「更年期障害はどうして出るの?」
更年期障害とは一般的に閉経前後の約10年の間、45歳~55歳の「更年期」
と呼ばれる頃に起こる自律神経失調症を中心とした不定愁訴を主訴とする症候群です。
ほとんどの女性は更年期に入ると、卵巣の機能が衰えてきます。そのため卵巣から分泌される女性ホルモンの一つである、
エストロゲンの量も減ってきます。しかし、脳はエストロゲンの量を増やそうと卵胞刺激ホルモンの分泌量を増やします。
ここでホルモンのバランスに乱れが生じてしまいます。これにより様々な不快な症状が出てきます。
また、更年期障害というと女性というイメージがありますが、最近では「男性更年期」
という言葉も一般的になってきました。
(男性更年期についてはこちらをご覧下さい。
「更年期障害の主な症状は?」
- ●イライラしやすい
- ●気分が滅入ることが多い、落ち込みやすい
- ●眠りが浅い、寝つきが悪い
- ●顔が急に熱くなる 、ほてる
- ●寝汗をかく
- ●口の中が乾燥する
- ●吐き気・めまい・頭痛が起こる
- ●手足・腰の痛み・肩こりがよく起こる
- ●息切れしやすい、動悸が激しくなる
ホルモンバランスの乱れによる自律神経の失調が主な要因ですが、その方の性格や、生活環境なども関係しています。
「更年期障害:西洋医学の治療法は‥?」
●HRT(ホルモン補充療法)
更年期障害の治療に用いられるHRT(ホルモン補充治療法)は減少したエストロゲンを補い更年期障害の症状を軽減します。
閉経前後になると女性の体内ではエストロゲンが減少します。それが原因で更年期障害が起こりやすくなるのですが、
この減少したエストロゲンを飲み薬や貼り薬で補充する治療法です。
減少したエストロゲンを補充すると、乱れていた自律神経のバランスなども整えられるため、
更年期障害の辛い症状を軽減することができます。
●HRT(ホルモン補充療法)の副作用
病院では ホルモン補充療法を受けるに当たって 副作用のリスクがあると医師から必ず説明があると思います。
- 乳房の張り、
- 不正出血、おりものの増加
- 頭痛、腹痛
- 胃がむかむかする
- むくみ
など、副作用として生理前と同じような症状が起こることがあります。
また、長期の使用による乳がん、子宮がんの発生率が通常より高くなることもあるので、
治療を行っている間は数ヶ月に一度の割合で乳がん、子宮体がんの検査を勧められます。
- 乳がん・子宮体がん患者
- 子宮筋腫・子宮内膜症・乳腺炎の患者
- 高血圧の患者
- インスリンを必要としている糖尿病患者
の方は十分に注意する必要があります。
「更年期障害:漢方薬では?」
中医学では主に成長・発育・生殖などを司っている「腎」
が関わっていると考えます。
更年期障害は卵巣の衰えが関与しているので、「腎虚」(じんきょ)」 「腎」の働きが低下することによって起きていると考えます。
漢方では「腎」のはたらきを良くするものを使います。例えば
●瀉火補腎丸(しゃかほじんがん):腎を補い体の余分な熱をとります。
<寝汗、手足のほてり、口渇、などの症状に>
●天王補心丹(てんのうほしんたん):心腎の潤いを補い安心(安神)作用があります。
<不眠、不安、イライラ、動悸などの症状に>
●柴胡加竜骨牡蠣湯(さいこかりゅうこつぼれいとう):精神不安、動悸、不眠、驚きやすいなどの症状に
などがありますが、更年期障害といっても、症状・体質によって様々な漢方薬がありますので、一度お近くの漢方薬局でご相談されてみてはいかがでしょうか。
天然の生薬で構成された漢方薬は体全体のバランスを整えながら症状を改善へと導きますので、悩まれている方は早めのケアがおすすめです。更年期を機に漢方デビューをする方も増えています。
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