前回に引き続き、今回は味噌の歴史と味噌玉づくりに魅力を感じた、信州の「玉造り味噌」についてお話したいと思います。
味噌についての歴史
奈良時代に中国から伝来した醤という調味料から始まったという説が有力です。その味付けが日本風に変わったものを「未醤」と言い、味噌の前身とされています。平安時代は日本独自の味噌が登場して“ぜいたく品”とされ、そのまま舐めていたようです。
鎌倉時代には、中国から来た僧侶がすり鉢で磨り潰した影響で、新たな調理法として味噌汁が誕生し、蒸した玄米などを単品で食していた武士の食事スタイルが「一汁一菜」に変わり、室町時代には、農民の中でも味噌の自家醸造が広まった事で「一汁一菜」の食事がさらに広まりました。
信州の“玉造り味噌“
自家醸造が始まった頃からの作り方を現在も続けている古代醸造方法の味噌です。その工程は、蒸して潰した大豆を手作業で丸めたものを藁で縛って軒下や土間に吊るし、酵母や乳酸菌を取り込ませた味噌玉を作り、その味噌玉を塩・麹・米と共に樽へ仕込み、数年熟成させます。(現在は蔵の中での醸造のようです。)
味噌玉づくりは、味噌の発酵を促すために必要な工程で、標高が高く湿度が低い信州の気候に合わせたこの作り方が「玉造り」という名前の由来ではないかとも考えられています。作る土地の風土に合わせて原料や製造方法は様々なので、その特徴や違いに合わせて具材や調理法を変えたり、数種の味噌を組み合わせて味の幅が広がる事も味噌の嬉しいところです。

写真:みそ玉(塩屋醸造HPより)
これから、ますます暑さが厳しくなりそうです。熱中症の予防には、大量の発汗で失われる水分とミネラルやビタミンのこまめな補給が大切。酵素とともにミネラルやビタミンたっぷりな味噌は強い味方になりそうです。ただ味噌にはカリウムが足りないのでナスやオクラなどカリウム豊富な夏野菜をお味噌汁の具材にして戴くのがオススメです。
季節の野菜たっぷりのお味噌汁とおかずで、一汁一菜にとどまらず、一汁三菜を心がけ元気に夏を乗り
越えたいですね。