前立腺肥大症とは
前立腺肥大症は、50代から60代以上の男性に多くみられる病気です。30代から、認められ、60代では10人中7人まで見られます。
前立腺は膀胱の下にある、クルミの実くらいの大きさの臓器です。精子に栄養を与える前立腺液を作ったり、膀胱の出口を開閉したりする役割を担っています。
前立腺肥大症は、前立腺の腺組織が増殖して大きくなり尿道を圧迫している状態となります。自覚症状のなかで多くみられるものに、排尿困難や頻尿などがあります。
前立腺肥大症の病期と治療
結節による尿道の閉塞と、交感神経興奮によって生じる前立腺平滑筋の緊張による尿道の閉塞を主原因とする排尿障害があります。下に示したような病期に応じた治療法が選ばれています。
第一期(膀胱刺激期):
頻尿(夜間がとくにひどい)、軽度の排尿困難、軽度の残尿感、前立腺はクルミ位 腺組織が大きくなるにつれて、圧迫や炎症により膀胱の出口や前立腺部尿道が過敏になっている状態
第二期(残尿発生期):
残尿感、急性尿閉、頻尿、前立腺は鶏の卵位 尿が第一期より出にくくなり、出し切れなかった尿が残尿として膀胱に蓄積されます。そのため膀胱内に侵入した細菌が体外に排泄されにくくなり、尿路感染を繰り返します。
第三期(慢性尿閉期):
完全尿閉(自力排尿不能) 残尿が多量となり、尿が出ない尿閉という状態を繰り返します。水腎症を引き起こし、腎機能がしだいに低下します。尿毒症となる場合もあります。
軽症の第一期、第二期には抗アンドロゲン薬やα1遮断薬を中心とした薬物療法が選択されます。第三期になると手術の適用を考えるケースが多くなります。
前立腺肥大~漢方薬では~
漢方薬では自覚症状の改善を目的として使われます。特に残尿感、夜間頻尿に有効なケースが見られます。「腎虚(じんきょ)」によって起こると考えられています。
漢方での腎は、腎臓や膀胱などの泌尿器、生殖機能を含めたものを指しますが、これらの機能が衰えた状態を「腎虚」といいます。排尿を調節する働きがあり、腎機能の低下によって老化が起きると考えられています。
よく使われる漢方薬
八味地黄丸(はちみじおうがん):「腎」を補う漢方薬で、体全体の新陳代謝を高めて、排尿機能を改善すると考えられています。
牛車腎気丸(せいかごしゃじんきがん):八味地黄丸に利尿作用のある「車前子」、足腰の痛みに効果のある「牛膝」を加わっており、足腰が弱ってむくみが生じている方に効果があると考えられています。
知柏地黄丸(ちばくじおうがん):疲れやすく、顔や手足がほてる傾向の方、熱感のある方に適しています。
清心蓮子飲(せいしんれんしいん):夜間頻尿に使用され、胃腸の弱い方に適しています。
ここで紹介したのは、ほんの一部となります。
実際に使用される場合は、漢方相談薬局・薬店などで相談してください。
日常生活で気をつけること
❒体を冷やさないように気をつけましょう。(特に足腰)
❒お酒、辛いものを控えましょう。
❒十分な水分補給は必要ですが、大量に飲んだりするのはやめましょう。
❒長時間同じ姿勢を続けるのはやめましょう。
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