冬においしい魚は高級なものも多い中、やっぱり安価で美味しい庶民の味方と言えば【ブリ】ではないでしょうか。ということで今日は「ブリ」のお話です。
2.5kgブリ捌いたよ。まな板に乗り切らない。これで一尾500円です♡ / freedomcat
ブリはどんな魚?
ブリは、日本や朝鮮半島近海に生息する中型魚です。大きいものでは、150cm、45キロという記録もあるようですが、一般的には、1m8キロ程度。黄色の縦じまがあることがから、英語ではyellowtail と呼ばれています。同属種のヒラマサやカンパチとよく似ていて間違われることもありますが、基本的には違う魚です。「ブリ」という名前の由来を探してみると、江戸時代の本草学者、貝原益軒が「脂多き魚なり、脂の上を略する」と語ったとされ、「アブラ」が「ブラ」になって、さらに「ブリ」となったという説があるようです。
sliced raw yellowtail / [cipher]
大きさで呼び方が異なる出世魚
ブリは出世魚として有名です。一般的に80cm以上のものを「ブリ」と呼んでいて、それ以下のものは、メジロ、ワラサ、イナダ、ワカシと呼び方が違います。関東と関西ではその呼び方にも違いがあるようで、関東では稚魚をモジャコ、35cm以下をワカシ、60cm以下をイナダ、80cm以下をワカシ、そしてそれ以上お物をブリと呼ぶそうです。関西ではそれが、モジャコ、ツバス・ヤズ(40cm以下)、ハマチ(60cm以下)、メジロ(80cm以下)、ブリとなるそうです。ハマチは関東でもよく聞く名前ですが、もともとは関西での小型のブリを指す名前だったそうです。今は、稚魚を短期間育成した養殖ものを「ハマチ」というようになったそうです。つばり、養殖した「イナダ・ワカシ」サイズのブリを、天然物と分けるために「ハマチ」と言っているそうです。なので、80cm以下のブリで、「ハマチ」と呼ばれるものは全部が養殖ものだそうです。養殖ものの「ハマチ」に関しては、昔は抗生物質の残存など懸念もありましたが、今では技術革新とともに一切解消され、ものによれば天然ものより高値が付くほど養殖のレベルが上がっているそうですので、気にせず食べてくださいね。
Japanese amberjack "Head" (Matsudo, Chiba, Japan) / t-mizo
中医学でぶりを見る
ブリの性味は温性で、甘酸。温性で胃腸を温め、働きを助け、疲労回復や食欲不振に役立ちます。良質なコレステロールを含み、痩せすぎの改善にも効果的です。脳の機能を活性化するDHAや、血液をサラサラにして血管を丈夫にするEPAも豊富で、高血圧や動脈硬化など生活習慣病の予防にもおすすめです。ナイアシンというアルコールの分解を助ける補酵素を含んでいるので、お酒のアテにもおすすめです。ナイアシンは、アルコールの分解後にできるアセトアルデヒトという二日酔いを起こす成分の分解も助ける働きもあるので、二日酔い予防にもおススメです。美味しいブリを選ぶには、皮と身に光沢があるもので、切り身がしっかりしていて、血合いの部分が鮮やかなものを選びましょう。切り身を一枚ずつラップに包んで冷蔵庫なら1~2日ですが、漬けにして冷凍すれば2週間はもちます。
ブリが美味しいのは、産卵期前の12月から2月頃。師走においしい魚ということで「魚」に「師」とかいて「鰤」と書くようになったとか。栄養素、良質なたんぱく質、脂質(EPA、DHA)の他、ビタミンB1,B2,D,E,鉄分など栄養価が高く、胃腸を温め元気にしてくれるので、冬におすすめの食材です。栄養素の多くは血合い部分に多いので、是非その部分も食べるようにしてくださいね。
大きなブリはなんだか高級なイメージがありますが、ブランドものの氷見ブリでもない限り、大体鮭と同じぐらいの価格帯でしょうかね。豊漁の時なら1本2~3000円程度です。ブリの一番おいしい部分は「カマ」だと思う櫻井ですが。皆さまいかがでしょうか。