「膀胱炎」という病気は?
膀胱炎には
①単純性膀胱炎 ②複雑性膀胱炎 ③間質性膀胱炎 ④出血性膀胱炎 ⑤放射性膀胱炎などの分類があります。
①単純性膀胱炎
単純性膀胱炎は、機能的・形態的に尿路に異常のない人の膀胱炎です。 単純性膀胱炎は、女性では尿意を我慢したり、冷えや月経が原因で起きることがあります。 また妊娠や便秘、性交渉などが誘因となって起こります。 単純性膀胱炎の症状には、頻尿や残尿感などです。
②尿が停滞する原因(尿管結石、前立腺肥大症)や、全身の抵抗力低下を招く基礎疾患(糖尿病、膠原病、がん等)、尿道に管を入れる治療中だったりする方に起きる膀胱炎です。常に尿の中に細菌がいる状態で、複数の細菌に感染している場合があります。完治には基礎疾患の治癒がとても重要と考えられています。
③間質性膀胱炎
間質性膀胱炎は、何らかの原因で膀胱の粘膜の内側の層に炎症が起き、筋肉が萎縮する病気です。通常、膀胱には200~400mlの尿が溜まると尿意を覚えますが、この間質性膀胱炎になると膀胱が膨らまないため、100ml以下で一杯になります。 そして、尿が溜まると下腹部が激しく痛み、トイレに行く回数がとても多くなります。間質性膀胱炎の診断は、膀胱鏡で膀胱の内部を観察することが必要になります。そして特徴的な病変を呈します(ハンナ病変)
④出血性膀胱炎
出血性膀胱炎は文字通り出血の伴う膀胱炎です。尿に細菌がないにも関わらず出血します。出血の原因はウイルス、アレルギー、癌、薬の副作用、放射線治療などが多岐にわたると考えられております。血尿以外に排尿痛や残尿感、頻尿等の症状を伴うことが多いです。
女性に多いのはナゼ?
女性に膀胱炎が多いのは、一言でいうと体の構造に原因があるのです。まず、尿の出口と肛門が近いこと。そして、男性の尿道が 14~18cm あるのに対し、女性は 3~5cmしかありません。つまり、細菌が膀胱に侵入しやすく、こまめに細菌を排泄しないと簡単に炎症化してしまうのです。
膀胱炎の症状は?
・トイレの回数が増える
・トイレに行ったばかりなのに、また行きたくなる
・排尿の終わりにしみたり、痛みがある
・尿が白く濁る・尿に血が混ざる
中医学的に考える膀胱炎とは?
排尿痛をはじめとして、頻尿、残尿感、排尿困難などの排尿障害の症状を示す病態を「淋証」といいます。したがって、中医学の「淋証」は膀胱炎、腎盂腎炎、泌尿器系の結石などにあたります。
膀胱炎の場合は、細菌の感染や食事の偏り、熱がこもりやすい体質などが原因で膀胱に「湿熱」が停滞し、その働きが弱まると考えます。
これを改善する漢方薬としては、「猪苓湯」があります。「猪苓湯」には水分代謝を改善して「湿熱」を除去したり、
止血作用のある生薬が配合されています。排尿痛や灼熱感が強い場合は、「瀉火利湿顆粒(竜胆瀉肝湯)」と合わせると効果がいいですよ。
膀胱炎を防ぐには?
大切なことは、3つです。
*膀胱内に細菌を入れない
外陰部を清潔に保つよう、排便時は前から後ろに拭くこと。生理用ナプキンやおりものシートの交換も 3 時間に一度は行いましょうね。
*膀胱内で細菌を増やさない
トイレは我慢せずにこまめに。尿意が無くても 3 、 4 時間に一度は排尿し、長時間膀胱内に尿を貯めないこと。そのためには、水分をたっぷり摂ってくださいね(アルコールはダメ)。
*体の抵抗力を落とさない
ストレスや過労、偏食や過激なダイエットは体の抵抗力・免疫力を低下させる原因に!休息は十分取るように心がけましょう。キノコは体のエネルギーを補う(補気)作用を持っていますから、疲れやすい人は食事に取り入れるといいですね。また、風邪をひきやすい人は抵抗力が落ちている証拠です。「衛益顆粒」で日頃から免疫力をアップさせましょう。
それから、膀胱炎を繰り返したり、なかなか治らない場合は「腎」の働きが弱くなっている可能性もあります。「腎」は膀胱と密接に関わっており、体のエネルギーを生み出し、水分代謝を行うところです。エネルギー不足では膀胱だけでなく、体のあちこちに悪影響が出てきてしまいます。疲れやすかったり腰痛がある場合は、「補腎薬」と呼ばれるタイプの漢方薬を試してみてくださいね。
膀胱炎,