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「気」のお話

こんにちは櫻井です。
中医学にはよく「気・血・津液」という言葉が出てきます。
でもちょっとわかりずらい言葉たちですよね。せっかくブログも本格活動したので、心理学のお話ばかりじゃなくて、たまにはしっかり中医学のお話をすることして、中医学の基礎理論のお話をしてみたいと思います。本来は気・血・津液に精が足されますが、精はおいおいお話することとして、今回は気・血・津液に絞ってお話したいと思います。
 

体をつくる基礎物質


「気・血・津液」は「き・けつ・しんえき」と読みます。これらは身体を構成する基本的な物質で、臓腑(肝心脾肺腎)・経絡を機能させるための基礎物質で、臓腑・経絡の生理機能によって生産されています。そしてこの、「気・血・津液」のどれか、または複数が多かったり、少なかったり、流れていなかったり、うまく機能していなかったりしていることで病気になると中医学では考えられています。全てをいっぺんに説明すると結局またぼんやりしたものになってしまいそうなので、気・血・津液を分けて説明します。
本日はまず一番ぼんやりとしていると思われる、「気」のお話から始めたいと思います。
 


 

気とは


気は、中国の古代哲学に基づいた考えであって、とても複雑で定義することが難しいのですが、一般的には、「世界を構成する基本物質であり、これらが運動・変化することによって森羅万象が引き起こされるもの」としています。現代科学の言うところの原子のような物質であって、かつ、エネルギーでもある存在です。私たち人間も自然の中に存在する物質ですから、その活動にはこの「気」の影響を受けています。
 

二つの「気」


一つ目は、「人体を構成し、さらに生命活動を維持していくために必要なエネルギー、あるいは物質の基礎となるもの」というもの。人体には、食物中のエネルギーから作り出される「水穀精微の気」(すいこくせいびのき)、空気中のエネルギーから作り出される「清気」(せいき)、親から受け継ぐ「精気」(せいき)があり、これらからまた様々な異なった「気」を生み出しています。一つ目の意味は、これら様々な異なった「気」を指しています。
二つ目の意味は、「臓腑や経絡の働きあるいは機能」という意味の「気」です。心気や肝気などがこれにあたります。心はポンプのような作用で全身に血液を送るはたらきがありますが、これを「心気」(しんき)と呼びます。心気は心の働きのことを指しています。この心気が低下すると、脈が弱くなり血行不良になり、動悸がしたり疲れたりします。この状態を「心気虚」(しんききょ)と呼び、回復させるためには、心気を補う漢方を使います。なので、二つ目の「気」は臓腑の機能や働きのことをさしています。
 


 

気には元気、宗気、営気、衛気という4つの種類があります。


元気(げんき)は「元気がある」とか「元気になる」というものに似ています。元気は親から受け継いだ精気から作り出されます。これは生まれた時が満タンで徐々に不足していくので、出生後は食べ物から作り出される「水穀清微の気」によって補充されます。元気は「三焦」(さんしょう)という経路を通って全身にいきわたり、臓腑・組織・器官の働きを活発にします
宗気(そうき)は、呼吸によって吸い込まれた空気から作られる清気と、脾(胃腸)の働きにより食べたものから作られる水穀清微の気から作られます。宗気には推動作用(すいどうさよう)とよばれる、ものを推し動かす力があり、気や血の流れを促進し、生命活動を推し進めています。宗気が不足すると、呼吸が弱かったり、息切れがしたり、声が小さかったり、話すのが億劫になるなどに加え、心拍の異常や動悸なども見られます。その他、感覚器官にも気や血がおくられにくくなるので、音が聞こえにくかったり、見えにくかったりなども見られることもあります。
営気(えいき)は、食べ物から作られる水穀清微の気から作られます。栄養分が豊富な気とも言われ、「営気は血管の中を流れ、血液の一部として全身に栄養を供給して臓腑・組織・器官などを働かせている」と考えられています。営気は血液と一緒に血管をながれているので、同時に営血(えいけつ)と呼ばれることもあります。
衛気(えき)は、腎に蓄えらえた精気と食べたものから作られる水穀精微の気から作られます。衛気は良く動き、全身を巡っています。衛気は身体を外敵から守る防衛作用と、身体を温める温煦作用を持っています。さらに皮膚や粘膜を強化し、汗をコントロールする働きもあります。多汗症の場合はこの衛気が不足してることも良くあります。低下すると外敵から身を守る力が低下するので、良く風邪をひきやすかったり、アトピー性皮膚炎や花粉症などアレルギー疾患を起こしやすかったりします。低下すると温煦作用も低下するので、体が冷えてしまうこともあります。
 
このように全ての「気」は食べたものから作られる水穀清微の気がもとになっています。そして、漢方薬も胃腸によって吸収されることで薬効が現れるので、胃腸の働きを守ることがとても大切であり、すべての基本であると中医学では考えられています。胃腸の機能が低下してしまった場合は、いくらバランスのとれた食事をしていても簡単にはもとに戻らないので、臨床の場では消化不良・食欲低下・軟便などの胃腸症状がないか確認し、もしあれば、それらを改善することも大切と考えます。
 


 

気には6つの作用と4種類の運動形式があります。


気の6つの作用とは、気・血・津液を推し進め、臓腑の働きを推し進め、生命活動を推し進める「推動作用(すいどうさよう)」、身体を温め、臓腑・組織・器官を温め、機能を活発にする「温煦作用(おんくさよう)」、皮膚や粘膜を強化し外敵から身を守り、環境の変化から身を守る「防衛作用(ぼうえいさよう)」、気・血・津液が体から漏れ出ることをふせぐ「固摂作用(こせつさよう)」、あるものを別の何かに作り替える(例:食べ物を気血津液に変える、尿の生成、新陳代謝など)「気化作用(きかさよう)」、臓腑、器官、組織に栄養を与え、それぞれの機能を正常化する「栄養作用(えいようさよう)」があります。
4種類の運動形式とは、「気機(きき)」とよび、昇・降・出・入の4種類があります。出・入は呼吸を考えるとわかりやすいでしょう。昇・降は、例えば気が昇りると気持ちが昂ったり、やる気が出たりとなりますが、上昇しすぎると興奮状態でイライラの原因ともなります。降は正常であれば落ち着いた状態、冷静な状態といえ、加工しすぎれば気持ちが落ち込んだ状態となり、時にはうつ状態となります。

 (イスクラ中医学入門:中医基礎理論より引用・参照)



 
 
まとめると、気は身体全体のエネルギーで、体温を保ったり、身体を守ったり、内臓の働きを助けたりしている物質ということです。そして多くは食べたものから作り出されるので、胃腸の働きは気の量と関係があり、食べ物がよくて胃腸が元気で有れば気は充実し、その逆では低下してしまうということです。中医学の相談では、日ごろからの食養生を大切にしてくださいとお話をするのはこのためです。
 
というのが気のお話です。いかがでしたでしょうか?
次は「血」のお話をしますね。

2013/07/26

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