物事が成るには相応の年月がかかるという意味ですが、18年はあまりにも長すぎますね。柚子は、苗を植えた本人が亡くなってから実を結ぶといわれているぐらい成長が遅いことで知られ、実際に種から育てると、実がなるまで本当に10数年かかるそうです。柚子は、柚の木にできる実を指して「柚子」と言います。元々は、その実の酸っぱさから「柚酸」と書いたそうです。
柚子の生まれは中国の雲南省付近。揚子江の上流だと言われています。日本では、奈良・飛鳥時代頃には柚子の栽培がおこなわれていたという記述がありますが、詳しいことはわかっていません。どちらにしても、日本の文化とはとても馴染みが深い果物であることは間違いありません。
柚子はその香りを主に使われる果実で、実はとても酸っぱいので、あまり食用には向きません。5月頃になる「青柚」という若い実を、スライスして刺身にはさんだり、皮をすって素麺の薬味にしたり、お寿司の香りづけなどにも使われています。いつも私たちが目にするあの黄色い「黄柚子」が姿を見せ始めるのは、ちょうど今頃、10月から11月頃が柚子の旬です。
日本には、冬至に柚子湯に入ってかぼちゃを食べるという風習がありますが、元々はかぼちゃではなく、柚子味噌を食べていたようです。
冬至に柚子湯に入るという風習の由来
冬至は一年で一番昼が短く夜が長くなる日。陰陽学でいうところの「陰が極まる」日です。陰が極まると、また陽が増え、昼が徐々に長くなってきます。そしてこの日を境にまた、福もやってくると考えていたようです。冬至の入浴はその福を招き入れる前に行う「禊」(みそぎ)の意味があるそうです。「禊」は「水垢離」(みずごり)ともいわれ、神様にお参りするときなど、神聖な場所や日を迎えるときには、川や湖などで身を清めていた風習です。神社にる手水舎で手を洗い、口を洗うのはその名残です。
柚子が禊に使われているのは、香りの強い植物には、邪気を払う力があるとされていたからです。端午の節句に入る菖蒲湯の菖蒲も、同じ理由ですね。
柚子を中医学的にみると
柚子は、寒性で余分な熱をとる働きがあります。その強い香りから、気の巡りをよくして、胃の不快感を取り除く働きがあるとされます。その他、化痰の作用があり、痰をきれやすくし、咳を鎮めます。お酒を醒ます効果もあるとされ、悪酔い予防や二日酔い防止にもおすすめです。
柚子を選ぶときは、皮と実に張りがあり、持ってもぶよぶよし無いものを選びましょう。傷は有ってもいいですが、黒い斑点があったり、皮がしなびているものは鮮度が悪いので、避けましょう。良い香りがすることもチェックしてくださいね。保存には、今時期なら室温でも1週間程度は持ちますが、室内を温かくしているならラップして冷蔵庫の野菜室へ入れましょう。香りが命なので、できるだけ早く使うようにしましょう。
柚子湯にする場合は、最低でも5~6個ほど入れるようにすると香りがしっかり広がってくれます。そのまま入れても良いですし、輪切りにしたり、半分に切っても良いでしょう。ネットに入れると後で掃除が楽です。柚子湯に入ると、血行が良くなって、それから1年カゼをひかなくなる言われています。柚子味噌は、練り味噌に柚子の皮を刻んで混ぜるだけです。日持ちもするようになるのでおすすめです。薬味として、ブイヨンで少し伸ばして料理のソースにも。かぼちゃの柚子風味煮などもおいしいですね。私個人の好みは、やっぱり柚子のはちみつ漬けです。柚子を皮ごとスライスして、たっぷりのはちみつにつけます。数日で香りはそのまま、皮も実も甘くとってもおいしい簡単デザートソースが出来上がります。そのまま食べてもよし、紅茶に入れてもよし、柚子ゼリーをつくってソースにしてもよしです。
柚子は今では日本だけでなく、ヨーロッパでも注目を集めています。フランス料理やスペイン料理でもその芳醇な香りを使った様々な料理が開発されています。柚子のかおりを嫌う日本人は少ないと思いますので、万人受けするアロマセラピー効果がありそうですね。当店でも使ってみようかと、たったいま思い立ちました。