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アンチエイジングは漢方で可能?老化の原因・対策法を解説

年齢を重ねると、誰しも気になってくる“老化”。中でも一番人目にさらされる顔の老化は最も気になるところですね。この記事では、老化の原因とメカニズム、そして対策法について中医学の考え方を詳しくご紹介します。

駐顔(美顔・アンチエイジング)とは


「駐顔」は中医学において「老化の遅延」と「顔の美容」の両面を指します。
狭義には顔の潤い・弾力・つやを保ち、健康的な若々しさを維持すること。広義には「老化そのものを遅らせる」目的を持つ総合美容ケアです。

老化のメカニズム—中医学の視点


老化が進むと、顔では次のような変化が現れます

  • 肌のツヤ消失・弾力低下

  • 乾燥・しわ・たるみ・くすみ

  • 色素沈着や黒ずみ

  • 中医学では、老化の原因を以下の5つに分けて考え、これらに対処することで駐顔(美顔・アンチエイジング)につながると考えます。

    1. 腎精(じんせい)の衰え(腎虚)

  • 腎精とは?:生まれつき持つ精と後天的に蓄える精から成り、命・健康・若々しさの根源。

  • 先天的に腎精が弱い人、生活習慣や過労・不摂生などで精を消耗している人は腎虚になりやすく、中高年では約8割以上が腎虚で、70歳以上では9割超という報告もあるほど、老化と密接な関係があります。

  • 2. 脾胃(ひい)の弱体化(脾胃虚損)

  • 脾胃とは? :食物から気血(体のパワー、潤い、栄養)を生み出す消化吸収器官。

  • 脾胃が弱くなると若々しさの根源である腎や他の臓器に必要な栄養が届かず、体全体の代謝も停滞し、肌への栄養供給不足から乾燥・たるみが生じやすくなります。

  • 3. 他の臓器の虚損・機能不全

  • 肺気虚:呼吸や肺気の宣発機能(体全体に潤い栄養を分布する機能)が低下 → 皮膚の乾燥、肌の防御力がダウン

  • 肝鬱・肝血虚:蔵血、疏泄機能(全身の血液量、気血の運行をコントロール)が低下→情志・消化・血液循環機能が正常に保てなくなり、老化が進みやすくなる。情緒不安・めまい・筋肉・目の不調にもつながる

  • 心血虚:主血脈(血を運ぶ力)の低下→血行不良、皮膚への栄養供給不足、記憶力・集中力の低下にもつながります

  • 4. 気血不足・調和不全

  • 気:代謝を促進し、水分代謝や免疫力を支える。肌にハリを与える

  • 血:栄養を各所に届け、肌を潤す。中医学では「以内養外」、つまり体の内側を養い整えることで外見美を実現すると考えます

  • 気血が充実し巡っている状態の下で、はじめて肌にハリと艶が表れます。反対に気血の虚損や停滞は老化を引き起こします。

  • 中医学の抗老化理論において、気血失調の主なパターンは「気虚血瘀」と「気滞血瘀」です。血瘀(血の滞り)は老化と密接な関係があり、調査によると高齢者の74.47%が血瘀証を有しており、老化には中でも血瘀がよく伴うことが示されています。

    5. 痰濁(たんだく)

  • 体に不要な水分や老廃物が留まると、痰濁と呼ばれる病理産物となって代謝を妨げ、老化を促します。

  • 痰濁と前述の瘀血は特に高齢者に多く見られ、皮膚のくすみ・皱・色素沈着といった美容面だけでなく、生活習慣病とも深く関係します。

    6.さまざまな誘因
    以下の誘因からも、前述の臓腑、気血の失調が引き起こされ、老化に到ることになります。

  • 飲食の不摂生:過度の空腹は、気血生化の源が不足し、長期的には早期の老化を招きます。一方、過食は脾胃を損ないます。

  • 過度の飲酒:『黄帝内経』(現存する中国最古の医学書)では、すでに過度の飲酒が人体に有害であると指摘されています。

  • 労逸(過労と安逸)の不調和:『黄帝内経』では「身体を動かし過ぎず、また怠け過ぎず」とする労逸のバランスを強調しています。過労は気血を損ない、逆に過度の安逸は気血の流通を阻害します。

  • 情志の不調:感情の過剰な変化は病因となり、人体の正常な気の運動を乱し、臓腑の機能に混乱をもたらし、早期の老化を引き起こします。

  • 西洋医学の老化認識との融合


    近年、中医学のアンチエイジング研究では、西洋医学の細胞・分子レベルの知見を取り入れています。

  • 皮膚の細胞構造:表皮の厚さ減少、角化作用の低下、表皮細胞の細胞間隙増大 → 潤い保持力ダウン

  • 真皮の構造変化:コラーゲン・エラスチンの劣化、線維減少 → 肌のたるみ・弾力低下

  • 皮脂・汗腺の機能低下 → 乾燥

  • 血行障害 → 栄養不足や老廃物の停滞

  • これらの認識は、中医学が「腎・脾・気血・痰濁・瘀血」などで捉えてきた老化メカニズムと相通じています。

    実践!駐顔の方法(内外両方からのアプローチ)


    中医学的アプローチは内側からの対策(体内)と外側からの対策(局所)に分かれます。

    <内側からの対策:からだの内側から整える>


    A. 体質に応じた漢方薬・中成薬

  • 腎虚:腎精を養う

  • 痰濁・瘀血:活血化瘀、祛痰

  • 脾胃の弱化:脾胃を養う

  • 肺気虚:肺気を養う

  • 肝鬱・肝血虚:肝血を養い、肝気を巡らせる

  • 心血虚:心血を養う



  • おすすめ漢方:八味地黄丸(はちみじおうがん)、イスクラ婦宝当帰膠B(ふほうとうきこうびー)、イスクラ杞菊地黄丸(こぎくじおうがん)、イスクラ麦味参顆粒(ばくみさんかりゅう)、イスクラ健胃顆粒(けんいかりゅう)、イスクラ逍遥顆粒(しょうようかりゅう)、イスクラ心脾顆粒(しんぴかりゅう)など





    B. 食養生・薬膳

  • 松の実・棗(なつめ)・ハトムギ:肌の潤い、美白に。薬食として毎日の食卓に

  • 胡桃・棗(なつめ)・蜂蜜、枸杞の実:腎・肺を養う

  • 山芋、黒ゴマ、豆乳:脾腎を補って肌に潤いを与える

  • <松の実・棗(なつめ)の薬食としての美容効果>

  • 松の実:中医学では「仙人の食物」として不老長寿食。微温性で肝・肺・大腸に帰経し、潤いを補い、肌の乾燥・ハリの低下に有効です。ビタミン・ミネラル・良質の脂質が豊富で、薬食どちらにも使える万能素材。料理のトッピング、お菓子、イタリア料理にもよく使われていますね♡

  • なつめ(紅棗):アンチエイジング、冷え・貧血改善、美肌効果で知られ、古来から薬膳食材として愛用されてきました。ドライフルーツとしておやつに取り入れやすく、薬膳スープや紅茶に入れても◎。又、豚肉とも相性が良いので、角煮に加えても♡

  • C. 気功・養生法

  • 気功(回春功):丹田に意識を向け、呼吸と動作で気の巡りを促す

  • 規則正しい生活:睡眠・早起き・過労の回避など

  • <外治法:お肌や身体表面への働きかけ>


    A. 推拿・経絡マッサージ
    顔の経穴マッサージや耳つぼ刺激 → 血流促進・リラックス効果
    B. 鍼灸
    足三里・神闕などのツボへの灸や鍼で気血や臓腑を整える
    C. 生薬入り美容クリーム
    瑞花露(すいかろ)薬用保湿クリーム、セ・サージなど
    瑞花露薬用保湿クリーム | 製品紹介 | イスクラ産業株式会社
    D. 現代美容機器
    超音波導入で植物エキスを肌に浸透させる手法など

    中医学×現代美容法


    現代では、中医学と現代美容法を併用することが基本です

  • 栄養バランス:高蛋白・ビタミン・ミネラルの摂取、PFCバランス、糖分・脂質・塩分のコントロール

  • 抗酸化サプリメント:ビタミンA・C・Eなど

  • ホルモン補充療法:35〜40歳以降の女性、50歳以降の男性に検討される療法

  • 臨床見解と今後の研究方向


  • 顔面部の老化は局所老化であり、身体全体の老化とも連動している

  • 中医学は「腎虚」「脾虚」「気血不足」「血瘀」「痰濁」など多軸的に老化を捉えている

  • 生理的老化(自然な年齢変化)と病理的老年病(病的変化)を区別し、両面からアプローチ

  • 1980年代以降、「血瘀・痰濁」の研究が進み、その除去(活血・化痰法)が抗老化に有効とされる

  • 中国の大学研究では「補腎+活血」がそれぞれ単独の対策法より効果が高いことを実証



  • まとめ


    中医学における駐顔とは、体内からの気・血・精のバランス調整と、外側からの局所ケアの融合によって、顔の潤いや弾力、美しさを長く保つ総合美容法です。腎・脾・気血・痰濁・瘀血といった要因に着眼し、以下の三つのポイントをバランスよく取り入れ、自然で持続可能な美貌を実現します。

    <今日から始めるポイント>


  • 体内調整:漢方薬・食養生・気功・規則正しい生活

  • 局所ケア:推拿・鍼灸・漢方クリーム・現代美容器

  • 現代美容法との併用:栄養・抗酸化・ホルモン補充

  • 今日からできる駐顔の第一歩を、あなたのペースでゆっくり始めてみませんか?
    美しさは内面から、健康は日々の積み重ねから。まずは簡単な食養生から始めて、あなただけの驻颜法を見つけていきましょう。エイジングでお悩みで漢方の服用に興味がある方は、どうぞイスクラ薬局にご相談ください。イスクラ薬局では、漢方に関する専門的な知識を持つスタッフが、体質に合わせた的確なアドバイスをさせていただきます。初めての方でも安心してご相談できるよう、メールでのお試しプレ相談や、お電話もしくはご予約フォームを通じたご相談も承っています。エイジングのお悩みを改善し、快適な生活を取り戻すために、ぜひイスクラ薬局にご相談ください。
    監修
    佐藤薫
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    上海外国語大学留学中に中医薬膳に出会い、帰国後北京中医薬大学日本校に入学。中医薬膳専科で中医薬膳学、中医中薬専攻科で中医学を学ぶ。現在、イスクラ薬局日本橋店での漢方相談のみならず、日本中医食養学会講師、北京中医薬大学日本校で中医中薬専攻科での通訳を務める。体の基礎を作る食事からしっかり指導できる学会認定不妊カウンセラー。

    「食養生は、中医養生法の礎となるものです。漢方同様、お一人お一人の体質体調に合った食養生法をご提案します。」

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    設立年月日 1960年3月1日
    事業概要 ロシア・CIS諸国・中国との医薬品、医療機器、化学品の輸出入
    中成薬(中国漢方製剤)、健康食品、スキンケア製品の製造、販売