
今年の桜は白く華やかでした。花びらの代わりに美しい緑が街並みを彩り始めました。少し暑さも感じる程で、陽気が良くなりました。

私達は挨拶の中で“陽気”という言葉を何気なく使います。
陽気は、
1.時候
2.ほがらかなこと
3.万物が動きまたは生じようとする気
と意味が書いてあります<広辞苑>。
中医学は、3番の意味と関連があるように思われます。
では春に関して中医学で少しお話したいと思います。
春の季節を“陰消陽長”と表わします。冬の寒さの陰気が減り、反対に温かい陽気が多くなるという意味です。温かい春の風に、新芽が出て、新緑となり、つぼみが花を咲かせ、物事が外へ外へと移り変わり、陽気が盛んになることが伺えます。体で言えば、寒さによる緊張が温かい風で緩み、中から陽気が沸いてきて、力へと充実していきます。
このように物を動かすことを“疏泄”、動かす物の補充することを“補気”と言います。春は、五臓の中で肝にあたり、疏泄は肝の機能の一つです。陽気は食事の中からも補充され、補充する補気は五臓の中で脾の機能の一つです。そのほか、食に関する体の機能を表す味覚では、肝は酸味に、脾は甜味に分類されます。

春は温かくなるので、さっぱりした酸味のもの、例えば酢の物やレモンのサイダーなどを好むようになります。酸味のものを食事に取り入れて、疏泄を良くしています。しかし、酸味を取りすぎると、胃もたれや食欲が落ちますね。これは酸味の取りすぎが、体の機能を活性化しすぎて傷めています。特に、脾を傷めやすく、消化が落ちやすくなります。
そこで、春は、脾が丈夫であるように、補気をする甘みの食べ物をすこし多めに取り、疏泄する酸味の食べ物を少なめに取る方がよいですよ!っと古い書物でも紹介されています。