漢方薬と西洋薬の違い
まずは漢方薬と西洋薬の違いについて解説します。
漢方薬は複数の生薬の組み合わせ
漢方薬は、数種類の生薬を組み合わせたものです。生薬は、植物・動物・鉱物などを乾燥させたり、酒に漬けたり、蒸したりなどして効果を増強、または毒性を減じることによってつくられます。対して、西洋薬(新薬)は、人工的に化学合成されたものが主体で、多くが一つの成分で構成されており、一つの疾患や一つの症状に強い薬理作用を示します。
漢方薬は前述の通り、天然の生薬を使用し、ひとつの処方は原則として2種類以上の生薬で構成されていますので、多くの成分を含んでいます。そのために、ひとつの処方でいろいろな病状に対応することができます。また、漢方薬は、病院において検査や画像診断をしても異常がないのに、自覚症状があるというような病気にも向いていると考えられています。原因の特定できない慢性の病気、体質がからんだ病気には漢方薬が向くことが多いとされます。
対して、病気の原因が特定でき、原因別の治療が可能な場合や手術が必要な場合、緊急を要する疾患、重症の感染症などには一般的に西洋医学の方がすぐれていると考えられます。
漢方薬は同じ病気でも体質季節で処方が異なる
東洋医学(漢方)と西洋医学では、病気の見方が異なるため、漢方薬の処方と西洋薬の処方は異なります。
西洋医学では、病名によってある程度薬が決まってきます。例えば、風邪の場合、西洋薬では一般的に総合感冒薬が用いられます。
しかし漢方では、同じ風邪であってもタイプの違いによって処方が異なります。これを「同病異治」といいます。
熱が高く、寒気の少ない熱タイプ、ぞくぞくと悪寒がする冷えタイプ、又、ムカムカして下痢をする湿タイプでは、同じ風邪という病気であっても症状、原因の違い、体質、季節、病気の変化などタイプが異なるので、対策方法が異なり、当然用いる漢方も違ってくるのです。
反対に、異なる病気であっても、同じ処方がなされることもあります。これを「異病同治」といいます。
たとえぱ、子宮脱、胃下垂、脱肛、慢性下痢と全く異なる病気でも、中気下陥(消化器系の弱りによって体のエネルギーの方向性が下向きになっている)という同じタイプであれば、補中益気湯という同じ漢方で対策をとることがあります。
漢方薬のメリット・デメリット
漢方薬のメリット・デメリットについて解説します。
メリット
『人を診る中医学』体調を整え、主訴だけでなく様々な症状を同時に改善し、体全体のコンディションを向上させる事ができる。
『未病先方』病名が未だつかない段階の体の不調でも、対策を立てて発病の予防をすることができる。病院で病名がつかない症状でも、症状を分析し、タイプを弁別することにより対策を立てることが出来る。
デメリット
体全体のバランスを整えていくことによって症状の改善を図るため、症状によっては長期間薬を服用する必要がある。
西洋薬のメリット・デメリット
西洋薬のメリット・デメリットについて解説します。
メリット
『身体を診る西洋医学』主訴をピンポイントで治療するため、即効性がある。
デメリット
体を細分化して診るため、症状によってはいくつかの診療科にかかる必要が出てくる。治療方法によっては、副作用の可能性も。
漢方薬と西洋薬の併用について
漢方薬と西洋薬との併用では, ステロイド剤の場合が代表的であり, 漢方薬との併用によりステロイド剤の使用量が減少すると同時に, その副作用が軽減されます。また難治性の疾患にも, 漢方薬との併用が西洋薬の効能増強と同時に副作用が軽減される臨床例が数多く報告されています。漢方薬と西洋薬とを併用することにより, 相互の欠点を補い, 相乗的な効果をあげることが可能です。
また、現代のような長寿社会では、ご高齢の患者さんはいくつもの病気を持つことが少なくありません。
最近では、西洋薬と漢方薬の併用も多くなり、併用することにより、それぞれの長所を活かしながら短所を補い、 より効果的な治療が期待される場合もあります。
しかしながら、2種類以上の薬を同時に服用する場合に問題となるのは、一方の薬の薬効が期待通りに現れなかったり、 逆に薬効が増強されるなど思わぬ現象(相互作用)が起きることです。
したがって、2ヶ所以上の病院や薬局でもらったお薬を自分の判断で併用することは、絶対に避けてください。
漢方薬に限らず、お薬を併用する場合は、必ず、かかりつけの医師、薬剤師または登録販売者に相談するようにしてください。
漢方薬と西洋薬の違いを理解しましょう
以上、漢方薬と西洋薬にはそれぞれに違いがあり、得意とする分野も違ってきます。漢方にご興味をお持ちでしたら、どうぞイスクラ薬局までお気軽にご相談くださいませ♡まずはメール相談をご希望でしたらお試しプレ相談、ご予約でしたらお電話もしくはご予約フォームから承ります♡
参考文献:『症状による漢方治療の実際』『やさしくわかる東洋医学』『漢方と民間薬百科』『岐阜薬科大学紀要』