『腎』は腎臓も含む生殖機能、泌尿器系と密接な関係のある機能であり、『肝』は肝臓そのものと、自律神経、内分泌系と密接な関係のある機能です。
年齢による女性ホルモンの変化
漢方の古典に女性は35歳になると次第に肌の艶や、髪が衰え始め、42歳で白髪が目立ち始め、そして49歳で閉経するという記載があります。すなわち、女性の体は7年周期で変化し、その変化は『腎精』(腎に蓄えられた体の基本物質)と呼ぶものによってコントロールされています。

腎精が不足すると体の衰えが始まります。女性の場合は35歳、特に40代半ばから閉経に至るまで月経量が減ってきて、月経周期が短くなり、月経の出血の色が薄く、月経期間が短くなります。さらに閉経に近づくと月経周期が不規則になったり、なかなか来なかったりすることもしばしばです。時には不正出血もあります(ただしこれは無排卵によるもので、子宮筋腫や子宮内膜症などの場合は別です)。
その他以下の症状が見られることもあります。
【精神神経系の症状】
興奮型:イライラ、興奮しやすい、不眠、集中できないなどの症状が現れたり、重症にな
るとヒステリー発作同様の症状が現れることもあります。
抑うつ型:イライラ、憂鬱感、焦燥感、不安感、恐怖感、疑心暗鬼になる、健忘、自信喪失、注意力散漫、行動が遅い、重症になると抑膨性神経症になることもあります。
その他:自律神経系の機能失調症状:頭痛、不眠、動怪、めまい、咽喉部の異物感(梅核気)、皮膚乾燥・かゆみ、あるいはチカチカ刺されるような感じや蟻が這うような感じを受けることもあります。
【血管拡張の症状】
血液収縮拡張機能の不安定症状:典型的な症状には突発的な上半身の発熱のために、胸部から頭部にかけてのほてりのため、顔・首の皮膚が紅くなり、断続的に発汗します。
つまりこれを潮熱汗出七いい、82%の患者にこの症状が一年以上続き、一部の方は閉経後5年間も続きます。毎日の発汗回数は少なくても 1~2回、重症になると10回以上になるとともあります。その時間は短くて30秒間、長くなると5分間続きます。
【心臓血管の症状】
28.9%の患者は類似狭心症の症状が発生し、心俸や胸悶などの症状が伴います。約15.2%の患者は血圧上昇または、血圧不安定などがあります。
その他、のぼせ、ほてり、発汗、めまい、動悸、息切れ、関節痛、しびれ、肩こり、冷え、頭痛、疲労感、不眠、不安、憂鬱、物忘れなど心身の不調を感じる方も多くいらっしゃいます。
何も気づかずいきなり閉経してしまったという方もおられますが、何の前兆もないのではなく、見過ごしただけで、月経の変調以外に肌や体や心の変調が感じられるはずです。
このような変調に気づくかどうかは別として、35歳過ぎたら、特に40代半ばから体の衰えの波を緩やかにして更年期に入っても更年期障害の自覚症状が少なく過ごせるように、又閉経が早まらないようにする準備が大切です。

体調・体質によって最適な漢方は違う
体の衰えのカギを握る腎精を補う漢方がお勧めです。同じ腎精を補うものでも、ご体調ご体質の違いによって適応する漢方は違ってきます。
1.肝腎不足タイプ
めまい、頭痛、耳鳴り、煩繰、怒りっぽい、のぽせ、汗かき、動悸、手のひらや足の裏のほてり、目が乾燥して霞む、足腰がだるい、集中ができない、記憶力減退、倦怠感、皮膚の乾燥・かゆみ或いは感覚異常など、喉の乾燥、便秘、尿の量が少なく色が濃い。月経周期が乱れ、経血の量が少ない、紫紅色、たらたらして絶えない。舌紅苔少、脈細数。
2.腎陽虚タイプ
月経周期が遅れがち、経血の量が少ない、色が淡く暗みがかっていてサラサラしている、顔色は蒼白或いは暗く艶がない、手足と背中が冷える、足腰がだるい、表情が乏しく意欲がない、陰部が重く下垂した感覚、オリモノが水っぽくサラサラしている、夜間頻尿、舌淡苔白、脈遅弱。
3.腎の陰陽両虚タイプ
のぽせ、汗かき、寒がり、背中が冷える、めまい、耳鳴り、不眠、夢が多い、手の平と足の裏が熱い、食欲がない、軟便或いは便秘、疲れやすい、浮腫、足腰だるい、残尿感、酷い場合は尿失禁もあり、舌淡苔白、脈沈細。
4.心腎不交タイプ
ひとしきり顔が赤くなり、熱っぽくいらいらする、めまい、動悸、耳鳴り、不眠、悪夢を見る、足腰だるい、集中ができなく記憶力減退、舌質は紅又は真紅色、脈細数、押すと無力。

女性ホルモンを整える漢方薬
腎精を養うためによく使われる主な漢方薬は以下の通りです。
杞菊地黄丸、天王補心丹、瀉火補腎丸、参茸補血丸、双料参茸丸、参馬補腎丸、亀鹿仙、艶麗丹、海精宝など。





女性ホルモンを整える食材
腎を養う食材に以下のようなものがあります。
粟、黒米、むかご、山芋、黒豆、ささげ、なた豆、エゴマの葉、枝豆、カリフラワー、黄ニラ、キャベツ、ごぼう、干し椎茸、なめこ、にら、ブロッコリー、芽キャベツ、モロヘイヤ、ヤマブシタケ、カシス、桑の実、ブルーベリー、プルーン、カシューナッツ、栗、くるみ、黒ごま、蓮の実、松の実、アワビ、いくら、筋子、イシモチ、イトヨリ、うなぎ、うに、えび、貝柱、カツオ、川エビ、サザエ、サヨリ、シシャモ、スズキ、スッポン、タイ、タチウオ、ナマコ、ホタテ、マナガツオ、ムール貝、烏骨鶏(肉、卵)、うずらの肉、カエルの卵管、牛の腎臓、クジラ肉、鹿肉、鶏(肉、レバー、油)、豚肉、豚の腎臓、ココナツオイル、ローヤルゼリー、ハブ茶など。

女性ホルモンでお悩みの方へ
以上、女性ホルモンの変化を漢方の角度から説明、女性ホルモンの調整作用のある漢方薬などをご紹介しました。
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