初夏の訪れを告げる果物に「さくらんぼ」を上げる方も多いのではないでしょうか。あの鮮やかな赤い色はなんとも食欲をそそりますよね。爽やかな甘酸っぱさが癖になるとっても美味しいさくらんぼ、中医学的にも見ても、この時期に是非食べて頂きたい食材です。本日は初夏の味覚、さくらんぼのお話です。
疲れに良く、抗酸化作用併せ持つスーパーフード
クエン酸やビタミンCが多く、疲れやすいこの季節にピッタリです。カリウムも多いので、余分な水分を排出してくれ、むくみがちな方にも、鉄分も多く貧血傾向の方にもオススメです。
また、さくらんぼは、抗酸化作用が高いアントシアニンが沢山含まれたスーパーフードです。抗酸化作用とは、すごく乱暴な言い方ですが、細胞の老化や損傷を抑えてくれる作用のことです。細胞が傷ついたり古くなってしまうと、ガンや糖尿病、アルツハイマーなどのリスクが高まります。人は長く生きれるようになったことで、ガンやアルツハイマーなどが増えたという考え方がありますが、それは細胞が老化してしまうからなんです。話がそれましたが抗酸化作用が高いということはそういった病気にかかるリスクを低下させてくれるということです。
薬膳的なさくらんぼ
実はこのさくらんぼ、果物では珍しく熱性で、体を温めてくれる食材です。
【性味】 熱性、甘味
【帰経】 脾、胃
【中医学的効能】 消化吸収能力を高めて下痢を止める、顔色を良くする。
この初夏の気温と湿度が高くなり始める時期はどうしても冷たいものをとり過ぎたり、エアコンで冷えたり、夜は涼しくて寝冷えしたりなど、冷えによるトラブルが多くなります。なので、そんな時に胃腸を温めて冷えをとってくれるさくらんぼは体にとっても嬉しい食材です。胃腸を元気にし、体内の余分な水分調節をしてくれるので、軟便や下痢気味の方、そしてむくみがちの方にも是非食べていただきたい食材です。
『本草綱目』という古典には、さくらんぼは無毒だけれど、食べ過ぎると体に熱がこもってのぼせることもあるとあります。なので、とくに熱ぽい感じのある喘息や肺炎などの方は控えてくださいね。
さくらんぼは食べられる時期がとても短いので、見かけたら是非買って食べてみてください。湿度が高まり、胃腸の調子も悪くなり、更に冷たいものも、うっかりとり過ぎてしまうこの季節にぴったりの果物ですので、冷えを気にして生ものを避けたいる方にやエアコンで冷えてしまってつらいかたにもオススメです。その時は是非常温で食べてくださいね。食べ過ぎるとお腹を壊すこともあるので、ほどほどに楽しみましょう。
あと、種には微量ですが、毒素が含まれています。割って中を食べる人は少ないと思いますが、お子さんにあげるときは種をちゃんと出すこと、もしくは種をとってあげてくださいね。