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子午流注と漢方的養生法(2022年最新版)

人は自然界のひとつであり自然のリズムに従って生活しています。

一日24時間一年365日、春夏秋冬四季を通じて自然界のリズムに合わせてより健やかでいたいものです。そのためにもまずは一日をどのようなリズムでどのようなことに注意して過ごしていくのがよいか?

「子午流注」に基づいた養生法をみていきましょう。

子午流注とは?


子午流注は中国伝統医学特有の理論で中国最古の医学書《黄帝内経》に記載されています。

「子午」は「時刻」の意味で一日24時間を12等分し十二地支に対応させていて、「流注」は人体の十二臓腑(十二経脈)の気血運行の流れを意味し、子午流注は一日24時間の臓腑気血の運行リズムを現したものです。

木梨ー子午流注図

時刻に対応する経脈とその漢方的養生法


1.寅の刻(3時~5時) 肺経が旺盛な時間帯


肺経は十二経脈気血の運行の源であり、肺は呼吸を司り肝から推し出された新鮮な血を肺気の力で全身に供給します。この時間帯に清浄で新鮮な空気中で呼吸することが肺を養うのに適しています。

もし喫煙すると他の時よりもいっそう肺の機能を落としてしまいます。早起きして窓を開け新鮮な空気を入れて深呼吸をするか、屋外で軽い運動するのがおススメです。

 

2.卯の刻(5時~7時) 大腸経が旺盛な時間帯


「肺と大腸は表裏の関係」ということから肺経から大腸経に流れ込んだエネルギーが大腸を活発にさせます。栄養と水分の吸収が終わり残渣を便として排泄します。この時間帯にしっかり排便すると大腸の排毒作用によって肺や皮膚を清浄に保つことができます。

もしも便秘や皮膚炎などのトラブルがあれば、早起きしてコップ1杯の水をのんで余裕を持って排便する習慣をつけるとよさそうですね。

 

3.辰の刻(7時~9時) 胃経が旺盛な時間帯


胃経に気血が集中し食物の消化が最も盛んになるため、この時間帯に食事すると充分に栄養を吸収することができます。逆に空腹でいると胃潰瘍や十二指腸潰瘍になりやすいと言われています。

すでに胃の調子が良くないならば、朝食は消化良い物にして胃経の経穴(ツボ)押しすると胃を回復させることができます。



4.巳の刻(9時~11時) 脾経が旺盛な時間帯


脾は消化、吸収、排泄すべてをコントロールし気血を生み出す源であり、清気を上げ濁気を下げ全身に気血を巡らせます。

この時間帯は脾の働きが活発になるので脾経穴を刺激し適度な運動により新陳代謝が増すのでダイエットするには最適と言われています。

 

5.午の刻(11時~13時)心経が旺盛な時間帯


心はそのポンプ力で血を全身に送り精神を安定させる働きをもっています。12時は陽の頂点であり心臓は陽臓と呼ばれています。心臓には全身の血液陽気が集まるところですから陰寒の産物である腫瘍はできないのです。

この時間帯は陽から陰への転換点なので、激しい運動は避けてゆったりと落ち着いて15~30分程度の昼寝、うたた寝が心を守るには効果絶大です。この短時間休息が午後からの活力のもとになります。

 

6.未の刻(13時~15時)小腸経が旺盛な時間帯


小腸は胃から送られてきた消化物をさらに消化し水分栄養の吸収を行い必要な栄養素は脾へ、余剰な水分は膀胱へ集め、食物の残渣は大腸へ送り出します。この時間帯には激しい運動をし過ぎないで小腸にしっかりと消化栄養の吸収をさせましょう。太りたい人は特にこの時にゆったりと過ごすことが大切です。



7.申の刻(15時~17時)膀胱経が旺盛な時間帯


膀胱は尿を貯留し排泄する器官で、腎の気化作用によって尿の生成、貯留、排泄が行われています。また排尿によって身体にこもった熱を体外に排出します。この時間帯は特に排尿を我慢しないことです。さらに膀胱経の気は経絡に沿って大脳に到達するのでこの時に勉強や読書をすると効率が上がるそうです。

 

8.酉の刻(17時~19時)腎経が旺盛な時間帯


「腎は水を司り五臓六腑すべての精を蔵す」と言われ父母から受け継いだ先天の精と食物から得た後天の精を蓄えています。この時間帯に精つまり生命活動のエネルギーが腎へ入り貯蔵されるので、腎を養う薬や食物を摂るのに最適な時間でしょう。

 

9.戌の刻(19時~21時) 心包経が旺盛な時間帯


心包は心臓の外周にあり気血を通しながら外邪の進入を防ぎ常に心臓が最適な状態であるよう守っています。この時間帯にはウォーキングなど軽い運動をすると心臓の機能を高めることができます。

 

10.亥の刻(21~23時) 三焦経が旺盛な時間帯


三焦(上焦・中焦・下焦)は六腑の中で最大の腑で気血を全身くまなく運んでいます。この時間帯はゆったりと過ごすと全身の百脈を充分休ませ養うことができます。

 

11.子の刻(23~1時) 胆経が旺盛な時間帯


胆は消化に直接関わる胆汁を生成、貯蔵、排泄しており、子の刻は胆汁の新陳代謝が最もさかんになる時間帯です。よってこの時間帯に眠りにつくと翌朝の目覚めがよく頭もスッキリです。しかし長期にわたりこの時に入眠していないと容易に肝炎、胆嚢炎、胆石を発症します。すでに肝胆系の病気にかかっているならば必ずこの時間帯には眠っていることが肝要です。

子の刻は陰気がもっとも盛んで人体の気血陰陽の転換点ですから身体を休めて睡眠をとることは健康を保つ上で非常に大きな意味があります。

中国のことわざに「寧舎一頓飯,不舎子時眠」(子の刻の睡眠を放棄するくらいなら一度の食事を放棄したほうがずっと良い)があってこれは一度の食事よりも子の刻に睡眠をとる方が大事と言っています。

 

12.丑の刻(1~3時) 肝経が旺盛な時間帯


肝は人の思考や活動を支える血液の貯蔵庫で、この時間帯に全身五臓六腑の血が肝に集中し肝の解毒と修復機能が最大限に発揮され古い血は淘汰され新鮮な血が産生されます。

この時間帯に睡眠をとり身体を休めることが肝を養うのに最適なタイミングといえます。もしここで起きて活動しているなら血は肝に帰ることができずずっと諸経をめぐっていることになり新鮮な血が生み出されません。長期間このような生活が続くとあらゆる病気を引き起こす原因になります。

以上十二経脈24時間巡ってきました。現代社会は生活様式が多様化しているので全てこの通りにはできませんが、一日の時間を意識しながら自然のリズムに則って心身ともに今よりももっとよい状態で毎日をお過ごしください。
監修
木梨 聡子

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