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気になる病気

味覚異常について

味覚障害とは?


食べ物の味がわかりづらい、濃い味付けだといわれる、何を食べてもおいしくない、味を見分けられない、特定の味だけわからない、などという症状はありませんか?
これらは総称して、味覚異常、あるいは味覚障害と呼ばれています。これは 60 代をピークとする高齢者に多いため、従来は老化により味覚機能が減退するためだと考えられていましたが、最近では 20 ~ 30 代の若い世代にも広がりつつあります。

 

味覚障害の原因?


味覚障害の原因には原因不明(特発性)の場合が多く、次いでメンタルの問題(心因性)薬剤性(降圧薬、抗ヒスタミン薬、抗てんかん薬、抗パーキ ンソン病薬、精神安定薬などにより唾液の分泌が低下するため)、亜鉛欠乏性、感冒後などがあります。
味覚障害1,059例の原因と治療に関する検討から

特に最近では、食生活の変化により血中の亜鉛濃度が低下する例が多くなっているようです。亜鉛が味覚に必要なのは、舌にある味センサーの新陳代謝に必須の物質であるためです。

  • 亜鉛濃度の低下によるもの
    ❒食品添加物(加工食品・インスタント食品などに含まれるポリリン酸・リン酸塩・フィチン酸など)の摂取による亜鉛吸収低下
    ❒長年の食事の嗜好、偏食による栄養の偏り
    ❒ダイエットによる、必須栄養素としての亜鉛の摂取量不足
    ❒薬の副作用(亜鉛の吸収が妨げられたり、亜鉛の排泄が過剰になる場合)


 

中医学的な味覚障害の考え方


中医学で味覚障害は口淡無味(こうたんむみ)と言い表します。口淡無味とは味覚の減退で口中が淡く飲食物の味がしないことを言い、一般的には食欲不振を伴うと考えられています。

口淡無味の原因は二つあり

  • 胃腸に元気がないパターン(脾胃気虚)

  • 余分な水が胃腸に溜るパターン(湿困脾胃)


です。基本的に中医学的な胃腸である脾胃(ひい)は口と関係が深いと考えられており、口の異常は脾胃の異常と考えます。

 

なぜ胃腸に元気が無くなるのか?また余分な水が溜まるのか?



  • 胃腸に元気がないパターン(脾胃気虚)


甘いもの冷たいもの脂っこいものの過食、ひどい嘔吐や下痢、慢性病などで栄養失調などで胃腸の元気がなくなり発生します。症状は【味覚減退、元気がない、息切れ、力が入らない、腹部膨満感、軟便】などの症状が発生します。この場合におススメの漢方は脾胃を元気にする漢方薬や、消化を促す漢方薬です。

  • 余分な水が胃腸に溜る(湿困脾胃)


外界の湿度が体内に影響して水が溜まる、また暴飲暴食などで胃腸の機能が低下し、そして消化収集(運化)が正常に行われず、水が溜まるなどで発生します。症状は【味覚の減退、口がネバネバする、悪心、胸が苦しい】などの症状が発生します。この場合におススメの漢方薬は余分な水である【湿】を排除する漢方薬です。

 

 

味覚異常のための日頃の養生・注意点

味覚異常について、ここにいくつかの生活上の注意点を列挙してみました。原因と結びつきそうなものを実行してみましょう。

1) 食事に気をつける! :基本的には偏食をなくし、栄養面でバランスよく食べることが大切です。以下に注意点を挙げます。

❒亜鉛欠乏症:亜鉛を多く含む食品を摂ることを心がけましょう。亜鉛は、味を感じる舌にある細胞の新陳代謝に対して重要な元素です。味細胞にある酵素、アルカリフォスファターゼの中心に亜鉛があり、この亜鉛が欠乏すると味覚障害になるとされています。亜鉛の 1 日必要摂取量は 12mg といわれています。そこで、手っ取り早いのは、カキ(貝)を食べることです。カキは 100g に対して、 40 mg 以上の豊富な亜鉛を含有しているからです。その他の食品として、レバー・緑茶・きな粉・黒ゴマ・卵黄・野菜類・海藻類にも亜鉛が多く含まれるので、積極的に摂るようにしましょう。また、亜鉛を豊富に含む健康食品として、食用蟻(アリ)があります。本来、食用蟻は中国で古くから滋養強壮・免疫調整の目的で用いられましたが、亜鉛はもちろん、その他のミネラルもバランスよく配合されています。ただ、亜鉛摂取の効果は時間を要し、一旦下がった血中の亜鉛レベル回復のためには、 3 ヶ月ほどの観察が必要とされています。なお、亜鉛不足は、味覚異常以外にも精力減退・発育遅延など重大な障害が生じる可能性があるので早めの対応が必要です。客観的な診断は、総合病院の耳鼻咽喉科で血中の亜鉛値を調べてもらうのがよいでしょう。

❒加工食品・インスタント食品は食品添加物が多く、亜鉛の吸収を妨げることがありますので、過剰に摂らないように配慮しましょう。

❒ダイエット中の方は、必要な栄養素が不足しないようにしましょう。これも同じく亜鉛摂取が足りずに味覚異常につながるケースがあります。

❒好みの味付けが、周りの人よりも濃いと気付いた場合は注意が必要です。味覚感受性低下の可能性も考えられますし、一般に濃い味付けは、将来高血圧や糖尿病などの生活習慣病になるおそれもあります。

❒よく噛んで食事をしましょう。唾液をしっかりと出し、消化・吸収をよくすることで味覚センサーの感受性を確保することができます。唾液を潤すには、食事前に酢を含むものを食べると良いという意見もあります。また、精神的にも、良く咀嚼してゆっくりと食事を味わうことが大切です。義務感で食事をすると逆にストレスを感じ、舌に対して良い作用があるとは考えられません。

 

2) 日頃のストレスをためない! :漢方では、ストレスは気のめぐりを停滞させると考えます。気のめぐりは、血流・水分の流れに影響するので、舌の健康にも関連があります。舌への栄養供給のためにもストレスを受けにくく、ためにくい生活を心がけましょう。

 

3) 西洋薬を服用している場合 :お医者さんで別の病気のためにお薬をもらって飲んでいる場合、特に降圧剤・抗生物質などは、それにより亜鉛の吸収が悪くなったり、過剰に排泄されたりする可能性もあります。服用している薬のチェックは案外大切です。薬の種類・その変更について主治医の先生に相談してみることも一法です。
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