通常、人は起きている時も寝ている時も汗はかいています。睡眠時もコップ1杯程度は出ているといわれますが、一気には出ていないので自分が汗をかいているとは認識しにくいものです。ただ、パジャマがびっしょり濡れてしまい、服を取り替えなければならない程多く寝汗が出るときは良い汗とはいえないでしょう。
そもそも寝汗とは、なんでしょうか?西洋医学では病の一つの症状として寝汗が出ることもありますが、寝汗だけでなく汗の問題は主に自律神経系の乱れが原因と考えられています。ストレス、女性では月経周期のホルモンの状態が関係してくる場合もあります。
一方、中医学での寝汗は盗汗(とうかん)といいます。寝ているときにだけ出て、目が覚めると止まる汗のことです。大まかに3つに分けられ、その中でも陰虚(いんきょ)によるものが多く見られます。
1. 陰虚内熱:
陰液不足により陽気が過剰となった状態。体内の水分不足により体に熱(虚熱)がこもります。この熱を冷やそうとするため汗を出します。
その他の症状として、手足がほてる・頬が赤い・午後に微熱が出る・イライラ・月経不順などを伴うこともあります。
陰を補い、虚熱を改善するため瀉火補腎丸・杞菊地黄丸などを使います。
2.心血虚:
過度な心労などで心血(血液循環の主な内容物)不足が生じると、津液を体内に留めておけず、汗として漏れ出てしまいます。
その他の症状では動悸、息切れ、睡眠が浅い、疲労感、顔色につやがない、眠りが浅いなどをともなうことがあります。
心血虚の状態がみられる場合、心脾顆粒などで心血を補います。
3.脾虚湿困:
飲食の不摂生(生もの、冷たいもの、脂っぽいもの甘いものなどの摂り過ぎ)は脾胃を損傷し、体に湿を溜めやすくします。すると体内に溜まった湿がうまく巡らないため汗として出てきます。
体内に湿が溜まっているため、頭が締め付けられるように痛い、重だるい、食欲不振などの症状を伴うことがあります。
健脾散・健胃顆粒・茵陳五苓散などで脾胃を立て直し、湿を取り除きます。
原因やその他の症状などによって、寝汗も様々です。もしかしてと思ったら、一度漢方薬局にてご相談してみて下さい。
寝汗,ねあせ,