梅雨が開けて、かき氷や氷の入ったジュースが美味しい季節になります。氷はスーパーマーケットで売られるほどに、生活の中で普通に使用できるものです。それは、現代に冷凍技術があり、氷の保存に問題がないからでしょう。
氷を生活へ活用する始まりは、日本書紀にも出てくる第16代仁徳天皇の頃と言わています。氷室という山影の山野に作った深い穴に、その前年12月前後に採取した湖や天然の川の水氷を保存して、翌夏に切り出し、水やお酒に入れて、暑さをしのいだそうです。 奈良県福住は、氷室で有名ですが、20以上氷室があったそうです。これは、大和高原山間部の冷涼な気候で、気温が夏でもやや低く、氷の保存に適したからと言われています。
この氷を献上したことにより、旧暦6月1日は氷室の節句と言われるようになり、氷を口にすると、夏を無事に過ごせると伝えられるようになりました。その後、最初の半年のいろいろな出来事を払い、暑い夏を無事に過ごすという“夏越の祓(はらい)”という解釈もされるようになります。
当時の庶民は、節句の時に、氷を頂けないので、氷のかけらに似たようなもの、例えば、三角のういろうの和菓子や、冬より保存食にしていた餅を薄く切ったへぎ餅を焼いたもの、また、三角形にカットした水無月豆腐 に形を見立てて、全国的に楽しむようになります。現代は、節句にかき氷をふるまう地域もあります。
ういろうの和菓子は私も大好きで、6月中でしたら、和菓子屋さんで購入できます。この文面をご覧頂いている頃は7月の暑い夏の始まりでしょう。夏越の祓として、冷たくした水無月豆腐はいかがでしょう。水無月豆腐は、豆腐を三角に切って、醤油と砂糖の入った寒天で冷やして固める豆腐料理です。私は寒天汁にほんの少しだけショウガ汁を入れたり、だし汁だけの寒天汁で固めた豆腐にポン酢をかけたりするのを好みます。肝脾胃のバランスがとれて、胃腸の弱い方でも、冷たい豆腐を美味しく召し上がれます。
