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中医学を学ぼう!

「津液」について【水湿】

津液について復習を…


私達の体を潤している水分、体液のことを中医学では「津液(しんえき)」といいます。「津液」が不足すると口や唇が渇き、皮膚がカサカサしてきます。体が砂漠のようにカラカラになってしまった状態ですね。さらに、この「津液不足」が進行すると「陰虚(いんきょ)」と呼ばれる状態となり、手足のほてりやのぼせなどの症状が発生します。体を冷やす力を持つ「陰」が足りないために熱を抑えることが出来なくなったのですね。逆に、津液が停滞し過剰になると体が重くなり、むくみなどの症状も出てきます。これが「水湿(すいしつ)」と呼ばれる状態です。体に余分な体液があふれてしまったことにより起こります。

thirst
thirst / jenny downing


 

水湿について


「水湿」は簡単に言えば体の水分が溜まっている状態。中医学では、水液の代謝は五臓が互いに強調しあって維持されるとしますが、何らかの要因によりこれら臓器に異常が起こると、水液が停滞し「邪」に変化します。よって「水湿」は 2 次的な病因とされます。この邪によってもたらされる症状は、その性質から雨の日など湿気の多い日に悪化する傾向があります。また、胃腸に影響を及ぼすことも多く、食欲や胃もたれなども引き起こしやすくなります。では具体的に「水湿」の症状を見てみましょう。
体が重い・むくみ・尿が少ない・悪心など

さらに、「水湿」の持つ性質(寒熱)により大きく二つに分類されます。それぞれ「寒湿(かんしつ)」「湿熱(しつねつ)」と呼ばれ、特に「湿熱(しつねつ)」は臨床上多くみられ下記のような症状を呈します。
口が苦く粘る・尿が濃く黄色くなる・便が臭くベトベトする・関節が重く痛む

 

痰飲について


「水湿」が体の中で長く停滞すると、それが凝縮されて「痰飲」と呼ばれる状態になります。「水湿」のさらに悪化した状態と考えていいでしょう。より動きにくく、取り除くことも困難になります。具体的には以下のような症状を示します。
痰が多い・胸苦しい・意識障害・精神不安・嘔吐・腫れや痛み・しこり

 

生活を改めて水湿体質から脱却しましょう!


先にも述べましたが水湿は 2 次的な病因です。よって根本的な解決には、水湿を生み出しやすい体質の改善に努めるべきでしょう。ただし、まずは水湿を取り除く事が大原則です。中医学には「補」う前に、まずは「瀉」すことにより邪の除去を優先させるという考え方があります。余分な「水湿」を取り去ってからでないと、せっかくの体に良い成分が体に入っていかないのです。また、「水湿」体質は余分な水分が溜まった状態ですが、体に必要な水分は積極的に摂らなければいけません。代謝を良くすれば、溜まってしまうこともないのです。次のことを参考にして日常生活を改善していきましょう。

【水分の摂取方法に気を配りましょう】
冷たい水をガブガブ飲むこと。これが「水湿」を生み出す原因となります。特に日本の習慣では、レストランなどでも氷を入れた水やジュースを飲む傾向がありますが、好ましいことではありません。暖かいお茶をこまめに飲むようにしましょう!お勧めは紅茶やほうじ茶。コーヒーやビールもあまり良くありません。

【なまものやアイスクリームの摂取を控えましょう】
なまもの(お刺身や果物)を多く食べる習慣が日本人の「水湿」体質を生み出しているのかもしれません。胃腸に負担をかけてしまうため、代謝しきれずに「水湿」として溜まってしまうのです。お寿司などはとてもおいしいですが、食べ過ぎに注意しましょう。またアイスクリームも「水湿」を生み出しやすい代表的な食べ物です。その他チョコレート、脂の多い食事なども禁物です。

【運動や入浴で適度に汗をかきましょう】
「水湿」を取り除くためには代謝を良くすること。そのためには運動で体全体の巡りを良くすることが不可欠です。そして適度に汗をかけば体中の余分な湿が出ていくことでしょう。ただし、運動が苦手な方にとってはその継続はなかなか難しく、だからこそ「水湿」体質になってしまったとも言えますね。そんな方には長めのお風呂で汗をかくことをおすすめします。

 

漢方薬で水湿体質に対処する時は…


藿香正気散(かっこうしょうきさん)


「湿」がたまり重だるくなった体から、水分を発散させる効果を持ちます。シソの葉などリラックス作用がある生薬も配合されているので、服用すると体が楽になった感じを受けます。


 

五苓散(ごれいさん)

湿をとる代表的な処方です。五つの生薬から構成されているためにこの名前があります。むくみなどの症状がある時に。

 

温胆湯(うんたんとう)


「水湿」から「痰飲」となってしまった時に使うお薬です。「痰飲」を原因とする不眠などの症状に有効です。陳皮や枳実など巡りを良くする生薬が配合されているため、不安感を取り除く作用も期待できます。また、清熱作用もあるため、「湿熱」症状にも用います。


 

「水湿」を通り越して「痰飲」になってしまった場合には生活面の改善だけでは対処が難しいため、漢方薬が必要となる場合が多くなります。専門家にご相談の上、自分に一番合ったお薬を用いることをお勧めいたします。

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