まだ5月だというのに、東京はもう梅雨入りしたかのような日々が続いておりますね。
爽やかな青空を臨みたいところです。
今日は、染織と薬草についてのお話です。
薬を飲むことを「内服」と言いますが、なぜ「服」という言葉が使われているのか、ちょっと不思議な感じがしませんか?
由来を調べると、中国の古い書物である「山海経」が出てきました。その中で、薬草などを衣服のように身にまとい病気の原因となる邪気を防ぐことを「外服」、体の中に入れて体内で邪気を防ぐことを「内服」と言い表しています。
古代人は病気を悪魔の仕業と考えていたため、悪魔の嫌がるグロテスクなものや嫌な匂いのするものを身につけたり(外服)飲んだり(内服)すれば防げると考えたのでしょう。

その流れから、染織には昔からよく薬草が使われておりました。江戸時代、染家といえば藍染を主とし、紺屋とも呼ばれていました。この藍、日本ではタデ科のタデ藍で作られるのが主流となっておりますが、皆さまおなじみの「板藍茶」の板藍根(アブラナ科 ホソバタイセイ)からも藍を作り出すことができます。ヨーロッパではこちらを用いることが一般的です。

板藍根は風邪予防のお茶として飲まれておりますが、染料として使っても、虫よけや邪気払いになります。皮膚に慢性炎症があるような場合にも、藍染の衣服が良い場合があり、まさに外服としての意味を持ったものとして現在も使われています。

薬草は、飲んでも染めてもその持っている力を発揮してくれます。植物の力はすごいですね。今年もそろそろ藍の収穫が始まります。
