいたけ・しいたけ)・やまいも・人参・かぼちゃなど
袪邪(不要なものを払う解毒)の食材:アスパラガス・こんにゃく・レンコン・にがうり・たんぽぽ・すみれ・ハトムギ・昆布・わかめ・きくらげ・いちじく・茶など
Class of Wistaria Tea House / Aeternitas.
最後に・・・
実際、生活習慣・食事とを基本とし、足りない部分を漢方薬で補っていくと考えます。
次回はガン対策によく使われる漢方のお話をしたいと思います。