卵巣腫瘍とは?
卵巣嚢腫は、卵巣にできる腫瘍の75%を占め、
この中の約95%が良性の腫瘍といわれていますが、
発生の原因については明らかになっていません。
嚢胞に溜まった液体の種類により、
①漿液性(しょうえきせい)、②粘液性、③類皮嚢腫に分けられます。
まずは
①漿液性嚢胞:発生頻度が最も高い。
球形が多く、ときに両側卵巣に発生し、成人頭大になる。
②粘液性嚢胞:2番目に多く、粘稠な白~黄色の粘液が溜まる。
多くは、片側に発生し、特に増殖力が強く、
成人頭大からときに10数kgにも及ぶ巨大嚢腫もある。
これがときに自然に破れ、粘液が腹腔に漏れると、
諸臓器を侵して栄養障害を起こし、全身が衰弱することが ある。
③類皮嚢胞:内容は主として脂肪、毛髪、骨片や歯牙などの皮膚組織が著しく発育したもので、
若年者に多く発生する。
多くは片側に発生し、球形か卵円形でときに小児頭大にもなる。
どんな自覚症状がおこるか?
大きな腫瘍にならないと、一般に症状はありません。
しかし腫瘍のできる部位によっては、骨盤内の器官を圧迫すると、
下腹痛、腰痛、神経痛、排尿・排便障害を、上腹部に対しては胃腸の運動障害、
さらに巨大化すると横隔膜を押し上げ、呼吸・循環障害を起こします。
またときに腹水を合併する事があります。
基礎体温は正常な場合が多いですが、
無排卵の場合は一相性の体温が現れ、
排卵障害や卵胞発育不良の場合は低温期が長くなる事もあります。
また月経量が多く、不正出血(月経期以外の出血)が起こりやすくなります。
一相性 |
西洋医学的治療は?
小さい腫瘍は定期検診で経過をみますが、
増大したものや表面が不整な硬い部分のあるものは無症状でも手術を行う場合があります。
特に、走ったり、倒れるなどの動作や、
妊娠によって子宮が増大して腹圧が急変する事などが誘因となって、
腫瘍が付着している部分、すなわち「茎」が捻転し、嚢腫内に出血したり、
動脈血の循環不全で腫瘍壁の壊死や破裂が起こったときには、開腹手術が必要になります。
中医学的治療は?
中医学では、腫瘍は様々なものが滞ったことによってできた塊と考えます。
気滞(気の流れの滞り)、痰湿(水分代謝の低下)、お血(血行不良)が主な原因となります。
気滞:月経不定期、生理前に胸が張る、落ち込みやすい又はイライラしやすい、下腹部が張る・痛む
気の流れを良くする生薬:菊花・柴胡・薄荷など
代表的な漢方薬:芎帰調血飲第一加減
痰湿:月経後期*1、おりものが多い、肥満、寝ている時によだれが出る
水分代謝を良くする生薬:陳皮・半夏・茯苓など
代表的な漢方薬:桂枝茯苓丸
*1:月経周期が通常の一週間以上延びることが3ヶ月以上続くこと
瘀血:月経後期又は不定期、経血が暗紅色で塊が混ざる、月経痛がひどい、無月経
血流を良くする生薬:丹参・紅花・川芎など
代表的な漢方薬:血府逐瘀丸
上記のお薬は、ほんの一例です。詳しくは薬局にてご相談下さい。
卵巣嚢腫,