肥満は心臓病、動脈硬化、高脂血症などの生活習慣病の原因となります。その上、体重が増えると、ひざや腰を痛めやすくなります。
しかし、いざダイエットを始めても運動が続かない⋯ 食事制限して痩せてもリバウンドを繰り返してしまう⋯ 体重增加で体調もイマイチ、 このまま太っていくのかと将来が不安、ダイエットサプリも効果なし⋯また歳を重ねてくると体重も落ちづらくなり体重増加からの体調不
では、これから肥満になりやすい体質とタイプごとの肥満改善に効果的な漢方薬、そして養生法をご紹介します。
中医学から見た肥満になりやすい体質
中医学から見た肥満になりやすい体質を主要なタイプ別に解説します。
気虚太りタイプ
・下半身太り、筋力が弱く、あまり食べなくても太る
・疲れやすい、やる気が出ない、食欲不振、息切れ、汗が出やすい、風邪をひきやすい
・舌は色が淡くて全体的に厚く腫れぼったい、舌の縁に歯形が付く
このタイプのあなたは、健康を維持するエネルギーである「気」
気滞太りタイプ
・ストレスが多く、体重の増減が激しい
・気分にムラがあり、精神的に不安定(イライラ、落ち込み)
・過食気味(特に生理前)、暴飲暴食でストレス解消する
・生理不順、月経前症候群(PMS)の悩みがある
・こめかみの痛み、乳房の張り、両脇の張り、のどのつまり、舌の側面の赤み
・胃やおなかが張ってガスやゲップが出やすい、下痢と便秘を繰り返す
このタイプのあなたは、ストレスが一番の原因です。健康を維持するエネルギーである「気」が滞って働きが悪くなると、「気」や「水」の働きも悪くなり、体にとって不要なものが体内に停滞しやすくなります。楽しいことを見つける、運動量を増やすなどしてストレスが緩和されると「気」
痰湿太りタイプ
・全体的に太っていて、活動的で体力もあり食欲旺盛、冷たいものを多く飲む
・痰が多い、胸腹部の張り、頭や体が重怠い
・吐き気やめまいが出やすい、むくみやすい、おりものが多い、舌にべとべとした厚い苔が見られる
・のぼせやすく、暑がり
・軟便、下痢しやすい
このタイプのあなたは、いわゆる「水太り」。体内に痰湿(余分な水分)を溜め込んでいます。運動量を増やしたり、じっくり入浴して汗をかくなど「余分な水分は残らず出す!」ことを心掛け、体内に「ドロドロの水分」をためこまないようにしましょう。規則正しい生活を送ることで体内水分の質が変わり、綺麗な水が身体に行き渡るよう「水質」を改善することがポイントです。体内の余分な水分をどんどん排出する体質になって、むくみ知らずで気分も清々しい状態を是非実感してみてください。
瘀血太りタイプ
・いつも肩こり、首こりがある
・肌のくすみ、シミ、 そばかすが気になる
・高脂血症 、手足が冷える 、生理痛、頭痛がひどい
・背中や腕など全体が太く、見た目よりも体重がある
・顔色がどす黒い、月経不順、無月経、あるいは不妊
・舌の色は紫がかり、また黒いしみのような斑点、舌の裏側の静脈は太く、時には静脈瘤のような瘤がみえることも
瘀血とは「血」のめぐりが悪くなり、ドロドロになった状態のことです。コレステロールや中性脂肪などが多くなり、内臓脂肪、皮下脂肪とも付きやすくなります。さまざまな婦人病の原因にもなるため要注意!です。
このタイプのあなたは、ストレスや冷え、脂肪などで血行が悪くなり、血液がドロドロになりやすくなっています。それが原因で新陳代謝が低下し、 更に体脂肪が体内に溜まり太る、また脂肪によって冷えも悪化するという負のスパイラルに繋がります。血液をサラサラにすることで血行不良による冷えを改善し、 新陳代謝を高めることがポイントです。また、血流改善で肩こりや肌のくすみ、肌荒れ、頭痛、
肥満タイプ別のおすすめ漢方薬
ではこれから肥満のタイプ別におすすめの漢方薬をご紹介します。
気虚太りタイプの漢方薬
肥満の原因である気の不足を補い、胃腸の消化吸収機能を高めます。人参、黄耆、白朮、茯苓、防已、蒼朮、山薬、扁豆などの生薬を主に使用します。
おすすめの漢方薬の一例:健胃顆粒、三爽茶、防已黄耆湯など
気滞太りタイプの漢方薬
肥満の原因である気の滞りを巡らせ、ストレスによる過食を減らします。柴胡、黄芩、黄連、桑葉、菊花、大黄、番瀉葉、山梔子、茵蔯蒿などの生薬を主に使用します。
おすすめの漢方薬の一例:加味逍遙散、逍遥顆粒、開気丸、大柴胡湯、防風通聖散など
痰湿太りタイプの漢方薬
肥満の原因である痰湿を取り除き、水分の吸収、排泄の障害を改善
します。半夏、陳皮、茯苓、車前子、薏苡仁、荷葉、決明子、萊菔子などの生薬を主に使用します。
おすすめの漢方薬の一例:勝湿顆粒、温胆湯、二陳湯、平胃散、胃苓湯など
瘀血太りタイプの漢方薬
血を巡らせ、肥満の原因である瘀血を取り除きます。丹参、川芎、赤芍薬、牡丹皮、桃仁、当帰などの生薬を主に使用します。
おすすめの漢方薬の一例:冠元顆粒、田七人参、桃核承気湯など
肥満タイプ別のダイエット養生法
次に肥満タイプ別のダイエット養生法をタイプ別に解説します。
気虚太りタイプの養生法
過労を避け、休息や睡眠を十分にとりましょう。自然の中でウォーキングや適度な運動を行うことは肺の機能を高め、酸素を効率的に取り入れて体内のエネルギーである「気」を増やすことになるので、毎日行うことをおすすめします。食養生では、長芋、大和イモ、自然薯などの山芋類は、胃腸の働きを助けるので意識的に取り入れましょう。
気滞太りタイプの養生法
気を巡らせる香りの良いものを生活に取り入れてストレス解消しましょう。例えば、入浴の際のアロマバスソルトであったり、食事の際のハーブ類、柑橘類であったり。又、外に出てストレスを発散させるような運動、大声を出すカラオケなども良いでしょう。
痰湿太りタイプの養生法
体力が許すなら、なるべく強度の高い運動をしてたくさん汗をかきましょう。湯船にしっかり浸かったり、サウナや岩盤浴に行ったりして汗をかくのも良いですね。胃腸に負担のかかる冷たい飲み物は避け、利尿作用のある小豆茶や黒豆茶、ハトムギ茶で水分補給しましょう。
瘀血太りタイプの養生法
血行を促すことを意識して軽い運動をこまめにしましょう。ストレッチを取り入れるのも良いですね。湯船に浸かって血行を促すのもお勧めです。又、玉ねぎやねぎなどの「辛味野菜」、いわし、さんま、さばなどの青魚などの食材も瘀血改善に有効です。
まとめ
以上、中医学から見た肥満の主なタイプ、お勧めの漢方薬と養生法をご紹介しました。今回ご紹介した他にも肥満になりやすいタイプがあります。あなたがどのタイプかを知るには、漢方の専門家へ相談されるのが確実です。漢方薬局の漢方の専門家を大いに活用しましょう。
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参考資料:『いかに弁証論治するか』