10年以上続いている全国の先生方が不妊症を学んでいる会の研修だったのですがで、今度私が講義資料を発表するという大役を仰せつかり、何十回もこの講義を聞いていたのです。今日は、その講義内容、中国で学習してきたことをお伝えしようと思います。
(できるだけ簡潔にしておりますが、漢方の専門用語がいつもより多いので、読みにくいかと思いますが、よろしければお付き合いくださいね。)
~盆腔炎(ボンクウエン)~
中国では、“盆腔炎”という病名があります。女性の生殖器と付属器炎のことを指します。これらの炎症を大きなくくりで、“盆腔炎”とよびます。急性、慢性とわけて考えるのですが、今回は慢性の盆腔炎のお話です。盆腔炎、、聞きなれない言葉ですよね。日本語には直訳できない言葉です。
●こんな症状は慢性の盆腔炎ととらえます
・子宮内膜症の感染症
・クラミジア感染
・卵管造影をしたら、卵管に水が溜まっている、
・卵管が強く癒着していた
盆腔炎の様子(写真がわかりづらくてすみません)
●どんな漢方をつかう?
清熱利湿活血通絡が基本となっていきますが、体質により、疏肝理気、健脾などをあわせていきます。盆腔炎となる原因が、主に4つのタイプにわけられますので、(湿熱瘀血・気滞血瘀・寒湿凝帯・気虚血瘀)体質により使い分けていきます。
実際の中国で使われている処方をみると、私たちが普段臨床で使用している漢方に入っている生薬も多くありました。(金銀花、夏枯草、黄耆、白朮など)日本では、薬事法の関係で自由に生薬を使えないところがもどかしいですが、これらはいつも使っているモノで応用できます(^O^)
●病院で漢方以外の治療もうけられる
中国の病院では、病棟で西洋治療+東洋治療ができます。こちらの病院では、入院患者さんに対しては遠赤外線でお腹を温める治療などもあるそうです。また、鍼灸師により、鍼灸の治療を併用しています。その際によく使うツボはお臍の下の関元、中極や、足にある、足三里、三陰交で、お灸は特に気血虚、虚寒のタイプに使っていくということでした。(もちろん、体質により弁証しながらツボを決めています)その他の治療として、入院患者さんの場合は病院で決まった治療があります。この病院のでは腹部を赤外線で30分くらい照射して温かくするという治療をしているようです。
●外来患者さんは、“ホットパック”などを
中国ではお腹に貼り付けるホットパックのようなものが薬局で販売していて、一般的に使われているようです。生薬の内容としては、活血化瘀、清熱解毒、鎮痛であり、特に生理痛によく使われています。粉状の生薬に水を入れて溶かして、電子レンジで加熱してお腹に貼り付け、約3日間連続で使えるそうです。(素材は浸透性のあるガーゼ生地のようなもの)
●講義内容をうけて
日本では、西洋の治療、東洋の治療とバラバラですが、中国では“中西医結合”の治療を受けることができます。病院でしっかり検査もうけられて、ケースバイケースで西洋治療、東洋治療、両方うけられる。素晴らしいと思いました。中国では町中でも身近に“東洋医学”の思考があります。日本でもそうなると良いなぁと思います。イスクラ薬局でも、漢方以外の日常生活でのアドバイスにも力をいれていますので、よいアドバイスができるよう、しっかり勉強していきたいと思います。