整体観念とは
中医学の特徴として“整体観念”と“弁証論治”があります。
整体観念とは、あらゆるものはひとつに統一され、互いに関連しているという考え方です。人体は、多くの臓腑・組織・器官で構成された統一体であり、これらは互いに影響・協力しあいながら生理活動をおこなっています。
また、人間は自然界のなかに存在するので、人間の健康と自然界の変化とは密接な関係があるというのが整体観念の基本的な考え方です。病気はバランスの崩れから起きるものであり、根本治療するには、バランスの崩れたところを探し出して、そこを改善しなければなりません。
整体観念には人体内部の統一性と、人体と自然界との相互関係のふたつがあります。
人体内部の統一性
人体を構成する臓腑・組織・器官は、協力して生理活動をおこなっています。臓腑は経絡を通じて関連する組織・器官とつながっており、気血の流れによって生理活動を維持しています。
ある臓腑に不具合が起きると、経絡を通じて関連する組織・器官の不具合を招くことがあります。たとえば、中医学で「肝」というと、現代医学でいう肝臓だけでなく、肝経絡を通じてつながっている全体をいいます。目は肝経絡につながっています。
そのため、ドライアイや疲れ目などの改善には、肝を潤す漢方薬を使います。
さらに、他の臓腑とも生理的・病理的に相互に関連しています。一例として、肝は胃腸のスムーズな働きをコントロールしています。食欲不振・下痢や便秘といった胃腸症状に、胃腸をケアする漢方薬だけでなく、肝をケアする漢方薬を用いることがあります。
人体と自然界の相互関係
人は絶えず自然界の影響を受けています。季節・土地による気候・環境の変化に適応することで健康を維持しています。同じ症状であっても、季節や土地などの環境によって、用いる漢方薬は異なってきます。
ところで、漢方薬は自然界の動植物や鉱物類といった生薬を主としており、部位や性質と効能に次のような傾向がみられます。
植物の皮・葉・花などは人体の皮膚など比較的表面に効果を発揮することが多く、根は体の奥の方へ作用することが多いです。
花は上に向かって咲くので、生薬も上方向の性質を持ち、種は地面に落ちますから、生薬も下方向の性質を持ちます。プラセンタ(動物の胎盤)は、婦人科でよく使われています。水に入れると沈む鉱物類(石や貝殻など)は、鎮静作用があります。
このように、生薬の部位や性質と効能についても、整体観念の考え方ができそうです。
オマケの話
私たちの住む地球は太陽系の一部で、太陽は銀河にある数千億ともいわれる星の一つにすぎません。そんな銀河が宇宙には数千億~数兆個もあるといわれています。宇宙の大規模構造を遠くから見てみると、銀河が密集しているところと、何も見えない空虚なところがあります。銀河が密集しているところが、まるで人体の細胞壁のように見えます。また、脳の神経細胞によく似ていることから、脳と宇宙の類似性について研究されているほどです。
なんだか神秘的な感じがしませんか?
宇宙

脳神経

ニューヨークタイムズ,2006に掲載された写真